日本ロボット工業会(会長=稲葉善治ファナック会長兼CEO)が、 5月24日、都内の東京プリンスホテルで、平成29年度通常総会を開いた。
総会後に平成29年度正会員・従業員功労表彰が行われたあと、懇親会が開かれた。
懇親会の席で稲葉会長は、日頃の感謝を表したあと、「わが国経済は、政府の製造業に対する支援策、自動車を中心とした設備投資に加えて個人消費の持ち直しの動きが見られ、景気は回復基調にある。海外においては反グローバリズム、中東や北朝鮮問題などの懸念材料等、不確定要因はあるが、米国をはじめ、中国、欧州の経済が持ち直している。このような状況のもと、わが国のロボット生産は、円高基調に進んだこともあり需要の約7割を占める輸出の環境としては厳しい状況であったが、好調な国内出荷の伸びにも支えられ、昨年平成28年は、対前年比3.3%増の7,033億円と9年ぶりの7,000億円越えとなった。今年は、引き続き、国内の需要増に加え、米国でのさらなる景気拡大と製造業界回帰による堅調な伸び、中国での高い自動化投資意欲、さらに欧州でのインダストリー4.0を通じた産業用ロボットへの感心などから海外需要の拡大も期待されている。このようなことから本年のロボット生産額については、対前年比7%増の7,500億円を目標としている。また経済産業省は日本の産業が目指す新しいコンセプトとしてコネクテッド・インダストリーズを提唱されている。ここでのつながりとして、人と機械のシステム、人と技術、国境を越えた企業と企業、世代を超えた人と人、さらには生産者と消費者をあげている。このような様々なつながりにより、新たな付加価値が創出されるとしている。コンセプトにおいてもロボットの役割がしっかりと位置付けられており、当業界としてもこの一翼を担うべく、ロボットの開発と普及に向けて全力を尽くしていく」と意気込みを示した。
続いて来賓を代表して糟谷敏秀 経済産業省製造産業局長が、「毎年ものづくり白書を出しているが今回の白書では、ますます日本の製造業の人手不足が深刻化しているという結果が出ている。8割の製造企業が人手不足で悩んでおられる。ビジネスに影響が出ているという回答もある。こうした中で人手不足にも対応し、生産性を上げ、成長に繋げる上で、ロボットの活用は待ったなしの状況であると感じている。ロボット新戦略を一昨年にまとめて最初5年間、政策の集中実施期間とした。これから最初の5年間の3年目に入るわけだが、これまでロボット導入実証事業を行うとともに、ロボット工業会の会ではシステムインテグレータがボトルネックになっているとのご指摘を受け、システムインテグレータを2020年までに3万人に倍増することを決めた。そのため平成28年度の補正予算に、システムインテグレータ向けの補助金を計上している。ロボット工業会には事務局になっていただき、344件の公募があった。5月11日は一次採択37件、344件のうち37件というのは心苦しいが、追加公募の開始をしたので、引き続き追加公募で良い提案をいただけるようお願いしたい」とあいさつをした。