最新技術を身近にする「ソディック東京ショールーム」のココが凄い!
昨年1月にソディックは、アクセスに便利なJR東京駅八重洲口の向かい側に「東京ショールーム」をオープンし、話題を集めた。ここには、注目の金属3Dプリンタ「One Process Milling Center OPM250L」が2台、ワイヤ放電加工機「SL400G」、V-ライン搭載の射出成形機「GL30」が展示され、同社が提唱している“ワンストップ・ソリューション”を直接体験できるという、まさに“体験型ショールーム”だ。しかもマシンの展示だけではなく、加工現場が求めるソリューションの提供の場として最新の技術セミナーや各種イベントを開催している。今回、このショールームの見所などを同社営業本部DDM営業部の窪寺恵美さんに案内してもらった。
金属3Dプリンタを実体験できる
JR東京駅八重洲口の向かい側にひときわ光るのは緑色のSodickの文字。ウィンドウ内にあるのは金属3Dプリンタ「One Process Milling Center OPM250L」だ。この製品は、日刊工業新聞社主催の「2014年第57回十大新製品賞」、「2015年第45回機械工業デザイン賞日本力(にっぽんぶらんど)賞」、日本デザイン振興会主催の「2015年度グッドデザイン賞」を受賞している。
このあたりはオフィスビルも建ち並ぶ。製造業界ではない方々が、おそらく建物の中に展示されているマシンを見ても、「なにをするものだろう?」と疑問に思うだろうが、ガラス越しにみるマシンに、「興味のある方はどうぞいらっしゃい!」という、“身近さ”を感じた。
いざ、ショールームへ足を踏み入れる。
工作機械はものを生み出す機械、まさにマザーマシンという呼び名がありながら、一般的には馴染みが薄い。こうした工作機械のショールームにブラッと入りたくても、なんとなく近寄りがたいイメージもあるだろう。
窪寺さんの所属するDDM営業部は金属3Dプリンタ選任であり、営業3名、エンジニア 3名(東京ショールーム)、2名(本社)、1名(大阪) 他2名の11名の構成で成り立っている。東京ショールームで紅一点の窪寺さんは入社1年目。このショールームで受付から説明まで笑顔でこなす。
来訪者はこの1年ほどの間で団体を含め約2,300名。立地条件の良さに加え、金属3Dプリンタという新技術を搭載したマシンを知りたい、触りたい! という方々の好奇心や製造現場の経済効果に直結するようなソリューションを提供している。
ところで今では注目度の高い金属3Dプリンタだが、その設備について、まだまだ広く知られていないのが実情である。こうしたことから金属3Dプリンタについては様々な誤解もあるようだ。実際、これらが市場に出回るようになったのはここ数年の話であり、この新しい設備を導入しているところも少ないのが現状である。つまり、加工のイメージが沸きにくいのだ。
このように急成長を見せている途中の金属3Dプリンタだが、窪寺さんに、「実際の来訪者の反応はどうなのか」と尋ねたところ、「見学したお客様の中には、自分が思っていたイメージと違った、という方も多く、宙に浮いて出来上がるイメージを持たれて来られる方もいらっしゃいます。実際に見ていただくと分かるのですが、金属粉末に埋もれた状態で完成しますから、それをみて驚かれる方もいらっしゃいます」とのことで、やはりこの技術、トレンドでありながら、原理が広く認知されるには至ってはいないようだ。そういった点からもソディックが身近に最新マシンを提供場を設けたというのは、ありがたい話だ。ソディックの攻めどころのひとつといえば金型だが、3Dプリンタを使用したものづくりで金型をつくるとなれば、従来の工法で出来ているものを置き換えることになるので、コストが合わなくなるという懸念が出てくるが、ソディックの強みはなんといっても要素技術を全て自社開発・製造していることだろう。同社が注力している金型業界は高い品質が求められ、品質維持が難しい業界である。こうしたことから、加工現場において金属3Dプリンタの正しい知識が必要になる。この東京ショールームは体験型の展示場であり、見て、触れることができる優位性を持つ。海外の来訪者も多く、英語・中国語で対応可能であることも嬉しい。
同社は、金属3Dプリンタ「One Process Milling Center OPM250L」が普及する狙いのひとつに、「金型を例に挙げるとリードタイムとコスト削減に寄与できる」ことを挙げている。少し前までは、「思い描くデザインをして3Dプリンタでできた!」と、いうなれば形状の確認で終わっていたものが、今では鋳造や金型で出来ないような材料、例えばチタンアルミナイトライド(TiAlN)のような難しい材料もチャレンジせざるを得ない状況が見えている。今、まさに、3Dプリンタに求められるのは、形状寸法や面粗さであり、高い品質が要求される時代になったといえる。「工作機械は皆様の身近にあると感じて頂けたら嬉しい」
「ショールームがオープンしてから印象に残ったことは?」と尋ねると、「多摩美術大学と東新製作所と弊社でこの場所で展示会をしたことがあります。学生さんのアイデアに3Dプリンタを使って一輪挿しをつくったのですが、素晴らしい出来映えでした。その一輪挿しはショールームに飾ってあるんですよ」とのこと。
窪寺さんは、「まったく金属3Dプリンタについて知らなくても良いので、気軽に見学に来て頂き、こういうものなんだ、ということをここに来て感じて欲しい。工作機械メーカーというと、なんだか遠い世界のように思いがちですが、意外と身近にあるものなんだと、この東京ショールームで知って頂けたら嬉しいです」と笑顔を向けた。
金型業界は注目! これが金属3Dプリンタ「OPM250L」の優位性だ!
ソディックが提案している“ワンストップソリューション”とは、設計から始まり、金属3Dプリンタ「OPM250L」での金型製作、さらに、その金型を活かした射出成形機での製品成型まで、全ての工程を同社の技術で成し遂げることを指している。
プラスチック射出成形は使われる金型の構造により成型性能が左右されるが、重要なことは“金型内の温度コントロール”といわれている。「OPM250L」を金型製作に応用した場合のメリットは、このマシンで制作された金型は、内部に3次元冷却配管を設置することができること。従来金型では不可能だった超ハイサイクル化と同時に、成型収縮率を最適化することが可能になったのである。
「OPM250L」は、金属粉末を均一に敷く。これをリコーディング工程というが、その金属粉末をレーザー光でスキャンすることにより溶触凝固させ、その後回転工具で高速ミーリングによる高精度仕上げ加工を行う全自動マシンである。主軸に45000min-1のスピンドルを搭載し、高速・康応等な駆動を実現する自社製リニアモータとの相乗効果で高速・高精度な加工を実現し、加えて自動工具交換装置や自動工具長測定装置を標準で搭載することで、長時間の連続自動運転を可能としている。4月20日(水)~23日(土)までインテックス大阪で開催される「INTERMOLD2016 / 金型展2016 / 金属プレス加工技術展2016」では、ソディックの提案として、実際に金型をつくって成形したものを披露してくれる。それが、どんな構想で造ったか―――を知るチャンスだ。
●ソディック東京ショールーム
・営業時間: 9:00~17:00
・定 休 日: 土日祝日、年末年始、夏季休日などの会社休日
・電話番号:03-6262-1641(代表)
・所 在 地:東京都中央区八重洲2-2-1 住友生命八重洲ビル1F