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ジーベックテクノロジーが6月より「XEBECブラシ表面用」の大径サイズをラインナップ追加

 バリ取り・研磨の自動化を10年前より提唱しているジーベックテクノロジー(社長=住吉慶彦氏)は、本年6月より、大型ワークのバリ取り・研磨に対応した「XEBECブラシ表面用」の大径サイズをラインナップ追加する。人手で行われることが多いバリ取り・研磨を同社ツールによって自動化させることで、品質の安定化、時間短縮、コスト削減に貢献する。

 粗加工(フライス)→ 仕上げ加工(フライス) → バリ取り(砥粒入りナイロンブラシ)の工程において、バリ取りをXEBECブラシに変更することで、粗加工の工程を省略して加工時間を1/2にすることができた、という事例や、製品の安定的な加工が可能になったことで、全数検査を抜き取り検査にすることができた等のコスト削減の例もある。

 「XEBECブラシ表面用」とは、砥粒ではなく独自のセラミックファイバーを研磨材に使用したもので、1本の線材に1,000個の切れ刃を持つため、“切れ味”に優れており、高い研削力、 最後まで変わらない研削力、 変形しない形状という3つの特長を持ち、バリ取り・研磨の自動化を実現させる。
 特長は以下のとおり。

①高い研削力
 独自開発セラミックファイバーを研磨材に使用し、その含有率は80%以上。ファイバー1本1本の先端が作りだす1,000個の切れ刃が圧倒的な研削力を生み出す。

②最後まで変わらない研削力
 線材構造のため、切れ刃となるブラシ先端が、「金太郎飴」のように常に突出している。常に安定した研削力を発揮する「コントロールできるブラシ」だからこそ、バリ取り・研磨の自動化を実現。

③変形しない形状
 繰り返し使用しても、歯ブラシのように広がらず、ストレート形状を維持する。そのため、量産ラインでのバリ取り・研磨の自動化が可能。

 今回の新製品は、大型ワークの加工も、XEBECブラシで確実に行えるよう、φ125、φ165、φ200㎜の3種類の規格を追加した。
 シリンダヘッド、シリンダブロック、工作機械のベッドなど、加工幅100㎜以上のワーク端面のバリ取り・研磨に使用できる。大型ワークに対して、加工時間の短縮(パス回数削減)、品質の向上(ラップ目解消)に貢献。φ125、φ165、φ200㎜それぞれに赤色(A11)、白色(A21)、青色(A31)の3種類の線材タイプがある。

▼ブラシの選定方法については同社HPへ▼
https://www.xebec-tech.co.jp/support/cf/usage.html

*ブラシとスライドリングは別売りになっており、2つの製品を組み合わせ、1つのツールとして使用すること。

なお、詳細は、以下のHPにも掲載している。
https://a.k3r.jp/xebec/27121D0048B27

三菱マテリアルが硬脆材加工用ダイヤモンドコーティングエンドミル「DCエンドミルシリーズ」を発売

 三菱マテリアル 加工事業カンパニ-(カンパニ-プレジデント=鶴巻二三男氏)は、このほど硬脆材加工用ダイヤモンドコーティングエンドミル「DCエンドミルシリーズ」の販売を開始した。

 超硬合金・アルミナ・炭化珪素(けいそ)などの硬脆材加工において「DCエンドミルシリーズ」は、新開発のダイヤモンドコーティングと切れ味と刃先強度を両立した刃先形状により、耐欠損性および耐摩耗性に優れ、安定した加工と長寿命を実現している。

 今回シリーズに新たに加わった製品は、ボールエンドミルのショート刃長「DC2SB」とロングネック形状「DC2XLB」。主な特長は、以下の通り。

① 同社独自に開発したコーティング技術により、皮膜の密着性と耐摩耗性を飛躍的に向上させ、コーティング皮膜のはく離や急激な摩耗進行を抑制。
② 直刃に対しすくい角をつけることで切れ味を向上。
③ 生成した切りくずが工具軸方向に流れるようになり、切りくず詰まりによる突発的な損傷を抑制。

