年頭所感(日本精密機械工業会/日本輸入協会/日本建設機械工業会/日本工作機械販売協会/日本金型工業会/全日本機械工具商連合会)

「“日本のモノづくり”、“日本製”を世界の市場で強調」
●日本精密機械工業会 会長 稲葉 弘幸

平成27年を迎え、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
旧年中は当工業会の活動に格別のご支援、ご協力を賜り、厚く御礼を申し上げます。

昨年は日本経済にとって「正念場となる、本格的な成長に挑戦する時」として幕を開け、過度な円高が修正された中で、日本のモノづくり産業にとって日本回帰の期待が高まった年と言えましょう。そのような期待感の中で開催されたJIMTOF2014は盛況の内に閉幕し、今年への期待感が更に強まったことと思います。

当工業会の受注高推移を見ましても、自動車産業を中心に順調に伸びてきております。
日本の「モノづくり復活」に向けて当工業会が貢献出来るよう努めてまいる所存でございます。

当工業会の今年の事業と致しましては、昨年スタートさせた「JAPAN MADE」認証制度を充実させ、「日本のモノづくり」「日本製」を世界の市場で強調していきたいと存じます。また、昨年11月には当工業会の次代を担う若手技術者の育成と交流を目的とした発表の場を「技術研修会」として設けました。この研修会では若手技術者が互いに刺激を受ける良い機会になりました。このような研修会を企画することによって、若手の育成にも力を注ぎたいと存じます。

当工業会は「超精密へのあくなき挑戦」を共通のテーマに掲げ、精度、効率、スペースなどを具体的に追求している企業の集まりでございます。今後も「日本のモノづくり」に貢献出来るよう努めてまいりますので、引き続きお引き立ての程よろしくお願い申し上げます。

最後に、関係各位のご支援、ご協力をお願い申し上げますと共に、皆様にとって最良の年になりますよう祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせて頂きます。

「活気にあふれた1年に」
●日本工作機械輸入協会 会長 千葉 雄三

平成27年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
旧年中は、当協会の事業活動にご支援・ご協力を賜りまして誠に有難うございました。

昨年は政府による相次ぐ景気対策、株高、超円高の是正等による企業業績の改善、それに伴う設備投資の内需の盛り上がりにより、私共輸入工作機械及び周辺機器の販売に携わっている者にとっては久しぶりに充実したと言うことができる1年でありました。

しかしながら、完全に不況を脱したと宣言するにはまだちょっと何かが、と感じているのは私だけでは無いと思います。日本工作機械工業会殿の統計をお借りして言うならば、昨年、平成26年の受注総額は1兆4500億円、その内、内需は4700億円程度となりそうです。この数字は近年に無い立派なものですが、私としましては、特に内需に関して、もっともっと増えるはず、というのが正直な気持ちであります。本年が昨年にもまして充実し、活気にあふれた1年になりますことを願わずにはいられません。

今年は、10月5日(月)から10日(土)まで、イタリア、ミラノにて「EMO MILANO 2015 」が開催されます。 当協会では今年も恒例の輸入促進ミッションを派遣いたします。新しい工作機械の需要分野とされるエネルギー・医療・環境対応・航空宇宙関連産業における加工方式に対応した、優秀な工作機械が多数展示されております。多数の皆様のご参加をお待ちしております。

最後に皆様にとって、今年が最良の年となりますように祈念いたしまして新年のご挨拶とさせていただきます。 

「調和と発展による世界への貢献」
●日本建設機械工業会 会長 藤岡純

新年明けましておめでとうございます。
年初に当たり、謹んでご挨拶申し上げます。

昨年の世界の建設機械市場は、建機メニュー毎に少し事情が異なりますが、マクロの景況感でいうと、世界最大市場の中国はじめ新興国市場が、政治や経済面での脆弱さを露呈し低迷した一方、日米欧といった先進国市場が比較的堅調に推移したといって良いと思います。

本年も、国内においては実体経済の底上げが望まれるものの、こと建設機械産業にとっては堅調な建設投資に加え、震災復興需要、国土強靭化推進、東京オリンピック開催に向けた都市のリノベーションの活発化で、また北米においてもシェールオイル等の資源開発といった潜在工事量が豊富であるため、先進国市場では比較的堅調な需要が見込まれます。

