日工会が「CIMT 2017」(中国・北京)概況報告
日本工作機械工業会がこのほど、4月17日~22日までの6日間に開催された「CIMT 2017」(The 15Th China International Machine Tool Show、第15 回中国国際工作機械展覧会、主催=CMTBA[中国工作機械工具工業協会])の概況をまとめた。
展示会概況
(1)出展機動向① 中国からは、ロボット及びローダを使用した自動化に関する出展が多々見られ、5 軸制御MC やコンパクトなMC の出展も増加した印象。
② IoT 関連や切削加工と積層造形との融合機は、一部メーカーを除き殆ど見られず。
③ 欧米メーカーは、西館にパビリオンを設け、5 軸加工機など各国の先端的技術を前面にアピール。
(2)業界関係者ヒヤリング
① 内陸部に雇用が創出され、出稼ぎ労働者が減少したため、製造現場では労働力不足が深刻化。品質確保とも相まって、自動化・無人化のニーズが高まり、ロボット導入の機運が非常に活発。
② 中期ビジョン「中国製造2025」(2015 年5 月に国務院通達)の下、国を挙げて製造業の自動化を推進中。一例として、中国政府は、自動化を進める製造業者に対し、中国ブランド(SIASUN 等)であることを条件に、ロボット導入費の半額を補助。
③ ロボット需要の高まりを受けて、減速機などロボットの部品加工向けの工作機械投資も活発化。KUKA の上海工場も生産能力を拡張する計画の由。
④ シャオミー等現地スマートフォンメーカーの設備投資が旺盛。加工方法は、台湾系先発メーカーが確立した小型MC による削り出しをそっくり導入しており、同タイプのMC 需要が大幅に拡大。
⑤ 中国製工作機械のデザイン性が向上。この背景には、カバーのデザインを専門とする外注会社(今回のCIMT にも出展)の存在が大きい。
⑥ 欧州メーカーによる5 軸機の中国生産が活発化。あるドイツメーカーは今回のCIMT で堂々と5 軸機の現地生産を進めると表明。
中国工作機械・工具産業の業況と見通し概要(参考:CMTBA)
(1)2016 年後半、特に第4 四半期以降、中国の工作機械消費市場と経済状況は安定と回復の兆し。工作機械需要は安定基調、同生産は回復中、景気指数は持ち直し。
(2)2016 年の工作機械消費額(切削+成形)は、前年と同程度の275 億ドル(国内使用200 億ドル+輸入75 億ドル)。このうち切削型は同▲4.1%の164億ドル(国内使用103 億ドル+輸入61 億ドル)、成形型は同+6.7%の111 億ドル(国内使用97 億ドル+輸入14 億ドル)。
(3)2016 年の各主要景気指数は総じて50.0 超と、前年を上回った。生産分野では、切削型工作機械は53.9、成形型工作機械は61.8。
(4)2017 年第1 四半期における製造業のマーケットと経済状況は、前年の第4 四半期からの上昇基調を継続。春節後、市場の取引状況は明らかに活発化。企業経営も回復調子。2017 年の製造業のマーケットと経済見通しについては慎重ながらも楽観的(Cautiously optimistic)。
(5)中国経済は、2017 年第1 四半期のGDP 成長率が前年同期比+6.9%と、回復中。2017 年3 月における中国製造業の「購買担当者景気指数」(PMI)が2 カ月連続増加の51.8%となるなど、産業部門の回復が特に目覚ましい。グローバル経済も回復兆候を強めている。欧米経済は昨年よりも力強い。供給サイドの抜本的な構造改革に取り組んだ中国では、根深い構造的不均衡の解消が目に見え始めてきた。市場の期待も引き続き向上。今後も実体経済の回復が続く模様。なお、中国の2017 年第1 四半期の工業生産額(付加価値ベース)は前年同期比+6.8%、固定資産投資(都市部)は同+9.2%。