・型番 : ショート刃長0.1R~3.0R「DC2SB」11型番/ロングネック形状0.1R~3.0R「DC2XLB」13型番

・標準価格  
DC2SBR0010  36,100円(税込価格  38,988円)
DC2SBR0300 32,400円(税込価格  34,992円)
DC2XLBR0010N005 36,500円(税込価格  39,420円)
DC2XLBR0300N100 32,800円(税込価格  35,424円)

DMG森精機が「IGA INNOVATION DAYS 2016」を開催 6月7日(火)~11日(土)まで

 DMG森精機は、6月7日(火)~11日(土)の5日間、同社伊賀事業所にて「IGA INNOVATION DAYS 2016」を開催する。 工作機械専用世界最大のショールームである「伊賀グローバルソリューションセンタ」に、最新鋭工作機械約60台を一堂に展示し、全機械でデモ加工を実演する。航空機、自動車、金型、医療の業種に特化した各エクセレンスセンタと、5軸加工やアディティブマニュファクチャリングなどの最先端技術を体験するエリアなど合計18エリアを設け、同社のアプリケーションエンジニアが豊富な事例やデモ加工を交えた実践的な技術ノウハウを分かりやすく解説する。 今回の展示会では、「DMG MORIのトータルソリューション”」をテーマに顧客の生産性を高める新たな10種類を含むテクノロジーサイクル14種類を紹介する。さらにCELOSでつなぐIndustry 4.0エリアや、ロボットやパレットプールなどの自動化システムエリア、当社のきめ細やかなサービス体制をご紹介するライフサイクルサービスエリアなど、顧客の利益を最大化するソリューションを展開する。他にもオープンイノベーションコーナーを設置し、工具、計測器、CAM、クーラントメーカーとの協業を体験できる。また、設備機として同社の生産性向上に大いに貢献している、最新鋭大型加工機「DMC 340 FD」の1台で門型加工機4台分の加工能力と2倍の高精度を見学することもできる。さらに、最新技術をご紹介する各種セミナーも開催する。 なお、期間中は毎日、JR名古屋駅とJR新大阪駅から無料送迎バスを運行する。日時2016年6月7日(火)~11日(土) 10:00~17:00会場DMG森精機株式会社 伊賀事業所〒519-1414 三重県伊賀市御代201 TEL:0595-45-4151(代表)▼来場登録と詳細に関しては下記のWEBサイトを確認すること▼https://www.dmgmori.co.jp/sp/iga/*来場には事前登録が便利

アマダが業界最大規模のプライベートイベント「AMADA INNOVATION FAIR 2016 」を開催 ~ V-factory 2016 新加工技術によるモノづくり改革 ~

