日立ツールが続々新製品を投入!

日立ツール(社長=田中啓一氏)がこのほど続々と新製品を発表している。
耐チッピング性の高いPVDコーティング被膜と耐溶着性に優れる平滑な表面のコーティング膜を採用し、工具寿命の改善を行った『ミーリング加工用インサートAJコーティングシリーズ』、経済性に優れた4コーナ仕様の『刃先交換式工具 アルファ快削ショルダーミル4コーナ SS4P形』、高靱性鋼材を高能率で長寿命加工できる刃形が特長の高能率深彫り加工用3枚刃ボールエンドミル『エポックメガフィードボールエボリューションEMBE-ATH/EMBPE-ATH』、部品加工分野のニーズに対応するため、小径サイズを中心とした『超硬ノンステップボーラーのアイテム追加』―――これら注目の4製品について掲載する。

『ミーリング加工用インサートAJコーティングシリーズ』

硬度35HRC以上の合金鋼やプリハードン鋼・焼入れ鋼の被削材は、一般鋼や炭素鋼に比べ被削性が悪い傾向にあり、工具刃先のチッピングが発生しやすい問題がある。また、ステンレス鋼系の材料においても、材料の溶着や加工硬化により工具刃先がチッピングする問題もある。

AJコーティングシリーズ(JP4120、JP4105、JM4160)は、耐チッピング性の高いPVDコーティング被膜と耐溶着性に優れる平滑な表面のコーティング膜を採用し、工具刃先のチッピングや被削材の溶着を低減し、工具寿命の改善を行った。

JP4120は、耐摩耗性と靱性のバランスに優れる超硬母材を採用し、汎用からプリハードン鋼・焼き入れ鋼用の幅広い領域での工具寿命を従来比2倍に改善している。JP4105は耐摩耗性に優れる超微粒超硬母材を採用し、50HRC以上の焼き入れ鋼の加工において工具寿命を従来比2倍に改善した。JM4160は、靱性に優れる超硬母材を採用し、ステンレス鋼系の加工において工具寿命を従来比2倍に改善した。
特長は以下のとおり。

(1)耐チッピング性に優れる新組成PVDコーティング被膜の採用
Al含有量を増加した新組成系AlTiN系コーティング膜の採用により、耐チッピングを低減し工具寿命を向上させた。特にプレハードン鋼や焼き入れ鋼・ステンレス系鋼の加工において耐チッピング性に優れ、工具の損傷を低減致した。

(2)耐溶着性に優れる表面平滑コーティング膜を採用
従来皮膜より表面が平滑なコーティング膜を採用し、工具刃先への被削材の溶着を低減する。特にステンレス系鋼の加工において耐溶着性に優れ、工具の損傷を低減した。

(3)寿命
汎用~焼き入れ鋼加工用のJP4120、50HRC以上の高硬度鋼加工用のJP4105、ステンレス系鋼加工用のJM4160は、従来品と比較して2倍の工具寿命を実現した。

用途は、汎用~高硬度鋼、ステンレス系鋼ミーリング加工用。発売件数は103アイテム。
価格は¥864~¥1,814(消費税込み)。

『刃先交換式工具 アルファ快削ショルダーミル4コーナ SS4P形』

自動車、機械、航空機部品などの加工に使用されるショルダーミルは、コストパフォーマンス向上の目的によって、多コーナ化が求められている。このような市場ニーズを踏まえて、経済性に優れた4コーナ仕様のショルダーミルSS4P形を商品化した。SS4P形は、最新のPVDコーティング材種JP4120及びCVDコーティング材種GX2140を採用している。また、ブレーカは一般加工用のFW型、断続加工用のTFW型を採用した。
特長は以下のとおり。

(1) ワイパー付のインサートにより、良好な加工面が得られる。
(2) 切削抵抗を従来品比約10%の低減を実現した。
(3) ブレーカは、切れ味の良い一般加工向けブレーカ「FW型」と、断続加工や黒皮加工の高負荷加工向けブレーカ「TFW型」の2種類を採用。
(4) 最新のPVDコーティング材種JP4120及びCVDコーティング材種GX2140により、多様な被削材に対応し、長寿命化を実現した。

