【レポート】INTERMOLD2015で見た各社の製品群 ~ココが良かった!~

「INTERMOLD2015/金型展2015/金属プレス加工技術展2015」4月15日(水)~18日(土)までの4日間、東京ビッグサイトで開かれ、多数の来場者で賑わった。
会場内でみた各社製品の注目した点をレポートする。

「工程集約の新たなステージへ!」アマダマシンツール

アマダマシンツールの最も注目されたマシンは5軸ミーリングから研削複合加工までを一台でこなすマルチプロセスセンター『GX350』。工程集約を実現し、高い経済効果を生み出すマシンだ。このマシンは、加工領域が大幅に拡大するガントリー構造を採用している。独立ロータリーテーブル(C軸)により、ワーク重要が機械の動的精度に影響しない高精度な5軸加工を実現した。研削複合加工にも工夫がなされている。φ150mmの砥石まで対応可能なATCを標準装備。円筒研削、平面検索、治具研削など加工バリエーションの領域が拡大し、自由度の高い研削複合加工ができる。また、駆動軸にリニアモーターを採用することで輪郭加工の形状精度がアップ。高性能スピンドルにより、高精密ミーリング加工も可能だ。

工夫がいっぱいだったイワタツール

イワタツールのブースは来場者を楽しませる工夫が至る所に散りばめられていた。工具だけでなく、ブースを彩る宣伝のためのポスター等も社員が登場したりと非常にユニークな内容となっていた。人気商品はやはりHRC40~72の焼き入れ鋼の加工が可能な『トグロンハードシリーズ』。オイルホール付きのものもあった。また同シリーズにはφ0.1~φ2.0も新しく登場している。新設計2枚刃で刃長が径の6倍のスタブタイプと12倍のレギュラータイプもあった。

ステンレス・チタン合金用ドリルの技術が面白い! オーエスジー

人気の「A」シリーズの中で、プレミアムの位置付けにある、ステンレス・チタン合金用ドリル『WDO-SUS-5D』に今回は注目したい。このドリルは、ステンレス、チタン合金の加工では加工硬化や切りくずの伸び、切削温度上昇による工具寿命の低下、溶着などのトラブルが多いことを背景に開発した商品だが、クーラント排出量が増大し、切りくず排出性を向上させ切削熱を素早く除去する新型オイルホール形状を採用している。その穴が実にユニーク。丸穴のイメージがあるのだが、よく見ると、穴が台形だった!

人気は『VM43R』 大阪機工

OKKの人気はなんといっても“リアルな重切削を可能にする”立形マシニングセンタ『VM43R』。ダイヤゴナルリブ(三角リブ構造)を配置し剛性アップと吸振性の向上を図り、摺動面は角形すべりガイドとすることでスムーズな切削と高品位な仕上がり面を実現したことを来場者にPR。フロアスペースを1980×2655mmに抑え、コンパクトでありながら剛性の強さを存分に披露した。ソフトスケールⅢ・HQ機能など高精度機能も標準装備し、動的位置決め精度や加工形状誤差を向上させることも魅力であった。高品位な金型加工から部品加工、量産加工とニーズに応じた主軸の選択もできるマシン。

バリ取り革命を起こしたジーベックテクノロジーは時間の有効活用を推奨する

最近は平成26年度ダイバーシティ経営企業100選(主催:経済産業省)に選出され、その注目度は高まるばかりのジーベックテクノロジー。従来はバリ取り・研磨といったら手作業というイメージが強かったが、同社はそれらの自動化を追究しており、今回も高能率化を求めた来場者が足を止めていた。注目されたのは、独自セラミックファイバー製『XEBECツール』を用いた金型の研磨自動化である。切削工程後のカスプ除去→粗磨き→中磨きまでを自動化すれば従来熟練工手研磨による85分の工程をなんと1.5分に大幅削減できるという高能率をアピールした。また、手作業でも困難な磨き部位で重宝する『XEBECハンドツール』も簡易的でありながらしっかりとした仕上げができると好評だった。

