【レポート】MF-Tokyoで見たトレンドはコレ! ~ヤマザキマザック、アマダホールディングス~
塑性加工技術の専門展示会である「MF-Tokyo2017(第5回プレス・板金・フォーミング展)」(主催=日本鍛圧機械工業会、日刊工業新聞社)が、7月12日(水)~15日(土)までの4日間、東京・有明の東京ビッグサイトで開催され、多数の来場者で賑わいをみせた。今回、取材の時間があまりなく回りきれなかったのが残念だったが、以前から気になっていた最新トレンド満載のヤマザキマザックの最新マシンや、アマダホールディングスの自動化ソリューションの詳細をレポートする。
ヤマザキマザックは世界に先駆けて開発した次世代発振器を搭載したダイレクトダイオードレーザ加工機が大人気!
大勢の人がマシンを食い入るように見つめている。視線の先は、次世代発振器を搭載ダイオードレーザ加工機「OPTIPLEX 3015 DDL」。同社が満を持して世界に先駆け、商品化に成功したマシンだ。一般公開したのは、この展示会が初。このマシンはダイレクトダイオードレーザ切断用にチューンアップしたもの。DDLは、Co₂やファイバーレーザに比べエネルギー変換率が45%と高く、同じ電力でも効率の良い加工ができるという特長を持つ。また、厚板切断面もファイバーレーザと比較して滑らかな切断面が得られるので、「OPTIPLEX 3015 DDL」は、レーザ加工機の“良いところ取り”をしたようなマシンなのだ。
ダイレクトダイオードレーザ発振器――というと、今までなんとなく馴染みが薄かったのだが、この発振器で作られたレーザは、直接プロセスファイバーに統合され、高品質なレーザビームを作り出す、という仕組みである。このレーザはエネルギー効率が良いうえ、金属への吸収率が高いので、高速・省エネ加工が実現できるというわけだ。焦点距離にも幅があり、長時間の加工でもレンズが熱で膨張したり、焦点が変化しても加工が継続できるメリットも見逃せない。一般的にレーザ加工は、板厚や材質が変わる度に作業者がその都度段取り作業や調整作業を行う。作業者の介在する工程が多く存在するということは、生産リードタイムが長いことを意味する。実際、一般的なレーザ加工機では作業者による段取り作業が約60分。このようなレーザ加工のデメリット部も「OPTIPLEX 3015 DDL」にかかれば、段取り作業の自動化により、なんと“約1分”に短縮できるというではないか。作業者の段取り作業や加工時間のバラツキを極限まで減らし、効率の良い作業を簡単かつ瞬時に行うことができるとなると、まさに“時は金なり”。工程短縮&時短により、投資効果を実感できることはありがたいことだ。
「価格は高価だが、レーザ加工において死角はないマシン」と実に頼もしいマシンであった。ちなみにこのタイプのマシンは他にはない。
幅広い切断条件を持ちながら、スピーディでハイクオリティな品質を実現する新しいタイプのマシンとして、今、まさに大注目の「OPTIPLEX 3015 DDL」。“旬な”マシンを一目見ようと、大勢の来場者が押しかけていた状態だった。
同社のブースでは、金属にQRコードがマーキングされたしおりを配っていた。これは、同社の高精度ファイバーレーザ加工機「SUPER TURBO-X」で実際つくったもので、ブース内でも加工をしていた。なお、今回、このQRコードをスマホカメラで取り込めば、加工の様子を動画配信しているという新しい取り組みがあった。同社ではただいまフェイスブックも活用中で、一般的な報道では見られない細かな部分も配信している。
アマダホールディングスはIoTの活用で顧客の利益の創造に貢献! 最先端をゆく工場構築のための扉を開く鍵はココにあり!
今回、東7ホールでのアマダホールディングスの存在感といったら! 同社ではIoTを活用した「V-factory2017 つながるモノづくりによる利益の創造」をテーマに掲げ、「V-factory」の優位性を披露、最新のIoTマシンを展示し、高付加価値を求めるユーザーに“加工工程改革”を分かりやすく説明をしていた。もちろん同社のブースは溢れんばかりの人だかり。カメラを構えるのも一苦労だった。余談だが、プレゼンを聴いた来場者への誘導もピカっと光る。来場者を飽きさせず、次のプレゼンまでの道筋をつくる配慮に、「さすがはアマダ!」と感心してしまった。さて、同社が提供していた「V-factory」は、顧客のマシン稼動を支え、工場の情報をつなぐIoTプロダクトと顧客と同社をつなぐIoTサポートから構成され、板金加工の全行程をバックアップする頼もしいシステム。同社では、新たに開設する「アマダIoTサポートセンタ」を通じて、①マシンを止めないサポート、②バックアップサポート、③ビッグデータの活用による生産性向上を実現するとしていた。
新たなビジネスモデルの到来を象徴していた「V-factory」。いつでもどこからでも工場の稼働状況をデータやビジュアルで受け取ることができるうえ、マシンの稼働状況やメンテナンスデータをサーバーに蓄積、これをサポートセンタで集中管理することで、分析をすることができるというメリットがある。万が一、マシンに障害が発生したときも、リモート接続により、サービススタッフを迅速に手配してくれるので安心だ。
“仕分けを間違えない仕組み”にも注目したい。プロジェクションマッピングを使い、ピックアップするパーツを色分けして知らせてくれるのだ。“仕分けナビ”でパーツの詳細情報も確認でき、光インジケーターで配膳先が分かる。文字情報で確認できるのだから、現場にとってはありがたい。あれこれ考えることなく、所在がひと目でわかるというのはミスの減少にも繋がるので、生産性のない時間の無駄も排除することができる。
今回新製品として展示されていたのは、ファイバーレーザマシン「ENSIS 3015 AJ」。この製品は1台のマシンで薄板から厚板まで切断が可能であるという特長をもつ。ビーム制御技術により、薄板では、エネルギー密度の高い極細ビームで高速切断加工を実現、一方の厚板では、カーフ幅の太いビームで、溶融物がアシストガスで除去できる隙間を形成する。つまり、レーザビームの形状をコントロールし、板厚に応じて最適なビーム形状を自在につくり出すという画期的なマシンだった。
なお、同社では8月25日(金)~26日(土)の2日間、アマダ・ソリューションセンター(神奈川県伊勢原市石田200)で、「MF-Tokyo2017 アンコールフェア」を開催する。
今回見逃してしまった方や、もう一度じっくり拝見したい、という方は、同社のホームページにアクセスし、申込みをすること。
▼ホームページはコチラ
http://www.amada.co.jp/