JTEKT が大形軸受技術開発センターの本格稼動を開始! 市場成長が見込める産業機械分野に貢献 ~風力発電・高速鉄道・鉄鋼製造設備~

大形軸受技術開発センター
大形軸受技術開発センター
ジェイテクトが産業機械分野で使用される大形軸受の評価・解析を行うための大形軸受技術開発センターを開設し、このほど本格稼動を開始した。

従来、大形軸受については、その大きさゆえに、机上の検討と基礎評価の後、顧客の実機で評価をする場合が一般的だったが、今回、「風力発電装置用超大形軸受試験機」「高速鉄道車両用軸受試験機」「鉄鋼設備用軸受試験機」を新たに導入し、実機に近い環境を再現した評価が可能になった。併せてシミュレーション精度も向上させており、より信頼性の高い軸受を短期間で開発していくとしている。

同社では、産業機械分野を市場成長が見込める重点分野と位置づけて、事業強化を進めており、大形軸受技術開発センターの開設・稼動開始もその一環である。同センターを中心に、産業機械分野向け軸受の商品開発を今後も強化する。

●大形軸受技術開発センターの概要
(1)名称:ジェイテクト 大形軸受技術開発センター
(2)所在地:大阪府柏原市国分東条町8-11
(3)投資総額:約20億円

風力発電の市場動向と設備概要

風力発電設備の大形化・高発電容量化 イメージ

(1)市場動向
欧州、中国を中心に風力発電の導入量は今後も増加し、洋上発電の占める割合が更に高まると考えられる。風力発電の洋上化が広まることで、ブレードの大径化・高発電容量化がすすみ、風力発電用軸受においても、高負荷容量化や更なる大形化が求められるようになる。

(2)これまでの課題点
軸受の性能確認は実機風車で実施しているため、試験条件は風況に影響され、評価項目や時間に制約があり、評価後の軸受内部状況の確認が不可能だった。このようなことが影響し、風車メーカーの開発期間の延長、開発費用の増大などといった課題が存在していた。

(3)評価試験機導入による課題解決
軸受外径φ2.5m、5MW クラスの風車に対応する実機サイズの評価試験を導入。
実機風車と同じ位置での荷重負荷を再現し、回転中の荷重・転動体挙動測定、潤滑状態
の観察が可能になった。評価結果とCAE解析を組み合わせることで解析精度が向上し、評価期間の短縮と開発コストの低減に貢献する。

風力発電装置用超大形軸受試験機

高速鉄道の市場動向と設備概要

(1)市場動向
高速大量輸送鉄道の車両数は今後グローバルで伸び続けると考えられている国内の新幹線では開業当時の0系の最高時速は210km/hだったが320km/h にまで達し、今後さらなる高速化が進むと見られている。鉄道の高速化に伴い、軸受にも高速回転と振動に耐えうる高い安全性と信頼性が求められている。

(2)これまでの課題点
従来の評価設備では、実車で発生する不連続、不規則な振動やカーブで発生する車軸の動きや400km/h 以上の高速走行の再現ができなかった。また実車での継続的な測定や詳細観察などを行うことも不可能だった。

(3)評価試験機導入による課題解決
今回導入した評価設備では、これまで不可能であった実車両で記録した速度、振動、カーブ時の車軸の動きなどを忠実に再現したシミュレーションが可能となり、400km/h を超える評価試験を行うことも可能になった。

高速鉄道車両用軸受試験機

鉄鋼製造設備の市場動向と設備概要

鉄鋼圧延機用軸受用途 イメージ

(1)市場動向
産業の根底を支える鉄鋼業界は今後も堅調に成長し続け、国内の製鉄メーカーのみならず海外の製鉄メーカーの事業展開拡大も期待されている。鉄鋼製造の現場で使用される軸受は大量流水・高速回転、低粘度潤滑・高荷重など過酷な環境で使用されている。

(2)これまでの課題
従来では実機環境での評価ができず、使用時に発生する損傷形態や水や熱などの周辺環境の影響などの解明が困難だった。

(3)評価試験機導入による課題解決
実機サイズでの評価、実機運転状況、周辺環境の再現が可能な試験機を導入。
これまで解明できなかった実機環境での損傷を再現し、開発技術の向上を実現した。

鉄鋼設備用軸受試験機

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