工具マニアは大喜びだったダイジェット工業

さすがは大阪! という雰囲気と確かな技術に魅了されるファンが多いダイジェット工業。今回も充実した工具がズラリ。特に注目した製品は、刃先進化形の『ミラーSチップ(TGタイプ)』。この製品に新材種『DH102』が登場したことにより、高精度金型仕上げ加工『ミラーボールBNM/MBN形』に高硬度材用刃先強化形チップが新たなラインナップに加わった。高硬度材・高速加工向け新PVD被膜『新DHコート』と高硬度材用微粒子超硬合金の組合せによる新材種『DH102』を採用した工具であり、ネガ刃形の採用で60HRCを超える高硬度材の高速加工も長寿命を誇る。長い突出し長さでの加工や肉盛分加工、複数の被削材同時切削などに威力を発揮する。

大昭和精機は、赤外線光学式伝達様式タッチセンサを展示

BIGの愛称でお馴染みの大昭和精機。今回、遠赤外線光学式伝達方式タッチセンサ『OPT2000/OPT2500』が新製品として展示してあった。この製品はコントロールユニット不要で機械への導入が容易というメリットがある。特長は、センサ本体に設けたバッテリーアラーム回路により電圧低下を伝達するので、センサや機械の破損を未然に防ぐバッテリーアラーム伝達機能も搭載していることと、シャンクアダプタとの組合せにより、BT・HSK・CAPTOや専用特殊シャンク等あらゆるテーパシャンクに対応できること。指向性赤外線発光タイプ『OPT2000』は、小型機械に最適なタイプ、360°赤外線発光タイプ『OPT2500』は受信機の場所を選ばない360°赤外線発光タイプ。汎用機・大型機などあらゆる工作機械に対応する。

爆削! 来場者に強烈なインパクトを残したナガセインテグレックス

今回、目を引いた「爆削」の文字。爆削とはなんぞや? と思いきや文字から激しく削れるイメージがあるとおり、これは商品名である。同社の超精密クーラント・供給システムのことだった。平面研削加工で約5倍、ハイレシプロ研削で約7倍(いずれも同社従来比)を達成しているというから驚きである。超精密クーラント濾過・供給技術+最新の水分子クラスター極小化技術で驚異的な能率での研削加工を実現し、開発するに至るまでは相当のデータをとりまくったという。加工点での熱の発生を抑えるため、形成砥石へのダメージを抑えるうえ、砥石の目詰まりを抑制。難削材研削及び高番手での加工能率も向上させる。

日進工具は近日発売予定のCBNボールエンドミルシリーズがズラリ! 

近日発売予定のCBNボールエンドシリーズがズラリと並んだ日進工具から2製品を紹介しよう。光沢感にこだわりを持つワンランク上の仕上げ面を求めるユーザーに人気のCBNスーパースパイラルロングボールエンドミルSSPB220に首下長を延長した『SSBPL220』がラインナップ。切れ味と耐チッピング性を両立させたスパイラル形状と強めのバックテーパ形状の採用でさらに深部の仕上げ加工に対応する。サイズはR0.1 ~R1の全27サイズ。もう一つは、CBNスーパースパイラルロングテーパーネックボールエンドミル『SSPBTN220』。これは高剛性化を可能にするテーパーネック形状を採用したCBNロングネックボールエンドミル。深部の仕上げ加工に貢献する。サイズはR0.1 ~R1の全64サイズ。

切削工具で培った技術を金型材に活かした不二越

高機能金型材『DUROシリーズ』は、従来の使用されてきたダイス鋼に比較して寿命が5倍、10倍の性能を誇る金型材だ。特に『DURO-V2』『DURO-V5』『DURO-SP』は、同社の切削工具で培った技術を金型材に生かしている。独自の特殊溶解技術により靭性と耐摩耗性を高度にバランスさせ、粉末ハイスを超える性能を実現した。同シリーズは全8鋼種をラインナップ。冷間から温熱間の金型までに対応しており、様々な要望に応えることが可能になっている。材料から工具、ベアリング、工作機械、ロボット、フルードパワー等々、産業に必要なものをほとんど生産している同社。自社のベアリングに使用しているのも同社の金型材である。また、ついホカホカの新製品である高級粉末ハイスとSGコーティングを採用し、剛性と切り屑処理性を両立した『SGタップシリーズ』と、汎用性と超寿命を実現したコストパフォーマンスが抜群の『Nタップシリーズ』も展示していた。

