マキノが形彫り放電加工機 新電源(ES100A)を発表! ~リブ形状の加工時間が65%短縮!~

牧野フライス製作所(社長=牧野二郎氏、本社:東京都目黒区)は、深リブ加工を飛躍的に向上させる新電源『ES100A』を発売するにあたり、4月8日本社にて記者発表を開いた。この製品は、特に磨きが不可能な狭小リブの離型性に優れ、スマートフォンや補聴器、車載カメラ等の製品に効果を発揮する。

今回、開発に至った経緯について、同社では、「プラスチックやダイカスト金型の加工において、形彫り放電加工機は絶対的に必要な道具だったが、1990年代、高速加工(浅切り込み・高送り)を可能とするマシニングセンタと切削工具のコーティングが進化し、金型加工は切削による直彫り加工が主流となり、放電加工があまり使われなくなった。ところが近年、金型形状が微細化・複雑化していく中、磨きが困難な形状に対して放電加工機の必要性が再認識されていることを受け、今回、発表するに至った」と説明した。

今回リブ会場の加工時間を65%も短縮させたこの製品は、主電源と副電源を新制御装置で同期させ、理想的な放電波形を育成し、加工効率を改善させたとしている。

人の手では磨ききれない深リブなどに効果を発揮する

FLOWER PATTERN(フラワーパターン)とは

花びらのような新加工条件を用いた加工面(Flower Pattern) 
花びらのような新加工条件を用いた加工面(Flower Pattern) 
今回、注目すべき点は、射出成形時の離型性を向上させたことだ。「FLOWER PATTERN」が鍵となる。マキノが提唱する「FLOWER PATTERN」の優位性は、金型の清掃時間が短縮され、金型使用時間をより長くできる加工技術である。

フラワーパターンは写真にもあるとおり、通常サンプルの梨地加工と違って大きな放電痕を残して仕上げる加工である。すでにIC(半導体)モールドでは、金型表面に大きな放電痕をつくる技術がすでに実用化されている。同社はこの技術をICモールドに特化していたが、この技術をさらに改良して、磨きが不可能な狭小リブ加工に展開した。

離型性がいいというのは、型から中身を取り出すときに残留物が少ないものほど良いとされている。離型性が良くなるということは、金型のメンテナンスが改善し、生産性向上が期待できるという、マキノの「FLOWER PATTERN」は、今後の金型の技術を大きく変えるものとして期待がもてるものだ。

ちなみに「FLOWER PATTERN」という名称は、放電痕が花びらのように見えることから付けた名称とのことで、現在、商標登録に向けて活動中である。

また、新制御装置にも注目したい。シンプルで操作の流れが分かる画面構成とオペレータに応じた画面カスタマイズが可能である。ボタンの装置にそって操作するだけなので、操作数が約40%(従来電源比較)も削減できたという。また、オペレータにアドバイスしてくれる画面もあり、加工結果に応じて加工時間、表面粗さ、形状精度の改善方法をアドバイスしてくれるという嬉しい仕組みもある。しかも今回は、右利き、左利き、といったオペレータの利き手を考慮した配置もできるうえ、ボタンも使い勝手に合わせて並べ替えが可能になっている。

今回のマキノの新技術がつまったこの製品は、4月15日から東京ビッグサイトで開催されるINTERMOLD2015で出品する。出荷開始は今年の9月の予定。

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