安田工業がMC生産を強化! 7億円を投入した第3工場 生産能力25%アップ!
安田工業(社長=安田拓人氏、岡山県里庄町)が、本社敷地内にある第3工場にMC組立工場を増築中だったが、このほど竣工した。7億円を投じた新組み立て工場は、延べ床面積2800㎡、1200㎡が組み立てスペースとなっている。近年、米国などで航空機部品向けの需要が増加していることに対応した海外向けマシンの組み立て専用工場となる。これにより生産台数は25%アップを見込んでいる。
勢いのある安田工業を訪ね、増設ホカホカの第3組み立て工場をレポートするとともに、田邉洋始 取締役製造部 部長にお話しを聞いた。
ビッグ3に食い込んだ! より積極的な投資で受注増を狙う
工場新設といえば、通常の感覚だと、生産が増加し、工場が足らなくなったから工場をつくった―――というイメージを持ちやすいが、「今回はより積極的な投資です」と田邉部長。
「トレンドといえば航空機産業と微細加工分野が挙げられますが、特に航空機関連市場は拡大路線をいくと予測されています。この分野は、弊社の得意とする金型分野とは違って部品加工の分野。しかも認定され、指定されたものでないとつくれない。この度はこの分野に積極的に打って出る為の投資です。ですから、工場が足りなくなった! というものとは少々違った目線で行った設備投資であり、より積極的な設備投資です」(田邉部長)
最近は、航空機エンジンの仕事がどんどん日本に入ってきているうえ、材質もますます削りにくくなっていると聞いた。田邉部長は、「被削材も新材料が出てきており、精度も剛性も出て加工能力が高い機械の需要が大きくなったと感じている」という。安田工業の機械は、すでに航空機エンジンメーカーで使用されているという実績もあるうえ、最近では世界三大航空機用エンジンメーカーの一社“GE”からエンジン部品の加工に使うマシンを2台受注している。意気込みを尋ねると、「“全ての主要航空機部品メーカーで使っていただきたい! という感じですが、この度“航空機用エンジンメーカーのビッグスリーに食い込んだ”というところが大きいですね」と元気の良い返答があった。
さて、古い機械で航空機部品の加工をしていた、という話はよく聞く。これらのことから、最新設備に更新するという潜在需要はあるのではないか、という期待も膨らむが、田邉部長は、「一度、われわれの機械を採用してくれたら、それを30年使うんです、といわれるとリピートもそんなに期待できないというのが正直なところ。航空機の場合は自動車と違って年間何十機と生産は決まっている。それが10年、20年同じモノをつくるので、この分野の投資がどんどん進んでいくかというと疑問。ある程度一巡したら、それ以上の設備投資はないのかな、という印象を受けているが、30年後の基盤づくりの為、航空機関連市場には今後も力を入れていく」と、冷静な目で見ているようだ。
安田工業はミクロン単位が必要とされる金型業界をベースに事業を展開し、強みとしている。国内工作機械メーカーの受注高はおよそ国内3割、海外7割とされているが、同社では国内6割、海外4割と若干様相が違う。

これが増設ホカホカの第三工場だ!

制御盤を製作する4階からは専用のエレベータで直接組立工場へ制御盤の供給が可能であり、風除室の上部には部品倉庫も完備しているので、一箇所で組み立て全てが完成し、これが製造時間の短縮に結びつき、作業効率を上げるそうだ。
写真の天井に注目していただきたい。ノズルが確認できるだろう。このノズルからの気流によって、空気を室内全体に行き届かせ、均一な空調と換気を行っている。この仕組みにより、建物上下の温度差がなくなることで、温度に敏感な精密組立もバッチリというわけだ。

新工場の稼動にあたって、田邉部長は、「具体的にはこれからなんですが、現在、製造部をあげてプロジェクトを組んでいる最中です。今年は業界的にもJIMTOFやIMTSなど展示会も盛んな年ですし、25%生産能力がアップするのですから、過去最高の生産を! というのが製造部を挙げての目標なんですよ」と話してくれた。
同社の理念は“最大ではなく最高を目指す”。創業以来、厳しい品質管理のもと、高精度で高い耐久性を持つマシニングセンターを生み出しており、その評価は高い。
いつの時代も精度最優先の姿勢を貫いている。
ますます安田工業の動きに目が離せない。