新会長に辻本日立建機社長が就任。日本建設機械工業会が平成28年度通常総会および懇親会を開く
この日の総会で新会長に選任された辻本日立建機社長が、「当工業会は建設機械産業の建材産業の健全な発展を掲げ、日本経済の発展と国民生活の向上に寄与することを目的に1990年に社団法人日本産業機械工業会より独立し設立し、本年で27年目を迎える。この間、新興国の急速な経済成長に伴い、建設機械産業が活躍する土俵はグローバルに拡大した。当工業会では会員各社の国際的な事業展開はもとより世界各国の業界団体との積極的な交流を行うなど活動はグローバルに広がっている。足元の建設機械の市場環境を世界的にみると、平成27年度では中国経済の鈍化をはじめとして、新興国事業も減少し、欧米も減益に転ずるなど厳しい状況が続いている。国内では一部の機種でインフラ工事、オリンピック関連工事の増加、または震災復興等により全体として前年並みとなった。平成28年度については、海外事業は新興国の不透明感が強い一方で、国内は震災復興工事の継続やオリンピック関連の需要により堅調に推移するものと予想している」と述べた。 続いて来賓を代表して、糟谷敏秀経済産業省製造産業局長が、「建設機械業界は厳しい状況が続いている。排ガス規制の問題では、先進国の排ガス規制がどんどん厳しくなる中で、新興国とのギャップが広がっている。新興国でも厳しくなると、中古建設機械等に問題を生じかねない、ということで、今年に入ってからは業界の皆様と相談しながらASEANの新興国における環境規制の調和が図られるように対応をしていく所存である。現在、第四次産業革命といわれているが、建設機械ではアイコンストラクションが進んでいる。この付加価値がしっかりとカウントされ、新しい方向に見直していると伺っている。様々なところで新しい技術を搭載した建機システムの利用が進み、日本の建設業界の生産性が高まることを期待している」とあいさつをした。
「イノベーション委員会の活動を引き継ぎ、よりよい運営を目指す」
この日、新会長就任に伴い記者会見が開かれた。
まず、前会長の藤岡 純・コベルコ建機相談役が退任のあいさつをした。この中で、藤岡前会長は、「2年間という短い期間ではあったが、皆様方の暖かいご支援に心から感謝する。この2年間を振り返ると、リーマンショック後は市場を牽引してきた中国の大幅な需要後退、ASEAN諸国をはじめ新興国が失速低迷するなど厳しい2年間だった。事業活動面では、グローバル市場に向けて、規制調和に向けた取り組みを官に働きかける一方、国内市場に向け手は東北大震災からの復興、新たな排ガス規制の導入などや、さらには新産業構造ビジョン策定に向けた動きやアイコンストラクションの開始など、様々な課題に対して工業会としてなにができるのか、どういった対応が必要なのかと多くの議論を重ねた。社会のニーズや会員各社のニーズに精一杯対応してきたつもりである。一方、事業運営においては公益目的を追求するという立場が常に求められることから、健全かつ効率的な業界活動を図ってきた。わが国の製造業は近年の人口減少、新興国との競争激化、エネルギーや環境制約への対応といった課題を抱えているが、これらの課題を解決しながら、夢ある未来社会を実現していくには、IoTやビッグデータ、AI等の新たな技術の進展が必然である。工業会が牽引役を果たして、建設機械によるイノベーションを進め、国が進める未来社会の実現に注力し、その結果として日本の建機メーカーがキープレーヤーになりグローバル社会の成長と発展に貢献することを祈念している」と述べた。
続いて辻本新会長が、「藤岡前会長は厳しい建設機械の市場環境の中で、国内建機メーカーのグローバル社会の価値創生への貢献、会員各社に対して変化の先取り等、有用な情報提供で功績を残された。特にアイコンストラクション、インダストリー4.0の新しい技術やTPP等の新しい政策の対応として、イノベーション委員会を立ち上げ、活動に尽力された。このリーダーシップに対して感謝を申し上げる。当工業会は建設機械産業の健全な発展を図り、日本経済の発展と国民生活の向上に寄与することを目的に1990年に設立したが、新興国の急速な経済成長に伴い、建設機械が活躍する土俵はグローバルに拡大した。当工業会では会員各社の世界的な事業展開とともに、世界各国の業界団体との積極的な交流を行うなど活動がグローバルに広がっている。その中で、近年では生産性や安全性に寄与する技術開発が推進され、いろんな取り組みが進められている。新たな時代の流れに対応するため、藤岡前会長の功績であるイノベーション委員会の活動を引き継ぎ、よりよい運営を目指していく」と豊富を語った。