牧野フライス製作所が5軸制御マシニングセンタ「DA300」と「D200Z」の発表会見を開く

従来、同社のDシリーズは、部品加工向け、金型加工向け、と区別してリリースをしたことがなかったが、今後は部品加工に特化したDAシリーズ、金型加工に特化したDZシリーズと、それぞれの市場に特化した製品をラインナップする。
部品加工市場向け「DA300」

①低重心な機械本体、②高剛性なブリッジ構造コラム、③高モーメントで長寿命な直動案内、④耐久性の高い新規開発20,000回転主軸、⑤Vision B.T.S、ATC、LAC制御、スーパーGⅠ.5制御。
ユーザーの気になるもののひとつ、“チップマネジメント”にも注目したい。センタートラフによるすぐれた切りくず排出や、多段式サイクロンフィルターの採用による永続的な切りくず回収に加え、垂直面と急傾斜面で構成された排出性の高い加工室内が魅力的である。他にも耐久性の高い1枚カバー(X軸)と、大流量主軸テーパクリーニングエアも信頼性を高めている。また、干渉防止機能としてぶつからない主軸(コリジョンセーフガード)も安心した5軸加工を提供してくれる。

鈴木敏弘 開発本部ゼネラルマネージャは、開発の狙いについて、「われわれが考えている部品加工はダイナミックかつ速い。特にこの機械は非切削時間の短縮を狙ってつくっている。ワークや工具の交換時間を含めて、切りくずを出していない時間をいかに短縮するかが大きな課題だった。また、自動化を視野に入れたつくりとなっているが、自動化をするためには、切りくずの排出性が重要である。無人で加工をしても切りくずが溜まってしまっては、掃除しなければ次に進めない。これがお客様の悩みとなっていたが、今回そうした悩みを払拭すべく改善している。」と優位性を教えてくれた。
高速高加速度性をうたっているこのマシンの主軸だが、20,000回転のHSK-A63、40番相当。最大出力22kW、最大トルクで91.3Nm。高速高加速度を掲げているだけあって、「DA300」が0回転から20,000回転までの立ち上げる時間はなんと1.5秒! ちなみに従来の立ち上げ時間は「D300」が3秒、「D500」は6.1秒というから、ものすごい進化だ。
5軸加工機というと、主軸とワークの干渉が気になるが、今回は主軸端面に埋め込まれたクーラントノズルで干渉領域を減らしているところも嬉しい。ATCマガジンも同社が部品加工で好評を博している横形マシニングセンタ「a1シリーズ」と同じリング式ATCマガジンを採用している。同社のa1シリーズがなぜ好評なのかというと、ATCは複雑な仕組みをもったものが多く、色んな場面で止まってしまうと危険性があるが、同社のものは、これらの悩みを払拭しているという理由から好評のようだ。今回、この信頼性を「DA300」にそのまま移植した形となった。

また、工具の破損検知「Vision B.T.S.」も優位性のひとつだ。ビジョンにはカメラがついている。工具の交換前、交換後に撮像して画像を比較し工具の破損検知をするもので、これもスピードが速いのが特長。なんと0.1秒で測定が可能であった。
精度へのこだわりも見逃せない。
今回の「DA300」は従来機よりも低重心の構造としている。
「加速度が高くなるということは力がかかるため、それを支える構造体(コラム)に力がかかるということ。そのため低重心で踏ん張りを強くした。これで主軸が高加速度に動けるという仕組みとなっている。」(鈴木ゼネラルマネージャ)
また熱制御にも注目したい。
同社ではボールねじの軸心冷却を行っているが、軸心だけを冷やすのではない。ボールねじを支えるベアリング、モータも発熱源なので、このモータの発熱を縁切りするためにフランジも冷却しているという徹底ぶりだ。
なお、このマシンは、今年開催される「JIMTOF2016」に展示予定とのことなので、デモがあれば、ダイナミックなクーラントの流れ具合もぜひ確認して欲しい。
販売価格:34,350,000円(税別)。
営業開始:2016年9月
出荷開始:2016年10月末
国内外で60台/年の販売を見込んでいる。
金型加工市場向け「D200Z」

今回これらの問題点を解決するべく牧野フライス製作所は、3軸機と同等以上の加工面品位を同時5軸加工で追求するマシニングセンタ「D200Z」を開発した。このマシンも「DA300」と同様「信頼性」を高める機能を採用している。
同時5軸加工を可能にする技術は、同社によると、重心変動の少ないテーブル構造や、回転軸の動作に遅れること無く追従できる軽量化された移動体ユニット、同時5軸動作を最適化するモーションコントロール、機械の静的精度を正しくつくりこむ製造技術が必要とのこと。
今回新しく開発したのは、頑強な30,000回転主軸(軸心冷却)。他にも環境温度変化に頑強なブリッジ構造コラムやぶつからない主軸(コリジョンセーフガード)も採用している。
販売価格:25,600,000円
営業開始:2016年9月
出荷開始:2017年4月予定
国内外で60台/年の販売を見込んでいる