牧野フライス製作所が提唱する「FLOWER PATTERN」の優位性

マキノが提唱する「FLOWER PATTERN」とは、通常サンプルの梨地加工と違って大きな放電痕を残して仕上げる加工で、同社はこの技術をICモールドに特化していたが、この技術をさらに改良して、磨きが不可能な狭小リブ加工に展開した。離型性も良いので金型のメンテナンスが改善し、生産性向上が期待できる。新制御装置にも注目したい。シンプルで操作の流れが分かる画面構成とオペレータに応じた画面カスタマイズが可能である。ボタンの装置にそって操作するだけなので、操作数が約40%(従来電源比較)も削減できたという。しかも今回は、右利き、左利き、といったオペレータの利き手を考慮した配置もできるうえ、ボタンも使い勝手に合わせて並べ替えが可能になっている。


精度の信頼性を裏付ける三井精機工業の『Vertex55X Ⅱ』

コンパクトな設計でありながら、最大φ750mmのワークが積載可能であるVertexが精度規格の21%向上、ATC時間の40%削減、省エネ回路追加による電力約8%削減等のリニューアルを行い『Vertex55XⅡ』となって登場している。高精度パッケージ機は冷間鍛造金型で納入後1年以上も加工精度3μ以内を保っているというから、精度の信頼性並びに注目度も高い。高精度や高速5軸などのパッケージオプションもあり、また直線軸による同時3軸加工の際にパラメータの最適化を行う『MPAC』を標準搭載している。徹底したつくり込みに定評がある同社を代表するようなマシンである。

三菱日立ツールは加工法を進化させていた!

4月1日に日立ツールから新しく三菱日立ツールとなった同社は、トータルに加工法を進化させる『Hi-Pre2(ハイプレツー)』を提唱していた。これは、高精度な金型の製作には最終仕上げ前の荒・中仕上げ工程の加工精度が大きく影響を与えるが、この荒加工から高精度を追究し、磨き・調整まで含めたトータル工程での最適化を狙う――という考え方である。最新テクノロジーがつまった製品はミーリング加工用インサート『AJコーティングシリーズ』。従来膜よりもAl含有量を増加した新組成系のAlTi系被膜は、耐摩耗性・耐チッピング性、耐熱性に優れている。また、耐溶着性に優れた低摩擦効果のコーティング最表層を採用したことにより被削材の溶着が低減し切削抵抗も低下するという。

高能率加工を来場者に示していた三菱マテリアル

三菱マテリアルは、高硬度鋼からプリハードン鋼、汎用鋼材まで高速かつ高能率に加工する際、困難であった荒加工時の高送り加工を可能にした複合ラジアスエンドミル『VFFDRB』ほか、 ネガインサートの両面使用による経済性とポジインサートの切れ味、切りくず排出性の良さを融合させた『WSX445』を展示し注目を浴びていた。最近は続々と新製品を市場投入し、勢いの良さも同時にPR。最新工具と加工方法による高能率加工を来場者に示していた。

ユーザーの高度な要求にも親身に応える安田工業

Y軸上に高剛性・高精度BC軸を搭載した『YBM Vi40』は、各軸移動体の質量差を極力小さくするとともに、質量の大きな移動体を低重心に設定することで、優れた制御性・減衰性を実現したマシンとして高い注目を浴びており、複雑な形状の部品や高硬度・高面品位金型の5軸加工は、ますます高精度が要求されていることから、マシンへの期待度も高まっているのが分かった。主軸とワーク、作業者と加工点をより接近させ、操作性や作業性ともに向上させていることも魅力だった。

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