一方、世界の過半の需要を占めるようになった新興国市場ですが、市場としてのポテンシャルは高いものの、一昨年来の低迷から脱却する糸口が見えず、急回復は難しいと見ています。

よって、世界全体という捉え方では、市場の本格的な回復には、今しばらく時間を要するものと思われ、特に新興国市場の動向が読みづらいため、建設機械産業を取り巻く事業環境は、緊張局面が続くと見ざるを得ません。

ただ建設機械産業は、豊富な市場を抱える成長産業ですので、景気循環の一局面に拘るのではなく、当工業会の設立理念の一つである「調和と発展による世界への貢献」に応えるべく、環境、安全、効率といった社会が求める新たな価値を、時流であるICT含む最新の技術を駆使し、会員会社の製品、サービスを通じ提供し続けたいと考えています。

また、当工業会では、①良き企業市民として社会への貢献、②ステークホルダーとの共存共栄、③公正・透明な競争と適正な取引の推進、④世界の一員としてのグローバル化の推進、⑤安心・安全の追求と人間中心の経営の志向、⑥環境保護、省エネルギー、省資源の推進、⑦新しい商品および分野の開拓の7項目からなる「経営パラダイム」を策定しており、「共生と競争」のもと、本年も引き続きこのパラダイムの実現に向け、活動を推進してまいります。

最後になりましたが、本年が、みなさまにとりまして、良い年であること祈念し、新年の挨拶といたします。                                                                   

「日本のモノづくりの進化・発展に貢献」
●日本工作機械販売協会 会長 上田 良樹

皆様 新年明けましておめでとうございます。
健やかに新春を迎えられたこととお慶び申し上げます。
旧年中は当協会に対し一方ならぬご厚情と暖かいご支援を賜りありがとうございました。あらためて御礼申し上げますと共に本年も引き続き宜しくお願い申し上げます。

さて、昨年末は衆院解散・総選挙が行われ、例年にも増して慌ただしい年末年始でしたが、選挙結果を見ますと、争点であった「アベノミクス効果」に対し国民は一応合格点を付けたのではないかと思います。あらためて昨年の工作機械受注を振り返りますと、年初より月間受注額が1000億円を超え、また3月からは1200億円を超える状況が続いており、14年暦年での受注額は日工会殿が上方修正された1兆4千500億円を達成された模様です。我々の足場である内需も6月以降400億円を超える状況が続いており、アベノミクスによる数々の支援策と円高是正によって、長らく厳しい競争を強いられてきた我が国の製造業も明るさを取り戻して参りました。

好調な環境を背景に、昨年秋に開催された米国IMTS2014、また我が国のJIMTOF2014では共に来場者数が大幅に増加し、大盛況となりました。初日から大勢の入場者が出展ブースに押し寄せていましたが、新しい生産方式としての3Dプリンター等が注目を浴びていました。また、ユーザーインターフェースがスマートホンのように直感で操作できるというコンセプトが増えており、デジタル技術の進化が印象的でした。ドイツでは「インダストリー4.0」= 第四次産業革命という謳い文句で、ネットワークを介して工場内外のモノやサービスを連携させる「スマート工場」というコンセプトが打ち出されており、モノづくりの「多様化」、「デジタル化」、「ネットワーク化」の更なる進行が予見される年であったように思います。このようにモノづくりを取り巻く環境が激変する中で、我々商社としてどのように対処していくべきか、新年にあたり私の考えを述べさせていただきたいと思います。

1.時代の潮流を読む

日工販の会長に就任して3年半が経ちますが、ありがたいことに様々な方から工作機械業界の歴史・変遷についてお話を伺う機会があります。例えば1970年代、当時はあまり注目されていなかった工作機械のNC化に果敢に取り組まれた方々が居られ、そのご苦労のお話を伺うと、時代の大きな節目に先例にとらわれない感性を持って将来像を描き、果敢に挑戦して行かれた先人たちが居られたからこそ、現在の日本の工作機械業界があるのだという感慨を持ちます。現在の3Dプリンターなどに代表されるモノづくりの「多様化」「デジタル化」「ネットワーク化」についても、グローバル目線で将来に目をはせて潮流を読んでいくことが大切であると思います。日本の工作機械業界が今後も世界をリードして行く為には、広範な情報を最大限活用できる我々商社が、アンテナを高く張って新しい潮流を読み、時にはその流れを加速させるべく、大胆に発想、提案し、業界の変革・進化に向けて仕掛けて行くことも必要ではないかと考えます。

