【レポート】ヤマザキマザックが国内最大級のサポート拠点「瀬戸内テクノロジーセンタ」オープン!
ヤマザキマザック(社長=山崎智久氏)が、国内7カ所目のテクノロジーセンタとして「瀬戸内テクノロジーセンタ」を岡山県早島町に開設した。4月21日にオープニング式典を行い、4月22、23日の両日にはオープニングフェアを開催した。
「瀬戸内テクノロジーセンタ」は敷地面積約2,800坪、延床面積約800坪の大規模施設で、国内最大級のショールームには、大型のマシニングセンタや複合加工機、三次元レーザ加工機など最新の工作機械11台を展示、中国・四国地区の主要産業である造船、航空機、産業機械などの重厚長大産業に向けた質の高いソリューションを提案する。
また、瀬戸中央自動車道や岡山バイパスが通る岡山県早島町は、中国地区や四国地区からの交通アクセスに優れており、両地区のユーザーにとって利便性の高いサポート拠点となる。同社の「テクノロジーセンタ」は、単に機械を展示する従来型のショールームではなく、ユーザーの身近な場所で、最新の工作機械による加工実演や、加工技術支援や設備合理化の相談などのビフォアサービス、機械購入後のトレーニングなどのアフターサービスを提供する施設であり、同社は今回の「瀬戸内テクノロジーセンタ」を含めた全世界39カ所(国内7カ所)のテクノロジーセンタと、40カ所(国内26カ所)のテクニカルセンタで世界中の顧客に万全のサポートとソリューションを提供するとしている。
質の高いソリューションを提供する場
開設セレモニーでは、山崎智久 ヤマザキマザック社長、山崎高嗣 ヤマザキマザック副社長、下田知也 シモダフランジ会長、奥山 環 タダノ常務、中島基善 ナカシマプロペラ社長がテープカットを行った。
瀬戸内テクノロジーセンタは、事務所、ショールーム、3次元測定室、大会議室、トレーニングスクール、他、となっている。展示機は、複合加工機が「INTEGREX e-1250V/8S」、「INTEGREX e-670H」、「INTEGREX i-400S」、「VARIAXIS i-600」、NC旋盤が「MEGA TURN 900M」、「QT-COMPACT 300MY」、「QUICK TURN 200MA」、立形マシニングセンタが「FJV 5 Face-60/80」、「VCN-535C」、横形マシニングセンタが「HCN-6800」、レーザ加工機が「3D FABRI GEAR 220 II (4kw)。
このように、最新鋭の工作機械を展示し、最先端の加工技術、充実したトレーニング施設を持つ瀬戸内テクノロジーセンタは、専門スタッフにより、質の高いソリューションを提供するとしている。加工サンプルも豊富で斬新な展示内容となっていた。
中でも画期的だと感じたのは、「マシンオペレーショントレーニング」。この瀬戸内テクノロジーセンタで機械操作が学べるという。人材育成を支援することを目的とし、従来の「プログラムトレーニング」からステップアップした操作術を学べる。トレンドとなっているマルチタスキングマシンを利用しているユーザーを対象に、複合加工の高度な加工技術を習得し、マシンの潜在能力をユーザーが最大限に活用することを目的としたユーザー単位ごとの専任講師でのトレーニングを行う「マルチタスキングアカデミー」もある。
他にもトレーニングスクールでは学べない“マザトロール”のテクニックを教えてくれる「マザトロールステップアップトレーニング」もあり、生産性を向上させるためのコツなどをアドバイスしてくれる。単に機械を展示するだけでなく、品質を保持しながら経済効果を高めるためのノウハウを包括的に示してくれるテクノロジーセンタだ。
高まる大型マシンのニーズ
パーティの中であいさつに立った山崎社長は、熊本の震災に触れたあと、「多くのお客様や取引先様にも被害が出ているが、弊社としても現在、お客様の生産再開に向けて必要なお手伝いに最大限の取り組みをしているところである」と述べ、「中国・四国地区には、私どもの工作機械やシステムをご使用しているお客様がたくさんいらっしゃる。弊社は、お客様の近くで私どもの製品をはじめ、工作機械を使ったテストカットや様々なアプリケーション、プログラミングなどを実際にご覧頂いたり、技術的なソリューションを提供する目的で、通常の営業やサービスの拠点に加えて、世界中の主要なマーケットにテクノロジーセンタと呼ばれる施設を設置しており、日本国内にもこれまでに6カ所、テクノロジーセンタを開設している。オープンした瀬戸内テクノロジーセンタは、国内で7カ所目となるが、中国・四国地区のお客様に、より高度なテクノロジーソリューションと迅速なサービスを提供することを目的に開設の運びとなった」と、開設に至った経緯を説明した。