 アマダ(社長=磯部 任氏)は、グループ各社と共同し、神奈川県伊勢原市の本社アマダ・ソリューションセンターで、業界最大規模のプライベートイベント「AMADA INNOVATION FAIR 2016(AIF 2016)」を開催する。イベントでは「V-factory 2016 新加工技術によるモノづくり改革」をテーマとし、最新ソリューションと加工技術をテクニカルデータや導入事例により紹介する。 「AIF」はこれまでアマダグループが毎年開催してきた最重要イベントであり、顧客に最新ソリューションを提案するプライベートショー。開催日は5 月20 日(金)~6 月25 日(土)までの金・土曜日の10 日間で、期間中の来場者数は国内外から約3,000 名を予定している。 昨今、インダストリー4.0 やIoT の活用が注目を集めているが、同社は業界に先駆け1990 年代から「VPSS(バーチャル試作システム)」という仕組みを中心に、工場のデジタル化とネットワーク化を推進してきた。昨年の「AIF2015」 では、新たにアマダのIoT 技術 V-factory「つながる工場」を提唱している。今回の「AIF2016」では、「V-factory」を単なる情報連携のIoT 技術としてだけではなく、ユーザーのモノづくり改革、QCD の向上を支援するための仕組みとして、同社がこれまで金属加工機械の総合メーカーとして培ってきた全工程での新加工技術・加工ノウハウを中心に提案する。 新加工技術のご提案では、業種別と工程別の両面から約70 種類のサンプル製品を展示し、それぞれの加工技術のポイントや機能・効果といったテクニカルデータを、100 種類以上のパネルを使用して分かりやすく解説する。 スマートファクトリーに必要不可欠な加工技術や加工ノウハウは、「VPSS」を進化させた新しい板金エンジニアリングシステム「VPSS 3i」に組み込まれ、ユーザーが誰でも簡単にその加工技術、加工ノウハウを使用することが可能になる。 「AIF 2016」 では、下記の3 つのエリアに分けて案内する。(1)業種別加工技術 新加工技術による6業種(配電盤、建材、機械カバー、厨房、精密・医療、架台)のアセンブリー製品(30 製品)を展示し、その導入効果を検証データに基づいて紹介する。(2)板金エンジニアリングシステム 板金エンジニアリングシステム「VPSS 3i」は、顧客の工場のスマートファクトリー化を進める工程改革ソリューション。これまでは、各工程で発見された不具合は、再プログラミングが必要だったが、「VPSS 3i」では製品の完成形から製造工程をさかのぼって可視化することで、手戻りなく加工することが可能となる。「VPSS 3i」は、ブランクから曲げ、溶接まで全工程を通じたモノづくりを支援する新しいエンジニアリングシステム。(3)工程別加工技術 ファイバーレーザマシン、ファイバーレーザ複合マシン、パンチングマシンなどのブランク加工、曲げ加工、レーザ溶接加工の工程別の新加工技術を、サンプル製品とそれを実現するソリューションによるデモ加工で紹介する。●主な出展機1. ファイバーレーザ搭載ブランク工程総合ソリューション ACIES-2512AJ + ULS + LST+TK2. 3軸リニアドライブ・ファイバーレーザマシンFLC-3015AJ (6kW) + LST3. 省エネ・変種変量・ワイドレンジ・ファイバーレーザマシン ENSIS-3015AJ+LST4. 新AC サーボ・ダイレクトツインドライブNCT EMZ-3510M II5. 高速・高精度ベンディングマシン HG-8025、HG-17036. 究極の多品種少量対応ベンディングマシン HG-1003ATC7. 高精度ベンディングロボットシステム HG-1003ARs8. ファイバーレーザ溶接システム FLW-4000M39. ファイバーレーザハンディ溶接機 FLW-600MT10. 板金エンジニアリングシステム VPSS 3i(その他多数出展予定) 他にも会期中には新加工技術・加工ノウハウをテーマとした「業種別加工技術セミナー」、「工程別加工技術セミナー」を開催する。また、アマダグループが今年9 月に創業70 周年を迎えるにあたり、創業70 周年特別講演として、2014年度ノーベル物理学賞を受賞したカリフォルニア大学 中村修二教授による講演会を予定している。 なお、創業70 周年記念事業の一環として、12 月に「V-factory」の全容を、コンセプトモデル工場を設置して提案する。

天青会新会長に千葉氏 「つなぐをテーマに活動をしていきたい」

 日本金型工業会東部支部の若手経営者の会である天青会が5月13日、東京の上野精養軒で第4回定時総会を開催した。議事では平成27年度事業報告、同決算報告並びに監査報告、役員改選、新年度事業計画などについて審議が行われ、いずれも承認された。

 今回は役員改選期であり、新会長に千葉英樹(チバ エイジュ)チバダイス社長が選任された。


 

千葉新会長
千葉新会長
懇親会の中で千葉会長は、「天青会では素晴らしい先輩方に恵まれ、優秀な後輩にも恵まれ、素晴らしい会だと感じ続けてきた。自分が会長になる日が来るとは想像もつかなかったが、皆様に劣らないような1年間にしていけたらと考えている。この1年、“つなぐ”をテーマにして活動をしていきたい。前会長から引き継いだ事業承継等、親子につないだり企業同士につないだり、他人につないだり、と様々なパターンでの相談できる場を設けて、この日本の素晴らしい金型製造業をつないでいける1年にしたいと思っている」とあいさつをした。

2016年4月分工作機械受注総額は992.4億円 日工会 

 日本工作機械工業会がこのほどまとめた2016年4月分の受注実績は以下の通り。 2016年4月分工作機械受注総額は、992.4億円(前月比△14.6% 前年同月比Δ26.3%)となった。受注総額は3カ月ぶりの1,000億円割れ。国内外ともに先行き不透明感等によりやや弱めの動き。 内需は389.7億円(前月比△24.0% 前年同月比△19.6%)で、前月の反動減もあって、2カ月ぶりの400億円割れ。16年1月、2月とほぼ同水準で国内需要は堅調持続。 外需は602.6億円(前月比△7.2% 前年同月比△30.1%)、6カ月連続の600億円超。前月から主要3極はすべて減少も、現状に大きな変化は見られず。 国内需要は政策効果が現れる年後半に期待。一方、国内外の経済動向やEMS特需の動向について今後を注視。

