平成27年ダイカストマシン短期需要見通し

平成26年の市場

平成26年の市場は、消費税増税の影響が自動車メーカー各社の想定より長引く一方で、円安の影響で大手10社合計の売上高は、前年度比増を計画。当初計画に比べて、販売台数は下方修正されたのに対して、円安が進んだことで、売上高は上方修正。利益計画の合計も同様に上方修正され、営業利益は当初計画比増となった。利益の大幅な改善があるが、自動車生産の海外生産拡充トレンドは変わらず,全体では前年比微増の台数となった。

国内は、一般社団法人日本自動車工業会の統計によると国内自動車生産台数は977万台、前年比1.5%増となった。海外においては、市場が回復している北米で販売計画を上方修正し、生産基地であるメキシコの設備投資の増加となった。中国では2014年の自動車生産台数は2,372台(前年比7.3%増)で1桁台の増加に留まった。タイは購入支援策終了の反動源と政治混乱で内需は縮小、輸出は小幅増で生産台数は前年比11%減の220万台。インドネシアでも政策緊縮で自動車販売は減少。IT関連投資ではスマートフォンのアルミ化に伴い、中国、韓国、ベトナム向けの需要増に伴い堅調に推移した。

このような外部環境の中にあって、
①ダイカストの国内生産量は100.26万トン、前年比1.6%増となった。
②ダイカスト需要の88.1%を占める国内自動車生産台数は977万台、前縁比1.5%増となった。
③ダイカストマシンの生産台数は902台、前年比24.4%となった。
④ダイカストマシン(付帯装置を含む)の生産額は35,119百万円、前年比15.9%増となった。
⑤ダイカストマシンの国内向け出荷台数は155台、前年比44.9%増、また、出荷額では4,139百万円、前年比33.6%となった。
ロクダイカストマシンの輸出については台数で738台、前年比8.5%増、また、金額では26,920百万円、10.1%増となった。
⑦ダイカストマシンの全出荷台数は893台、前年比13.5%増、また、全出荷額では31,059百万円、前年比12.8%増となった。
⑧主な輸出国(金額ベース)は、1位 中国、2位 韓国、3位 メキシコ、4位 タイ、5位 インドネシア、6位 アメリカの前年同順となり、東アジアと東南アジアの合計d絵全輸出額の82.7%を占めた。
⑨ダイカストマシンの付帯装置を含む全出荷額は34,899百万円、前年比12.0%増となった。

(1)コールドチャンバ機の市場
平成26年全体の出荷実績は831台で前年の733台に対し、13.4%増加した。

内訳は、国内向けは125台で前年の80台に対し、56.3%増、輸出が706台で前年の653台に対し8.1%増となった。

輸出比率は前年の89.1%から4.1ポイント減少し、85.0%となった。国内では、国内自動車生産減少に反し、小型機中心に出荷台数増となった。海外においては、韓国でのWON高、円安による設備投資マインドの高まり、北米向け部品輸出増及びIT関連の需要増により2013年に引き続き販売増が見込まれたが、実績は前年比減となった。中国においては外資系自動車メーカーの増産計画に伴う、専業ダイカスターの旺盛な設備投資意欲により出荷台数増となった。アメリカ、メキシコといった北米向けは昨年度から引き続き好調を持続した。

タイ、インドネシアでは中国の人件費高騰による生産拠点のシフトにより微増、ベトナムではスマートフォンの生産需要増により小型機中心に増加、インドでも小型機を中心に微増。

型締区分別に出荷台数をみると
①150トン未満        115台(前年比18.6%増)
②150トン~300トン未満    94台(前年比32.4%増)
③300トン~500トン未満   306台(前年比 3.4%増)
④500トン~1,000トン未満  226台(前年比14.1%増)
⑤1,000トン以上        90台(前年比26.8%増)
となった。

(2)ホットチャンバ機の市場
平成26年の全体の出荷実績は62台で、前年の54台にタイして14.8%増となった。

内訳は、国内向けが30台で前年27台の11.1%増、輸出は32台で前年の27台に対し、18.5%増となった。

輸出比率は前年の50.0%から1.6ポイント増加し51.6%となった。出荷台数を型締区分別にみると、前年と比べて、30トン未満及び、30トン~100トン未満では増加、100トン以上では減少した。

