インフォシス リミテッド日本支店が日本市場でデジタルソリューション事業を強化 ~デジタルトランスフォーメーションの先進企業の買収をはじめ戦略パートナーとの協業によりビジネスを拡大~

大西俊介 日本代表
大西俊介 日本代表
 インド・バンガロールに本社を置くインフォシス リミテッド日本支店(日本代表=大西俊介氏)は、このほど本年度より、デジタルソリューション事業を強化し、日本における戦略事業のひとつとして確立させ、2020年までに同事業の顧客数を拡大させると発表した。

 同社では、2020年までの成長戦略として、デジタル、次世代ERP、AI、IoT、エンジニアリング、グローバルPLMの6つの事業分野を最重要戦略ソリューションとして位置付けているが、中でも最も最も重要なデジタルソリューションでは、グローバルに展開するインフォシス社のグローバルエキスパートメンバーを日本市場に投入するほか、日本国内においても、デジタルソリューションに特化したエキスパートの育成および採用を強化していくとしている。

 インフォシス リミテッドは、これまでに50ヵ国、1,000社以上の顧客に対して、デジタルソリューションを提供。インド・バンガロールやニューヨーク、ロンドン等、世界9拠点に、デジタルソリューション分野のエキスパートが、各地の市場に合致した最適なカスタマー・エクスペリエンスを実現する「デジタル・スタジオ」を運営している。

 主に同スタジオを通じて、デジタル・トランスフォーメーション、エクスペリエンス・デザイン、オムニチャネル・コマース、デジタルオペレーション、データ&アナリティクス等で構成されるエンド・トゥ・エンドのデジタルソリューションを提供。このインフォシス リミテッドのリソースを日本市場で活用していく予定だ。

 さらにインフォシスでは、すでに、デジタル・トランスフォーメーションやカスタマー・エクスペリエンス分野の先進企業である英国ブリリアント・ベイシクス社(Brilliant Basics、本社:英国ロンドン、CEO:アナンド・ベルマ)を買収し、エンド・トゥ・エンドのデジタルソリューション事業を、より一層強化することを計画している。インフォシス リミテッド日本支店においても、ブリリアント・ベイシクス社を買収によって拡張する先進的なデジタルテクノロジーをいち早く活用し、主に小売りや金融サービス、製薬会社等の業界の企業を対象に、デジタルソリューション事業を展開していく。

 Adobe をはじめ、IBM やSAP 等、世界有数のデジタル・リーダー企業との提携を実現しており、これらのアライアンスパートナーを最大限に活用し、顧客に対し革新的なソリューションを提供し、デジタル事業を拡大していく。

インフォシスの強みとは

 インフォシスは、世界中のリソースを活かしてITシステムの全てのライフサイクルの領域に係わるサービスを提供している。同社は、1981年にインド・プネで誕生したインド初のIT企業。現在の従業員数はグローバルで約20万人、売上総高102億1000万米ドル(約1兆1495億4400万円)を擁する世界でも有数のITコンサルティングおよびテクノロジーサービス企業だ。

 10月2日、同社で開かれたプレスランチョンで大西日本代表は、「グローバルなマーケットを含めて日本市場を重要な戦略地域と認識している。従来は外資系の日本法人、あるいはグローバルに拠点を持っているので英語にアレルギーがない企業が中心だったが、より日本的なお客様にもサービスを提供していく。サービスの観点からいくと従来はERPやアプリケーション開発が多かったが、グローバルな視点から、IoT等も含めてデジタル・ソリューション分野で競争し、ポジションを獲得していく」と成長戦略について触れ、サービスラインについて述べた。それによると、①次世代ERP、②IoT、③デジタルマーケティング、④フィンテック、⑤AI&オートメーション、の5つの分野に注力するとした。

 「日本のITおよびIoTマーケットはどのように捉えられているか」という点について大西代表は、「IoTという言葉自体は日本に上陸してまだ4~5年になるが、日本発でグローバルに大々的なサービスを行っているという実用的なケースがあるとは言い難い」という認識を示し、「コミュニケーションを通して活動している中で、IT等の象徴としてよく聞く言葉がサービスではなく、“取り組み”。その裏にあるPOC(概念実証)をトライアルとして行っていくことは広がっているとは感じているが、大きなサービスとして繋がっているか、といえばドイツやアメリカに比べて遅れているのではないかと感じている」と話した。

 この分野で“テコ入れ”をするという大西代表。「日本で事業をつくっていくチャンスがある」との見込みだが、これについては、「特に欧州、米国での圧倒的な実績」を挙げた。同社は、IIC(米Industrial Internet Consortium)の主要メンバ-であり、25テストヘッドのうち6つをリードし、米国IoTを支えている。参加企業としては1社あたり最多テストベットをリードしている。

 なお、IICテストベットの一部事例は下記の通り。

(1)設備利用率(資産効率)向上
 リアルタイムに正確なデータを取得し、正しい判断を下す分析
 ・インフォシス、Bosch、GE、IBM、Intel、PTC

(2)産業デジタルスレッド
 製造現場から得られる大量のデータ(デジタルスレッド)を活用する製造業向け分析
 ・インフォシス、GE

(3)コネクティドケア
 オープン医療IoTエコシステムの確立とリモート患者管理と分析
 ・インフォシス、マサチューセッツ総合病院、PTC

(4)高精度農業マネジメント
 世界中の気賀に対する農業のIoTソリューションをつくり出すこと
 ・インフォシス、サカタのタネUS

●インフォシスリミテッド 日本代表 大西俊介 氏

1986年、一橋大学経済学部卒業後、同年日本電信電話(株)に入社、(株)NTTデータ、外資系コンサルティング会社等を経て、2013年6月より、(株)NTTデータ グローバルソリューションズの代表取締役に就任。通信キャリア、ITサービス、メディア、ハイテク業界を中心に海外ビジネスの再編、事業展開、クロスボーダーな経営統合、経営レベルのグローバルプログラムの解決等、グローバル企業や日本企業の経営戦略や他文化・多言語の環境下での経営課題解決について、数多くのコンサルティング・プロジェクトを手掛ける。2017年1月1日、インフォシスリミテッド 日本代表に就任、現在に至る。

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