日立建機のマイニングダンプトラック「高度車体安定化制御技術」が日本機械学会賞(技術)を受賞
日立建機(社長=辻本雄一氏)が、このほどマイニングダンプトラック向けに日立製作所と共同で開発した「高度車体安定化制御技術」で日本機械学会が主催する「2014年度日本機械学会賞(技術)」を受賞した。
日本機械学会賞は、日本の機械工学と工業の発展を奨励することを目的として、1958年から実施されている長い歴史のある賞で、今回受賞した日本機械学会賞(技術)は、機械工業に関する新技術や新製品、システムの開発に対し、①独創性、新規性、②品質または性能の相対的優秀性、③生産性の向上を通じた経済および社会への貢献、④機械工学・工業との関連性、⑤波及効果または実績について、優れたものを表彰する制度。
受賞した「高度車体安定化制御技術」は、リジッドダンプトラックAC-3シリーズに搭載されており、各種センサーやレバー、ペダルからの情報を、ドライブシステムコントローラに入力・解析処理を行い、インバータを通して左右のホイールモータに独立した駆動指示を伝えることにより、走行時の車体挙動の安定化を実現するもの。安全性と高い生産性が求められる鉱山で稼働するリジッドダンプトラックは、一般的な自動車と比べ車重変化が大きく、また重心位置が高いため、日立建機では、その特性を考慮しながら、日立製作所の保有する自動車分野の「車体モデル化技術」および「車体運動制御技術」に基づき、日立製作所と共同で技術開発を行ってきた。
今回受賞した技術の中では、特に、車体のピッチング(揺れ動き)を低減することにより荷こぼれを防ぐとともに、オペレータの乗り心地を改善する「ピッチング抑制制御」と、走行旋回時の横滑りを防止して、安定感のある旋回走行を実現する「横滑り防止制御」の2つの制御技術が評価されての受賞となった。
評価を受けた制御技術は以下のとおり。
1.ピッチング抑制制御
凹凸路面の乗り越え、急停止や登坂走行時の前後のピッチング(揺れ動き)を判別し、ホイールモータのトルクを調整することで、車体のピッチングを低減して、荷こぼれを防ぐとともに、オペレータの乗り心地を改善し、さらには車体へのダメージを低減する制御技術。
2.横滑り防止制御
ハンドル、アクセルやブレーキ操作に応じて生じる車体の安定度合いを、各種センサーから得られる車体の横方向の加速度、ヨーレートや操舵角を常時監視しながら判断し、ホイールモータのトルクを調整することで、走行旋回時の横滑りを制御して車体の動きを滑らかにし、オペレータの意図通りの安定感のある旋回走行を実現する制御技術。