「経済社会構造の改革が不可欠」 日本機械工業連合会が総会を開く

岡村会長
岡村会長
 日本機械工業連合会(会長=岡村 正 東芝 相談役)が5月20日、東京港区のホテルオークラ東京で平成28年度春季社員総会ならびに懇親会を開催した。

 岡村会長は、「本年は株価の急落等波乱気味の幕開けとなり、5月の連休では円高への急激な反動があった。不透明な経済状況下で総会シーズンを迎えている。リーマンショック後の世界経済を力強く牽引していたBRICsの中国は過剰設備・過剰債務を抱える中、急速な成長の鈍化を示した。また資源経済の好調のもとで活況を呈していたロシア経済においてもマイナス成長となった。インドを除いて極めて精彩を欠く状況になってきた。わが国経済をみてみると、アベノミクス効果のもとで、経済の好転がはかられてきたが、個人消費においても力強さに欠く状況が続いている。こうした中、政府に関しては的確な経済運営の舵取りを強く期待するところであるが、対応の一貫として、中長期の成長軌道を確実にするための経済社会構造改革ともいうべき取り組みが強く期待されるところである。成長を高めるためには、効果的な需要創出策と併せて、生産性の向上に直結するサプライサイドを含めた経済社会構造の改革が不可欠である。これは少なからず、産業界自身われわれの課題でもあり、日機連としてもこうした認識のもとで、微力ではあるが関係する団体として全力で取り組んでいきたい。経済産業省においては、産業構造審議会が第四次産業革命をリードする日本の戦略という副題をもって新産業創造ビジョンの発表をされた。この報告ではIoT、ビッグデータ、人工知能、ロボットに関連した技術のブレイクスルーが産業構造等を劇的に変化させることが可能になると言及された。こうした第4次産業革命の前にして日本は今、痛みを伴う転換をするのか安定したジリ貧を取るのか、その岐路に立っているのではないかということを指摘している。日機連ではこの産業構造ビジョンに先行して昨年、政府において昨年発表されたロボット戦略を踏まえてIoTによる製造ビジネス変革およびロボット利活用の推進による産業社会変革を目指して、その先進型の組織としてロボット革命イニシアティブ協議会を関係各位の支援のもと発足した。設立からちょうど1年が過ぎたわけだが、協議会の会員はその後コンスタントに拡大をしている。当初は226ほどの会員数も現在は400を超える状況に発展した」とあいさつをした。

 

「人手不足と電力コストの引き下げが大きな課題」

糟谷 経産省製造産業局長
糟谷 経産省製造産業局長
 来賓を代表して、糟谷敏秀 経済産業省製造産業局長があいさつをした。この中で糟谷局長は、「今年のものづくり白書の特長は、日本の事業環境が一定の改善をみせるなかで、国内生産拠点をさらに強化するうえでの課題を論じている。印象的なデータは国内生産をさらに強化するうえでなにが問題かということを調査したが、上位5位のうち3つにおいて労働供給面の制約だ、と答えたところが目立ったことである。人手不足が様々な課題になりつつあるといえる。上位5位のうち、第2位が電力コストで、電力コストが引き下がらないと、これ以上国内生産は増やせない、という声があがっている。第5番目に為替レートが挙がった。人手不足と電力コストの引き下げ、これが国内でものづくりをさらに増やしていくうえでの大きな課題であるということが浮き彫りになっている。また、付加価値の源泉がモノ自体からサービス、ソリューションに移る中で、単に良い技術で良いモノをつくる、ということだけでは生き残れないということが明確になっている。実際、ビジネスモデルの変革に取り組んだ企業等とそうではない企業とどう違うか、という分析を行ったところ、これは如実に違う結果が出ている。経営面の取り組みで、こんなにボトムラインに影響が出るのか、ということが浮き彫りになっていた」と述べた。

 古川 実副会長(日立造船会長)の乾杯の発生で開宴した。

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