2.オープンな結節点として

「デジタル化」や「ネットワーク化」が加速することにより、製造業においてもベンチャー企業がさらに増加してくるのではないかと思われます。参加者が自由に出入りできるオープンなプラットフォーム上に、製品ユーザーや大手メーカーに加えて、特徴ある技術を持った製造業ベンチャーが参画し、個別のカスタマイズが可能な新しいモノづくりを行うといったコンセプトが出てくるのではないかと思います。一方で、リアルなモノづくりの世界では、ネットのみを介したモノづくりに危うさを感じるのも事実です。こういう時代にこそ、機動力と柔軟性を活かし、バリューチェーンの中で欠けている機能を埋め込んで行く、そういう商社の役割が期待されていると思います。広くさまざまな業界に接している我々がネット上ではなくリアルな世界でオープンに参加者を募り結節して行く、そういう機能が重要になってくると思います。日本には世界最高レベルの技術力、ものづくり力を有する中小企業が数多くあります。我々商社が結節点となってこれらの企業を交えたモノづくりの日本連合を構成して行く、そういう役割を果たして行く必要もあるのではないかと考えます。

3.日工販として

上述のように、広範な情報を元に潮流を読み、変革・進化を促していくという商社の役割は、我が国の製造業、即ち国力を強くして行く為にも必要であり、活躍の場が今後ますます広がって行くものと思います。日工販には、正会員、賛助会員を合わせて日本全国の146社が参加していますが、このネットワークを強化し、日工会殿をはじめ関係諸団体、メーカー様との連携を密にしながら、日本のモノづくりの進化・発展に貢献して参りたいと思います。このためには、実際に現場で活動を担う人材の質の向上、戦力強化がなくてはなりません。日工販といたしましては、業界の人材の底上げに資するべく、育成プログラムなどを更に充実させて行きたいと考えておりますので、本年も引き続きご支援、ご指導を賜りますようお願い申し上げます。

最後となりますが、この一年が皆様にとって明るく素晴らしい年になりますことを祈念申し上げまして、私年頭のご挨拶とさせていただきます。

「難局を“元気な業界”として乗り越えていきたい」
●日本金型工業会 会長 牧野 俊清

平成27年の新春を迎えるにあたり、謹んで会員の皆様、関連官公庁、関連業界の皆様にお慶び申し上げます。

‘08年9月のリーマンショック、円高、‘11年3月の東日本大震災が、日本経済を苦しみ続けました。特に円高は’07年6月1ドル124円だったのが、政治の無策か大震災後も続き、’12年2月には76円と高くなりましたが、アベノミクスによって100円前後の小康状態になり、昨年8月より一段と安く120円を超えています。急激すぎる円安は、日本の貿易赤字が続いている現状を反映している点もあり、グローバル競争展開は当然ですが製造拠点の国内回帰も求められます。また、中国・韓国と友好の兆しが見え始めているのは、貿易の点でも好ましいことです。

金型業界においては、金型の昨年9月までの1年間の生産額は、一昨年とほぼ同様で微増が続いていますが、リーマンショック前2007年の7~8割との緊急事態です。型種、需要業界の違いもあり、会社によって、業績は様々のようです。機械統計では、鍛造専業金型がリーマンショック前の1.7倍であり、大型プレス専業金型も現在活況です。

大企業の新製品開発が円高・大震災等により停滞していたかもしれませんが、好業績をあげられたことにより、顧客は、その利益を新製品開発(金型発注)、国内製造、価格見直しに振り向けていただきたく思います。円安より材料費が高騰しており、また、日本政府からは、従業員の給与見直しを期待されていますので発注費の見直しをお願いしたいです。

