「5000億円を目指す」日本機械工具工業会が賀詞交歓会を開く

あいさつをする牛島会長
あいさつをする牛島会長
 日本機械工具工業会(会長=牛島 望 住友電気工業 専務)が1月16日、都内の第一ホテル東京で賀詞交歓会を開いた。

 あいさつに立った牛島会長は、「昨年は政治、安全保障関係は慌ただしかったが、経済的には景気は良く、皆様も良い新年を迎えられたと思う。経済省が音頭をとられているコネクテッドインダストリーズについても工業会としてしっかり一旦を担っていきたい。」としたあと、足元のビジネス環境について、「昨年の工作機械の受注額(速報値)は1兆6455億円という過去最高の数字となった。内容についてはマシニングセンタが増加しているとのこと。それに付随してロボット等が好調である。私ども機械工具の実績だが、1月から3月までの過去最高は07年の4870億円(出荷ベース)。この17年度は4870億円程度にいくと見込まれるが、前年対比でみると7~8%の伸びが見込まれる。工具はお客様の操業に比例する。7~8%というのは、工作機械の生産レベルと同じ水準になるだろう。したがって18年度は5000億円を超えたい。」と意気込みを述べたあと、「工作機械は2/3が輸出である。その中でも中国の影響が高い。ロボットも同じような傾向だと思うが、工具でいえば2/3が内需である。しかもそれほど中国にウェイトは高くない。これは私見だが、中国で日本のマシニングセンタやロボットが入るが、必ずしもそれらの先に付く工具は日本製ではない。マシニングセンタの先に付く工具で操業度が高いのはスマホ関係で、こうしたものを加工するとなるとドリルやエンドミルが多い。これらは超硬の丸棒素材に設備を使うと比較的簡単に完成品が出来てしまうこともあり、この分野では中国の工具が強くなってきている。」と危機感を示した。また、「日本のものづくりに限らず全ての産業において人手不足が挙げられる。企業によってはバブルの頃のように外国人をたくさん採用していると聞いている。ロボットをつくるのには工作機械も工具も必要になるが、工作機械をつくるにもロボットと工具が要るというこの3者は切っても切れない関係にあるといえる。」と述べた。

 今後の工具業界を取り巻く環境について、「電気自動車化について、まず電気自動車というカテゴリーではなく、電動自動車化と自動運転化が今後、われわれのビジネスにどう影響してくるかと考えなければならない。EV化というより、電動自動車化と考えている。これは間違いなく増えていくだろう。これは単なる電気自動車が増えるということより、プラグインハイブリッドなど2030年までこの傾向は間違いなく続くと思われる。電動化によりインバータ等の付属品やカメラ、モニター、センサーもあるので、車体の重量が従来よりも増えるので、今後ますます部品や車体の軽量化が求められるだろう。したがって、アルミ、マグネシウム、セラミックといった非鉄、非金属の材料が車にはどんどん使われるようになると癒えるのではないか。プラグインハイブリッドに限らず、電動化をすると内燃機関やトランスミッションは残るが、間違いなく小型化する。昨年17年の自動車生産量は世界で9500万台だった。これが2030年には1億6500万台になるという見方もある。その何割かはトランスミッションや内燃機関は無くなるが、完全な電気自動車化になっても変速機やモーターのケース、センサー等には半導体がたくさん使われる。これには微細なエンドミル加工や研削加工、穴あけ加工があるので、さらなる用途がわれわれの業界に広がっている。」と期待を込めた。

経産省 片岡 産業機械課長
経産省 片岡 産業機械課長
 来賓を代表して、片岡隆一 経済産業省 製造産業局 産業機械課長があいさつをした。この中で片岡課長は、「足元の景気はアベノミクス開始から5年が経過したが名目GDP56兆円増となり、正社員向けの有効求人倍率は1倍を超えた。これは過去バブル期以外ない。皆様の業界も生産も良いが、人手不足に悩むという課題もある。企業の業績も過去最高水準とのことで、工作機械、人手不足解消のためのロボット投資、マテハンといった自動化に向けた工程の中で様々な投資が起きているといった国内にも強い背景が見受けられる。今年も滑り出しは上々ではないかと思われる。機械工具はマザーマシンを支える根幹のツールであり、自動車や電子機器、医療機器から航空機に至るまで幅広いものづくりの礎となっている。ぜひ、受注はしたけどものはつくれず、といった状況にならぬよう、生産に勤しんでいただきたい。」と声援を送った。

 石川則男副会長(オーエスジー社長)が乾杯の発声を行った。宴もたけなわのころ、生悦住 歩氏が中締めを行い散会した。

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