【レポート】ヤマザキマザックが「TOUCH THE FUTURE」を開催
製造業のデジタル化を実現し、利益向上に繋がるソリューションを提案
今年のプライベートショー「TOUCH THE FUTURE」の特長は、最近のトレンドであるIoTやインダストリー4.0等を視野に入れた展示が目立ったこと。製造業のデジタル化を実現し、生産現場の利益向上に繋がるソリューションを提供しており来場者の興味を集めた。中でもヤマザキマザックが推進している「iSMART Factory」に注目したい。この取組みは、現在、自動化・省人化ニーズ、人とロボットの共存、非熟練工の活用という、製造現場が直面している課題に対応するため、次世代のものづくりを同社自ら実践し進化させてきたもので、新世代CNCシステム等の最先端技術などによって確立している。その中核をなすのがスムーステクノロジーだが、これは「高度な生産をスムースに実現」し、ものづくりの喜びを提供するための革新技術の総称を示すもので、この中には、さらなる工程短縮を実現するための5軸・複合加工技術の促進や、能率と品質の両輪で現場の声に応えるための高速・高精度技術、そして、工作機械本体の性能だけでなく、機械をコントロールするための知能化技術が含まれている。また、リアルタイムに工場を管理するためには工場内での情報を共有化も必要になるため、ネットワーク技術にも注力している。
いち早く自動化やFMS(Flexible Manufacturing System)といった多品種少量生産に対応した技術に目をつけ、取り組んできた同社。27年の歴史と2000セット4800台の納入実績を誇るFMSマシンは、簡単操作でスケジュール運転を行うだけでなく、単体機納入後でも顧客の仕事量に応じて拡張できる仕組みとなっている。
サイバーセキュリティも万全! 悪者は侵入させない!
さて、最近同社では、製造業の デジタル化やスマートファクトリー化に対応するプラットフォームとして、IT業界のリーディングカンパニーである米シスコシステムズ社と共同で、「MAZAK SMARTBOX(マザック スマートボックス)」を開発したと発表したばかりだが、(関連記事はコチラ↓)
http://seizougenba.com/node/6631
この製品は、推奨している「iSMART Factory」を実現するネットワーク中継器。サイバーセキュリティを担保し、工作機械を事務所ネットワークやインターネット、クラウドへ接続する。
生産現場のトレンドは、工場内をネットワーク化し、機械や加工プログラム、生産スケジュールなどの情報を共有化することだが、ここで考えなければならないのは、悪意を持った何者かの“機械の不正操作”等、現場が意図しない機械操作が行われるといった不安要素である。これを払拭しなければ安心することはできない。そこで同社は、米国発信の製造業向けオープン通信規格「MTConnect (MTコネクト)」を通信プロトコルとして採用し、工作機械や設備機器とのネットワーク通信をMTコネクトで行うことにより、サイバー攻撃など 内外からの不正なアクセスを遮断するといった仕組みを構築し、現場に安心と安全を提供する。なお、マザックが主導し、グローバル標準になりつつあるというから頼もしい。メーカー、設備の新旧を問わず接続可能であり、工作機械だけでなく、ロボットや計測装置にも対応しているという。まさに「MAZAK SMARTBOX」は、悪者から身を守る正義の味方でもあろう。
さて、新商品といえば、今回、大型工具の工具室から移送とマガジンの脱着を安全かつ用意にした省スペースで大容量のラック式マガジン「TOOLTECH」が展示されていた。この巨大なツールマガジンの特長は、作業者が従来、手で取り付けていた40kgの重量工具も工具室で専用治具を用いてツールカートにセットして移送し、マガジンへカートをそのまま直接ドッキングするだけで安全&簡単に工具交換できることである。しかも、長さ・外径サイズの異なる大・小径工具の収納場所を仕分けすることにより、スペース効率を格段に向上させ、大幅な省スペースを実現している。また、タッチパネル式のマガジン操作盤を標準搭載し、画面切替、データの選択入力がタッチ操作で直感的に行える。
大型複合部品に対応するため旋削や特殊加工機能を実装したフラッグシップ立形5軸加工機「VARIAXIS i-1050T」が展示されていた。この新の技術的特長は、ワンチャッキングで多面加工はもちろん、同時5軸制御加工から旋削加工までの連続加工が可能で、シリーズ最大級のφ1250mmの大型ワークが加工可能であることと、ダンデム駆動の高剛性チルトロータリーテーブルがあること。画面ガイダンスに沿った変数入力のみで簡単に計測プログラムが作成可能で5軸加工精度の必要な関係寸法と瞬時に補正するといった優位性を持つマシンだ。なんと、ヨーロッパでも先進的な大学のひとつであるドイツアーヘン工科大学では同社の「VARIAXIS i-600」が世界最先端の研究に使われている。
昨年、話題となった金属3D プリンタの3D 積層造形技術を融合したハイブリッド複合加工機も展示しており、そのデモ加工に来場者は釘付けとなっていた。