〈年頭所感〉経済産業省製造産業局産業機械課/日本産業機械工業会

日本経済の未来を切り開く重要な鍵は「第4次産業革命」
●経済産業省 製造産業局 産業機械課長 片岡隆一

 平成29年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

 安倍政権発足以来、4年間にわたるアベノミクスにより日本経済は着実な回復を遂げております。回り始めた経済の好循環を持続的な経済成長に結びつけ、「戦後最大の名目GDP600兆円」の実現を目指すべく、政府は昨年6月に、「日本再興戦略2016」を決定いたしました。本戦略では、①新たな「有望成長市場」の戦略的創出、②人口減少に伴う供給制約や人手不足を克服する「生産性革命」、③新たな産業構造を支える「人材強化」の3つの課題に向けて、更なる改革に取り組んでいくことを宣言しております。
 
 上記課題へ対応し、日本経済の未来を切り開く重要な鍵となるのが、「第4次産業革命」と呼ばれる革新的技術の創出とその活用です。ロボット、IoT、人工知能、ビッグデータなどの革新的技術を活用することにより、様々な分野で新しいビジネスモデルが登場し、これまで想像もつかなかったような商品やサービスが生み出されます。「第4次産業革命」においては、こうした新たな価値の提供が拡大することに加え、人手不足や環境といった社会的課題への対応も進展することで、潜在需要が飛躍的に開花します。さらに、革新的技術を最大限に活用することにより、人口減少社会での供給制約を克服する「生産性革命」の実現が期待されます。
 
 我が国経済を支える製造業においても、多くの企業、とりわけ中堅・中小企業が、少子高齢化に伴う働き手不足や、投資の伸び悩み等の課題に直面しております。「第4次産業革命」によりそれら課題に対応し、技術革新による果実を我が国全体に拡げていくため、経済産業省としても、現場のニーズを把握し、企業におけるITやロボット導入の動きを最大限にサポートすべく施策を実施しております。例えば、ロボット分野では、汎用的な用途に活用できるプラットフォームロボットの開発や、企業に働きかけ最適な生産ラインの設計及びロボット導入を提案するロボットシステムインテグレータの育成等の事業により、中堅・中小企業を含むあらゆる企業が、より容易にロボットを導入できるようにしていきます。

 産業機械産業は日本の製造産業の根幹を支えるものであり、我が国経済及び国民生活を広く支えております。まさに我が国産業の重要な土台とも言うべき産業機械産業に様々な形で関与され、それぞれの業種、産業における最新の技術動向を持ち寄り、情報共有やさらなる技術革新に向けた議論をなさっているという点で、皆様はユニークかつ大変貴重な   
存在であると実感しております。「第4次産業革命」の最中、既存の組織や伝統的な業種の枠を越えたビジネスモデルの創出が目指されるところ、皆様の御活動の中から新たなアイディアやイノベーションが産み出されることを期待しております。

 産業機械課としても、これからも皆様の生の声を聞き、それを政策に反映させていきたいと考えておりますので、ご提案やお困り事ございましたら、是非とも気軽にお声を掛けてください。

 最後になりましたが、本年が皆様方にとってさらなる飛躍の年となりますように祈念いたしまして、新年の挨拶と代えさせていただきます。

「豊かで活力あふれる経済社会に向けて」
●日本産業機械工業会 会長 佃 和夫

 2017年を迎えるに当たり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 皆様には、気持も新たに新年を迎えられたことと思います。
 
 昨年を振り返りますと、国内景気については7~9月期のGDPが3期連続のプラス成長となるなど緩やかな回復が続いたものの、消費や投資の拡大には及ばず、力強さを取り戻すまでには至りませんでした。
 
 世界を見ますと、英国のEU離脱の選択、中国の鉄鋼過剰生産、資源価格の低迷等経済の不安定要因が拡大し、ブラジル大統領選の罷免、韓国大統領の弾劾訴追、イタリア首相の交代、トランプ米次期大統領の選出等主要国リーダーの交代等不確実性を高めるような出来事が多かったように思えます。
 
 こうした中、我々産業機械業界の2016年度上半期の受注は、国内外ともに前年同期を下回り、上半期としては2年連続でマイナスとなりました。内需は官公需が下支えしたものの民需が振るわず、外需は4年ぶりに8,000億円を下回るなど、厳しい受注環境が続きました。

 今年は、わが国が一層の景気回復と経済再生を実現し、デフレ脱却に向け大きな一歩を踏み出すための、極めて重要な1年になると思われます。あらゆる政策や手立てを総動員することにより、経済成長の原動力である企業と個人の力をさらに高め、これを最大限に発揮させていく必要があります。

 また、第四次産業革命に的確に対応しながら、日本の「ものづくり」をさらに進化させ、企業の技術力や生産性を抜本的に高めていくとともに、少子高齢化による人口減少がもたらす労働力不足の問題など、様々な社会的課題やエネルギー・環境問題等の解決にもつなげるなど、国民一人ひとりが将来への希望と自信を持つことができる豊かで活力あふれる経済社会の実現を目指していくことが重要であると考えます。

 我々産業機械業界としては、自らの構造改革を一段と進め、競争力を高めていくとともに、産学連携や企業間連携を推し進め、イノベーションを生み出すスピードを加速していくなど、高品質で信頼のおける製品と高い技術力の提供に取り組み、民需主導の持続的な成長を目指した「未来への投資」の拡大に貢献していきたいと考えます。

 同時に、世界に誇るエネルギー・環境分野に関する技術やサービスにさらに磨きをかけ、世界各国のエネルギー効率の改善や低炭素化・省資源化などへの取り組みに積極的に協力していくことで、地球規模での温暖化防止と循環型社会の構築に貢献していきます。

 政府におかれましては、成長分野を育成する規制改革に引き続き取り組まれますとともに、AI・IoT等の活用やイノベーションを支える技術開発・設備投資を活発化させる等、民間企業の価値創造を後押しする各種支援のさらなる充実を図っていただきたいと思います。
 
 また、経済のグローバル化への批判や保護主義的な動きの強まりなどが懸念される中、世界の貿易自由化の旗振り役として、開かれた経済の実現を目指すため、高いレベルの貿易と投資のルール作りに粘り強く取り組まれますことを期待しております。

 年頭にあたり考えるところを述べさせていただきましたが、関係各位におかれましては一層のご指導、ご協力をお願いしますとともに、皆様のご多幸を心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

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