昨年3月、日本金型工業会で「新金型産業ビジョン」の作成をしました。若手を中心に議論をしていただき、金型業界に密接に関与されている有識者の応援もいただきました。①技術力、②営業力(発信力)、③新分野への展開と付加価値向上、④海外市場とグローバル展開、⑤人材(経営者・社員)がキーワードです。

昨年11月ポルトガル金型工業会の方が来日され、お話をうかがいました。ポルトガルの金型はプラスチック用金型が主体で、輸出比率が高いことは知っておりましたが、ヨーロッパでは人件費が一番低いことも追い風だったが、オーストリア・チェコ・ポーランド・ハンガリー・スロベニア等のヨーロッパ国及び中国の参入により大変なのではないかと思っておりました。現在、ヨーロッパを中心に輸出しており、Competition(競争)でなく、Cooperation(協力)で業界が成長発展しているとのご説明で、感銘を受けました。

日本金型工業会は、会報・ホームページのリニューアル等、サービスの拡充を進めており、正会員も1年間で28社新規入会していただいております。昨年10月には元九州工業大学の鈴木先生のお力を得て、九州地区会の立ち上げをしました。真に全国組織としての工業会として、ご入会が増えることを期待しております。

緊急事態が続く今年においても、会員、賛助会員、顧客、経済産業省素形材産業室始めとした監督官庁、学会の大きな応援により、この難局を、「元気な業界」として乗り越えていきたく思う所存でございます。皆様のご理解ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げ、年頭の挨拶とさせて頂きます。

「本来の営業スタイルで顧客ニーズをどう取り込んでいくか」
●全日本機械工具商連合会 会長 斎藤保男

明けましておめでとうございます。

昨年6月に全機工連会長を田中康造前会長より引き継ぐことになりました。全機工連の会員には、多くの業界の先輩がおられ、私のような浅学菲才なものが引き受けるべき役職ではございませんが、副会長及び東京の理事長でもあり、お引き受けすることになりました。どうぞよろしくお願い致します。

さて、昨年の日本経済は、消費税増税により、増税前後に大きく経済成長が上下しました。とりわけ増税後の成長率のマイナスは想定以上に厳しい結果となりました。また、アメリカ経済の復調により、米ドルの為替は円安へと大きく進み、1ドル120円となり、数年前に円高と騒がれた時より1ドル40円近くも値下げとなりました。輸出を中心とする製造業にとっては大幅な利益拡大となりましたが、反面、輸入物価の上昇は、中小企業にとって原材料の高騰やエネルギーコストの上昇を招き、日本の景気は大企業では潤ったものの、中小企業にとって大変厳しい状況となっています。

総選挙も終わり、予想どおり自民党の圧勝となりました。安倍政権としては、何としてもデフレ脱却により経済の活性化を図り、景気を良くする“アベノミクス”を強力に推進させなければなりません。今年こそ、日本中のスミズミまで景気が良くなったと実感できる経済政策の推進を大いに期待したいものです。

さて、我々機械工具の業界は、今年はどうなるでしょうか。昨年は、消費税増税で一時的な需要の増加はあったものの、その反動をより大きく感じたのではないでしょうか。

製造業の海外移転は、かなり進んでおり“地産地消”の流れは変わりません。従って、円安になってもあまり製造業の輸出は増えず、国内の需要も思ったほどは増えていないのではないでしょうか。国内の“モノづくり”市場は、残念ながら縮小する傾向が続くと思われます。

一方で、国内に戻るもしくは国内の合理化を徹底して海外には移転せずに、生産性を上げている製造業が増えているという明るいニュースもあります。我々業界の本当の営業力が試される時代が来たのではないでしょうか。

物流機能の強化よるインターネット通販会社の市場の席巻。これらの企業と立ち向かって互角に勝負することは、残念ながら勝ち目はありません。やはり、本来のやるべき、あるべき営業スタイルで顧客ニーズをどう取り込んでいくべきか、そこに我々は生き残る道がある、そこにしかないと言っても良いかもしれません。会員の皆様が企業の生き残り戦略をしっかり立て、それを地道に実行して行くことが肝要だと思います。

来年の全機工連東京大会では、それぞれの企業の生き残り戦略を皆様に披露する。そのための重要な準備期間として今年が充実した一年であることを祈念し、年頭の挨拶とさせていただきます。

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