また瀬戸内テクノロジーセンタのある早島町について、「瀬戸中央自動車道や国道2号バイパスが通っており、東西南北、各方面からの交通アクセスが大変便利な場所に位置している」と利便性を示した。「この利点を活かして、中国・四国地区のお客様の利便性を一層高めるものと確信している。瀬戸内テクノロジーセンタは、約2800坪の敷地面積の中、建物の延床面積が約800坪あり、これは美濃加茂にあるワールドテクノロジーセンタに次ぐ国内で2番目を誇るテクノロジーセンタとなる。この大きさを利用して他の地域では展示が難しい大型のマシニングセンタやマルチタスキングマシンの展示をはじめ、周辺機器を活用した様々なテクノロジーソリューションを提供したい」と意気込みを話した。また、引き合いの傾向について、「国内においてはより大型の工作機械のニーズが高まっている。特に中国・四国地区は、造船をはじめクレーンなどの大型重機やジェットエンジンなど加工物の大きな産業が盛んな地域である。この地域に大型の工作機械を展示するテクノロジーセンタを新たに設立することには大きな意味がある。また、他のテクノロジーセンタには展示できない大型機を展示することから、この地域だけでなく、他の地域のお客様にも瀬戸内テクノロジーセンタにお越し頂くことを視野に入れている。もちろん、大型機だけでなく、小型機や特定の産業に特化した機種も含めたワイドレンジな製品構成を持っていることがわれわれの特長であり強みでもある」とした。
「良い機械が一流のお客様を運んでくれた」
来賓を代表して、村上正士 日本ホイスト社長が、「本日、バスから降りるとマザックのオレンジのマークが目に入った。このロゴは、ケンタッキーでも大連でも世界中どこでもマザックのある場所に見ることができるが、私は、先進性、新規性、信頼性を表すマークとして認識している。今回の新テクノロジーセンタは白に統一され、機械の美しさに圧倒された。ところで、美濃加茂の工場は窓がありません。全て人工の照明です。人工の照明で手元の小さい配線、小さい作業をも照らす。照明の取り方ひとつとってもマザックのレベルの高さが分かる。温度管理についても、720時間も動く機械をつくっている工場なので、1年中温度管理をしている。工場の現場は埃もない。こうした現場で最新鋭の素晴らしい機械をつくっていることから、至る所に高度な配慮のなされた工場であると理解している。これだけの工場でつくる機械なので、世界一の高品質をキープされるのは当たり前。私はマザックの“V-140”という多面加工ができる機械を8年前に購入した。弊社の工場には年間250社ほど見学にいらっしゃるが、ある企業のオーナーが“最高なんぼまで吊れるホイストがつくれるか”と聞いたので“70トンです”と返すと、V-140を見たオーナーが、“これがあると100トンまでいけるでしょう。やってください”とお願いされ、肩を押された。100トンのホイストを6台つくりましたが、この時に私どもはグンと成長した。今から10年前、私どものホイスト業界におけるシェアはせいぜい20%だったが、その後、伸びを見せ、この2月には40%を超えた。もちろんマザックの機械がたくさん動いており、品質も上がっている。信頼の度合いが変わったと思っている。良い機械を買うということは良い製品をつくるというだけでなく、私は良い運を持ち込んでくれる、と切実に感じている。良い機械が一流のお客様を運んでくれた」とあいさつをした。乾杯の発声は三村俊博 三村鉄工社長が行った。
「責任を持って技術やサービスの提供をしていく」
志村雅人 ヤマザキマザックシステムセールス常務は、新設した瀬戸内テクノロジーセンタについて、「この瀬戸内の地に大型のテクノロジーセンタができたことをわれわれは嬉しく思っている。今回、お客様に発表したことによって、お客様の笑顔を受け止めることができ、責任を持って技術やサービスの提供を積極的にやっていかなければならないと、さらなる責任感を感じた。この中国・四国の地は、重厚長大産業が多いので、われわれの機械を実際に見て、体験して頂いて、その上で設備を決めて頂くことには大変良い施設だと思っている。営業だけでなく、技術でしっかりお客様に提供していくということを今後も続けていこうと思っている。また、技術や製品だけでなく、まずは人間。お客様に評価してもらうように頑張っていく。これからも可愛がってください」と心意気をコメントしてくれた。 なお、30カ所以上あるテクニカルセンタに在籍する所長の平均年齢は40.8歳と大変若い。営業職の平均も35.3歳だ。同社は、現在、中国・四国が絶好調。航空機や造船の勢いが後押ししているという。式典の参加者に話しを聞くと、「われわれの側にマザックが来てくれた。安心できる」、という声も多く、多忙な地域に心強いテクノロジーセンタの開設となったようだ。