①国内においては、アベノミクスの経済政策による補助金を活用した増設需要が期待したほどではなかった。また、老朽化設備の更新及び設備の需要がわずかながらあった。増設需要の際にはより高性能の射出回路を搭載したマシンを希望するユーザーがあった。

②海外においては、円安の進行による設備需要があったが、競合する海外メーカーの安価なマシンの台頭により需要が伸び悩んだ。また、中国及び東南アジアでの経済低迷により需要が伸び悩んだ。

型締区分別に出荷台数をみると、
①30トン未満         33台(前年比32.0%増)
②30トン~100トン未満    14台(前年比63.6%増)
③100トン以上         11台(前年比 38.9%増)
となった。

平成27年の市場見通し

経済動向について国内では、昨年に引き続きアベノミクス政策の下、産業競争力強化法に基づく、補助金や設備投資促進税制により景気回復、設備投資需要のアップが見込まれる。北米では、昨年に引き続き好調なアメリカ経済を背景にアメリカ、メキシコでの設備需要は引き続き旺盛であると考える。アジアでは、中国は中期的な中国自動車市場の拡大を見込み、日経のみ鳴らず、欧米韓系自動車メーカーの生産能力増強が進められているが、ベトナム、インドでは生産コストで競争力があり生産シフト、拡充が見込まれる。

ダイカスト業界において、国内は、昨年に引き続き省エネ、環境対応、最新技術導入を目的とした設備の更新需要、政府の経済対策による設備投資が増えると予想する。

海外は、北米・中国は引き続き好調であるが、東南アジアはタイでの政情不安、インドネシアの緊縮財政が継続、設備需要は停滞すると予想される。韓国向けは、スマートフォンのアルミ化に伴い小型機増が期待できるものの全体としては減少すると考える。全体としては、国内は前年比増、海外は前年比微減と予測する。

このことから平成27年の全出荷台数を918台、前年実績比2.8%増とし、その内訳は国内向けが236台、前年実績比52.3%増、輸出は682台、前年実績比7.6%とした。

(1)コールドチャンバ機の市場見通し
平成27年のコールドチャンバ機の国内需要は208台、前年実績比66.4%増、輸出は645台、前年実績比8.6%減とした。

合計では853台の出荷を予測し前年実績比2.6%増とした。
主な予測要因としては、
①国内において低燃費車(ハイブリッド車、系・小型車)の販売増加と政府の経済政策による設備投資促進の効果があること。
②自動車の軽量化・合理化技術が進み、生産の高効率、省スペース、省エネ技術を盛り込んだ設備投資が促進されること。
③リーマンショック以降国内の設備投資が抑制され設備老朽化が進んでおり、その更新需要が見込めること。
④北米の自動車生産が増加し国内ローカル台カスター及びメキシコに拠点を持つ日経企業の設備投資が増加すること。
⑤中国では継続して自動車販売数拡大が見込める他、落ち込んでいた日経自動車の販売須が復調基調になっていること。
⑥スマートフォン筐体のアルミ化に伴う、小型コールドチャンバ機需要増が期待される者の全体台数としては微減すること。
⑦隊、インドネシア向けは財政緊縮で継続需要増が見込めないこと。
⑧インドは自動車生産増の計画があり、前年比の微増が期待できること。

型締区分別に出荷台数を見通すと
①150トン未満        119台(前年比 3.5%増)
②150トン~300トン未満    48台(前年比48.9%増)
③300トン~500トン未満   350台(前年比 14.4 %増)
④500トン~1,000トン未満  239台(前年比 5.8%増)
⑤1,000トン以上        97台(前年比 7.8%増)
とした。

(2)ホットチャンバ機の市場見通し
平成27年のホットチャンバ機の国内需要は28台、前年実績比で6.7%減、輸出は37台で前年実績比15.6%とした。

合計では65台の出荷を予測し、前年実績比4.8%増とした。
主な予測要因としては
①国内においては、経済政策の補助金の活用による設備の更新はあまり期待できない。老朽化設備の定期的な更新需要は前年並みとなること。
②海外においては、円安基調による設備需要が前年に引き続き期待でき、東南アジアで2輪・4輪向けの設備の需要があること。また、中国での人件費高騰により、他の地域へ生産移行する際の設備投資の期待ができること。

型締区分別に出荷台数を見通すと
①30トン未満         30台(前年比 9.1%増)
②30トン~100トン未満    15台(前年比16.7 %増)
③100トン以上         20台(前年比 81.8%増)
とした。

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