JP4120は、潤滑性の高いコーティング材種で炭素鋼、プリハードン鋼、鋳物、ステンレス鋼等の広範囲な被削材に対応する。GX2140は、35HRC以下の一般鋼に対して、優れた耐摩耗性の実現と高能率加工が可能である。

用途:部品加工を始めとした荒・中仕上げ加工。
仕様:ホルダ:3アイテム / インサート:6アイテム。
価格:ホルダ=¥34,236~¥51,948 (消費税込み) / インサート:\864 (消費税込み)

『エポックメガフィードボールエボリューションEMBE-ATH/EMBPE-ATH』

近年、金型の長寿命化の要望に伴い金型材料も高硬度化、高靱性化が進んでいる。特にダイカスト金型材では型寿命を伸ばすために、ねばくて削りにくい高靱性鋼材が増加している。このような高靱性鋼材の従来ボール刃形エンドミルでの加工では、切り屑離れが悪く切削初期に損傷するケースが多く、十分な性能が得られていなかった。

日立ツールではこのような背景を受け、高靱性鋼材を高能率で長寿命加工できる刃形を開発し、3枚刃のボール刃を強ねじれ形状に設計し切削抵抗を低減させた。また、先端部の切屑排出性の向上を実現した。

従来の3枚刃ボールに比べ工具寿命2倍以上、特に耐チッピング性能に優れた切削性能を実現した。また、この新3枚刃ボールの適用範囲は広く、軟鋼材から焼入れ鋼まで高能率切削が可能であり、金型の深彫り加工の市場ニーズに合わせた全117アイテムを発売した。
特長は以下のとおり。

(1)強ねじれボール刃形 (切削抵抗の低減、切削性の向上)
ボール部を強ねじれ形状に設計することで切削性が大幅に向上した。切削抵抗の低減、切屑流れを向上により、被削性の悪い高機能材料(高靱性材)においても良好な切削性能を可能にした。

(2)不等分割刃の採用 (びびり振動の抑制)
高速回転時、コーナ部加工時、深彫り時でのびびり振動を最小限に抑えるため、切れ刃に不等分割を採用した。

(3)先端部特殊チップポケット形状 (切り屑排出性の向上)
先端部の切り屑排出性向上のために新開発の特殊チップポケット形状を採用した。3枚刃の高能率加工において良好な切屑排出性を実現し、切屑の噛込みによる突発的な折損を防ぐことができ安定加工を可能とした。

(4)ATHコーティングの採用 (耐熱性、耐摩耗性の向上)
耐熱性、耐摩耗性に優れているATHコートを採用。特に高硬度鋼で威力を発揮する。

用途は被削材領域、軟鋼材~65HRCの焼入れ鋼(特に、高靱性鋼材にて従来品と性能優位性大)。ダイキャスト金型、熱間鍛造金型を中心に荒から仕上げ加工までカバーする高能率深彫り加工用エンドミルである。

仕様は合計117アイテム。

価格は\10,778~¥126,360 (消費税込み) 

『超硬ノンステップボーラーのアイテム追加』

近年、自動車業界をはじめ部品加工分野において部品の小型化が進んでおり、穴加工においても工具径が小径から中径のさまざまなサイズに変更されてきている。中径サイズになると、切屑排出性が悪くなり折損等のトラブル発生が多くなる。この部品加工分野でも切屑排出性の良い鋼加工用の超硬ノンステップボーラーは高能率で長寿命な加工が可能な商品として高い評価を得ているが、今回、部品加工分野のニーズに対応するため、小径サイズを中心とした標準品アイテムの追加発売するに至った。

特長は、①特殊溝形状により切屑排出性が良く高能率ノンステップ加工が可能、②超耐酸化性に優れたTHコーティングにより長寿命でMQL(ミスト)加工に最適、③ダブルマージンの採用にて穴精度が向上、高送り加工も可能。

用途は自動車部品等の高能率穴加工。

●追加アイテム
・L/D=3:03WHNSB-TH=10アイテム、L/D=8:08WHNSB-TH=44アイテム
・L/D=10:10WHNSB-TH=50アイテム、L/D=15:15WHNSB-TH=40アイテム
・L/D=20:20WHNSB-TH=40アイテム、L/D=30:30WHNSB-TH=44アイテム

●価格
¥12,312~¥77,652 (消費税込み)

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