2013年数値制御(NC)工作機械生産実績等調査 日工会
日本工作機械工業会(会長=花木義麿オークマ社長)が、このほどまとめた2013年数値制御(NC)工作機械生産実績等調査は次のとおりとなった。
1.調査要領
【調査目的】数値制御(NC)工作機械に関する統計資料を保管し、その普及状況などを把握することを目的とする。
【調査時点】2014年2月。
【調査期間】2013年(1~12月)実績。
【調査対象】日工会会員企業に調査票の提出を依頼し、NC工作機械の生産実績津のあった79社を集計。
2.生産機種別メーカ数
2013年にNC工作機械の生産実績等があった会員及び2014年に生産を計画している会員は、新規入会により前年比で1社増加し、計79社となった。
機種別メーカ数をみると、「マシニングセンタ」が37社と最も多く、調査対象の半数近くの会員が生産している。次いで「NC研削盤」31社、「NC旋盤」26社、「NC専用機」24社の順となっている。
前年からの増益をみると、「NC専用機」が3社増、「NCフライス盤」、「NC研削盤」、及び「マシニングセンタ」がそれぞれ1社増となった。一方、「その他のNC工作機械」が3社減、「NC旋盤」「ターングセンタ」及び「NC歯車機械」がそれぞれ1社減少となった。
今年から新たにNC旋盤の内数として「複合加工機」、マシニングセンタの内数として「5軸以上のマシニングセンタ」を追加した結果、「旋盤ベース複合加工機」は10社、「5軸以上のマシニングセンタ(以下、5軸マシニングセンタ)」は24社となった。その結果、全機種合計の延数178社となった。
3.生産・出荷
(1)生産
13年の生産台数は45,867台で、前年比△17.7%と2年連続減少、金額ベースでは同△9.6%の8,917億円で4年ぶり減少となり、5年連続で1兆円割れとなった。なお、経済産業省「生産動態統計調査」の2013年NC工作機械生産は47,487台(同△42.2%)、7,914億円(同△23.6%)で台数、金額とも4年ぶりの減少となった。
(2)出荷
13年の出荷台数は45,926台(前年比△17.1%)と2年連続減少、金額ベースでも9,242億円(同△8.2%)と4年ぶりに減少し、2年ぶりの1兆円割れとなった。
(3)機種別生産状況
13年の機種別生産状況(金額ベース)を伸び率順に見ると、「NCレーザ加工機」前年比+9.4%、「マシニングセンタ(立)」同+1.9%、「NC放電加工機」同+0.6%と、3機種のみ増加となった。一方、「NC歯車機械」同△32.8%、「NC中ぐり盤」同30.5%、「NC研削盤」同△24.6%、「ターニングセンタ」△24.2%、「その他のNC工作機械」同△16.1%、「マシニングセンタ(横)」同△15.1%、「NC旋盤(立)」同△14.6%などが2桁の減少となった。なお、NC工作機械の総生産額に占める「NC旋盤(計)」の割合は31.6%、「マシニングセンタ(計)」は38.9%と、この2機種でNC工作機械生産額の約7割を占める傾向に変わりはなかった。なお、「NC旋盤(計)に占める「うち旋盤ベース複合加工機計」の割合は23.3%、「マシニングセンタ(計)に¥」に占める「うち5軸マシニングセンタ計」の割合は18.6%となっている。
4.出荷状況の分析
(1)制御形式別の動向
13年の総出荷台数(45,926台、前年比△17.1%)を制御形式別にみると、「位置決め制御」が同△1.6%の3,601台(構成比7.8%)、「直線切削制御」が同△44.9%の2,571台(同5.6%)、「輪郭切削制御」が同△15.6%の39,754台(同86.6%)となった。制御軸数別では、「1軸」が同+47.1%の921台(構成比2.0%)、「5軸」が同+2.6%の4,268台(同9.3%)と増加した一方で、「4軸」が同△5.2%の18,298台(同39.8%)、「3軸」が同△7.6%の12,944台(同28.2%)、「6軸以上」が同△37.2%の1,108台(同2.4%)、「2軸」が同△46.2%の8,387台(同18.3%)と減少した。
(2)販売形態別・国内ユーザ規模別の動向
13年の国内出荷をユーザ規模別のウエイトでみると、「大企業向け」は37.5%、「中小企業向け」は60.9%となり、大企業向けの割合が前年から6.8ポイント低下し、中小企業向けが6割を超えた。また、「中小企業向け」のうち「従業員30人以下の小規模企業向け」のウエイトは前年から1.6ポイント上昇し、2007年以来6年振りに2割を超えた。官公庁等向けにあたる「その他」は1.6%と前年を0.1ポイント上回った。出荷額の販売形態別比率は、「国内向け」が直接販売25.4%・間接販売74.6%、「海外向け」が直接販売31.1%・間接販売68.9%の割合となった。次に国内ユーザ規模別にみると、「大企業向け」が直接販売36.3%・間接販売63.7%。「中小企業向け」が直接販売19.0%・間接販売81.0%となった。大企業向けは中小企業向けに比べて直接販売の比率が高く、中小企業向けは間接販売の割合が高いという従来の傾向が続いているが、中小企業向けでも直接販売夫割合が高くなってきている。
