ジェイテクトが新構造のアンチクリープ玉軸受を開発
ジェイテクト(社長=安形哲夫氏)が、このほど主に自動車の変速機への使用を想定した新構造のアンチクリープ玉軸受を開発した。開発品は、クリープ(ハウジングに対して、外輪が回転してしまう現象)による摩耗に起因するハウジングや軸受の寿命低下対策として、従来一般的であった外輪厚肉化をすることなく、クリープを抑制することに成功した製品。自動車の変速機等の軽量化やコンパクト化に貢献する。
今後、CVTやHVなどの自動車変速機用軸受として自動車メーカーや変速機メーカーへ拡販を図るほか、クリープ抑制が求められる用途向けに広く展開していく。
自動車(特にCVTやHV)の変速機用玉軸受など、大きなラジアル荷重がかかる軸受には、外輪ひずみによるクリープ(ハウジングに対して、外輪が回転してしまう現象)が発生しやすいという特徴がある。クリープが発生すると、軸受とハウジングとの間で摩耗が進行し、軸の芯ずれや傾きが大きくなり、実機ユニットに不具合が生じる恐れが懸念される。外輪ひずみによるクリープ対策としては、外輪の厚肉化が一般的だが、軸受のサイズアップによる実機ユニットの大型化や重量増加といった問題があることを受け、今回、外輪の外径中央部に極浅い溝を設ける構造を世界で初めて採用し、玉と外輪軌道の接点から外輪外径とハウジングとの接触部までの距離を外輪厚肉化製品と同等とすることで、外輪肉厚を35%アップした場合と同水準のクリープ抑制を可能とし、上記問題点を解消した。
この開発により従来のような外輪の厚肉化が不要となった結果、自動車の変速機等の軽量化・コンパクト化が可能となった。
特長は以下の通り。
①外輪ひずみによるクリープに対して、今回開発品の構造・形状による対策は世界初(※同社調べ)。
②外輪肉厚35%アップと同等のクリープ抑制効果(例:ハウジング摩耗量を50%低減)。
③従来品との置き換えにより、変速機等の軽量化・コンパクト化に貢献。