シリコンウェハやMEMS デバイスの時間当たり評価性能が2.6 倍に向上
マシンビジョンと画像関連機器メーカーのモリテックス(本社:東京都豊島区、社長=松岡昇氏)は、MEMS・半導体業界向け赤外透過検査システム「IRiseR」の改良型の販売を8月から開始する。
改良型「IRiseR」は、従来型の基本機能を継承しつつ内部機構やソフトウェアのリニューアルを行い、シリコンウェハやMEMS デバイスの時間当たり評価性能を2.6 倍に向上させ、オプション機能に自動外観検査機能を追加。今後、この改良型IRiseRをMEMS・半導体業界へ積極的に販売していく。
「IRiseR」は、モリテックスが平成19 年(2007 年)に開発したシリコンウェハを赤外光が透過する特性を活用した検査システム。一台でマクロからミクロまでのウェハレベルの評価が可能で、8 インチ(200mm)ウェハまでの一括検査に対応できる点が評価され、MEMSデバイスメーカーや半導体業界、研究機関などで広く活用されている。
改良型「IRiseR」は、ステージ速度の向上とソフトウェアの改良により時間当たり評価性能を2.6 倍に高め、また、オプション機能として自動外観検査機能を追加。本装置を使用することで、ウェハを手で扱わずに評価を行うCtoC システムの構築にも対応可能である。
近年、スマートフォン、ゲーム機、プリンタ、自動車をはじめ、様々な分野でMEMS デバイスが用いられているが、このうち、特に市場の拡大が期待されている自動車業界向けMEMS デバイスの分野では、メーカー各社が高精度かつ信頼性を有する低コストMEMS デバイスの開発に注力している。この背景としては、米国自動車市場(年間販売約1200 万台)における2008 年のサイドエアバックの義務化や2007 年TPMS(タイヤ空気圧監視システム)搭載法規制などがある。TPMS は欧州でも2011 年11 月以降に販売される新車への搭載義務化が決定しており、中国や日本でも搭載義務化に向けた法制化の検討が開始されていることから、今後の関連市場拡大が期待される。自動車向けMEMSセンサ市場は、TPMS に加えエアーバック用加速度センサや横滑りを検知する角速度センサなど、予防安全分野向けを中心に拡大することが予想され、加えて、ハイブリッド車に利用されるパワーデバイス需要が急増している。
自動車向けを始めとするMEMS 市場は今後急速な成長が見込まれており、2020 年までに現在の市場規模の2 倍を超える1 兆円規模の市場になるとの調査結果もあることから、この分野における検査関連需要は大きく拡大するであろう。同社では、MEMS 技術は、半導体分野でも3 次元実装やシリコン貫通電極(TSV)、光通信分野との融合などの研究が進められていることから、「IRiseR」の販売活動に注力するとしている。