(3)業種別の動向
13年の出荷先(金額ベース)は、『内需』が3,030億円で前年比△16.3%と3年ぶりの減少となった。『輸出』も6,212億円(同△3.7%)と4年ぶりの減少となった。リーマンショック前のピークである2007年と比べると、内需は5割弱の水準、輸出は8割強の水準に留まっている。『内需』の出荷先を主要業種別にみると、『航空機・造船・輸送用機械向け』は同+68.8%と2年連続で増加したが、『電気・精密向け』は同△33.7%、『一般機械向け』は同△21.2%、『自動車向け』も同△12.8%と主要業種は2桁の減少となった。全11業種でみると『航空機・造船・輸送用機械向け』、『官公需・学校』、『その他の需要部門』及び『商社・代理店』の4業種が増加した。次に、出荷総額に占めるウエイト(金額ベース)を主要業種でみると、『輸出』が67.2%が67.2%、『内需』が32.8%隣、輸出比率は67.2%と前年に比べ3.2ポイント上昇した。『内需』の出荷先を主要業種別にみると、『一般機械向け』11.8%(前年比△2.0ポイント)『自動車向け』10.9%(同△0.5ポイント)『電気・精密向け』3.2%(同△1.2ポイント)『航空機・造船・輸送用機械向け』2.0%(同+0.9ポイント)となった。
(4)機種別の動向
13年の出荷額について、主要業種に機種構成ウエイトをみると、『一般機械向け』は「マシニングセンタ」42.2%(立て形24.4%・横形10.8%・その他6.9%)、「NC旋盤」28.0%(立て形3.1%・横形23.6%・ターニングセンタ1.3%)、「NC研削盤」11.0%となった。『自動車向け』は「NC旋盤」41.3%(立て形2.1%・横形39.1%・ターニングセンタ0.2%)、「マシニングセンタ」28.2%、(立て形11.1%・横形15.7%・その他1.4%)、「NC研削盤」10.4%となった。『電気・精密向け』は「NC旋盤」が37.8%(立て形1.0%・横形35.4%・ターニングセンタ1.4%)、「マシニングセンタ」26.0%(立て形16.5%・横形6.1%・その他3.4%)、「NCレーザ加工機」18.2%となった。続いて『輸出』総額に占める機種構成ウエイトをみると「マシニングセンタ」が41.2%(立て形16.2%・横形21.5%・その他3.6%)と高い割合を占め、続いて「NC旋盤」30.8%(立て形2.0%・横形28.4%・ターニングセンタ0.4%)、「NC研削盤」7.8%となり、『輸出』全体の7割以上を「マシニングセンタ」と「NC旋盤」で占めた。13年需要業種別出荷実績のうち、ウエイトが高い「NC旋盤(横)」、「マシニングセンタ(横)」、「マシニングセンタ(立)」、「NC研削盤」、「NCレーザ加工機」、の5機種を業種別にみると、「NC旋盤(横)」は、『輸出』が66.3%と最もウエイトが高く、次いで『自動車向け』14.8%、『一般機械向け』9.7%となった。「マシニングセンタ(横)」は、『輸出』が78.6%と大半を占め、『自動車向け』9.3%、『一般機械向け』7.0%と続く。「マシニングセンタ(立)」では『輸出』66.3%、『一般機械向け』17.7%、『自動車向け』7.4%、「NC研削盤」は『輸出』62.4%、『一般機械向け』15.4%、『自動車向け』13.5%、「NCレーザ加工機」は『輸出』59.9%、『金属製品向け』11.2%、『一般機械向け』9.1%の順になった。
(参考)背景―2013年の工作機械受注の状況
2013年の工作機械受注は、総額で1兆1,170億円(前年比△7.9%)、NC工作機械に限ると1兆867億円(△8.1%)となり、いずれも2年連続前年実績を下回ったが、ともに3年連続で1兆円台を維持した。内需は、アベノミクス効果により円高が是正され、輸出産業を中心に企業収益が改善したほか、年後半から政策効果も顕在化し、内需は前年比+6.6%の4,008億円と2年ぶりに4,000億円台を回復した。主要業種別にみると、電気・精密向けが同△5.5%(341億円)と減少したが、一般機械向けが同+1.8%(1,629億円)、自動車向けが同+6.0%(1,236億円)、航空機・造船・輸送用機械向けが同+18.8%(225億円)と増加した。一方、外需は、前年比△14.4%の7,162億円と2年連続前年割れとなった。主要3極の状況をみると、アジアでは、東アジアは中国が前年比△49.7%(1,539億円)と半減し、その他アジアも同△24.8%(945億円)と減少したことにより、アジア計では同△36.5%(3,007億円)と大幅な減少となった。欧州は、リーマンショック前の5割強に止まっているが、同+25.3%(1,450億円)と2年ぶりの増加で緩やかながら着実に回復に向かっている。