4月分内需

389.7億円(前月比△24.0% 前年同月比△19.6%)。・2カ月ぶりの400億円割れ。・前月比2カ月ぶり減少。前年同月比は3カ月連続減少。・3月の反動減により前月から減少。政策待ちにより、様子見続く。① 一般機械  152.3億円(前月比△27.0% 前年同月比△9.9%)  うち金型   25.0億円(前月比△27.2% 前年同月比+7.9%)② 自動車   135.2億円(前月比△11.4% 前年同月比△36.3%)  うち部品   81.5億円(前月比△20.1% 前年同月比△48.4%)③ 電気・精密 27.0億円(前月比△47.2% 前年同月比△23.2%)④ 航空機・造船・搬送用機械 21.7億円(前月比△23.1% 前年同月比△5.3%) 

4月分外需

602.6億円(前月比△7.2% 前年同月比△30.1%)・6カ月連続の600億円超。・前月比は3カ月ぶり減少。前年同月比は11カ月連続減少。・主要3極は前月比すべて減少。外需全体では横ばい圏内の動きが継続。①ア ジ ア:229.6億円(前月比△9.5% 前年同月比△52.8%)・東アジア:177.6億円(前月比△6.5% 前年同月比△52.2%)〈中 国〉129.6億円(前月比△4.3% 前年同月比△56.9%)・その他アジア52.0億円(前月比△18.5% 前年同月比△54.8%)〈タ  イ〉16.2億円(前月比△17.3% 前年同月比△32.6%)〈ベトナム〉4.3億円(前月比△60.1% 前年同月比△92.6)〈イ ン ド〉17.1億円(前月比△8.3% 前年同月比△1.2%)②欧 州:158.6億円(前月比△0.3% 前年同月比+2.5%)〈ド イ ツ〉47.3億円(前月比+25.6% 前年同月比△6.1%)③北   米:208.8億円(前月比△8.9% 前年同月比△0.3%)〈アメリカ〉169.7億円(前月比△15.2% 前年同月比△6.7%)〈メキシコ〉 31.0億円(前月比+78.3% 前年同月比+136.0%)

3月分超硬工具主要統計

 日本機械工具工業会がまとめた2016年3月分超硬工具主要統計は以下の通り。【超硬合金重量】514トン(前年比94.8)。【超硬工具生産額】切削工具216億400万円(前年比93.1)、耐摩工具33億300万円(同92.1)、鉱山土木工具7億2200万円(同85.2)、その他工具15億7000万円(同300.2)、焼結体・工具20億8200万円(同93.4)、合計292億8200万円(同96.3)。【輸出入】輸出105億4400万円(前年比98.3)、輸入71億3900万円(同101.9)。【超硬工具出荷額】切削工具222億7000万円(前年比91.1)、耐摩工具33億9900万円(同94.7)、鉱山土木工具7億5500万円(同81.0)、その他工具14億9700万円(同308.7)、焼結体・工具24億4400万円(同97.2)、合計303億6500万円(同95.0)。【刃先交換チップ】生産2904万1000個(前年比96.2)、出荷3081万2000個(同98.1)。

ロボット統計受注・生産・出荷実績(2016年1~3 月期)

 ロボット工業会がまとめた、2016年1~3月期のロボット統計受注・生産・出荷実績は次のとおり。受注 受注台数は、対前年同期比で、+6.3%の38,035 台となり、2四半期連続でプラス成長となった。また、四半期ベースでは過去最高実績となった。 受注額は、同△4.2%の1,329 億円と、2013 年4~6 月期以来となる11四半期ぶりのマイナスに転じた。生産 生産台数は、対前年同期比、+6.7%の36,920 台となり、11四半期連続でプラス成長。また、四半期ベースでは過去最高実績となった。 生産額では、同+8.4%の1,246 億円となり、2四半期ぶりにプラスに転じた。 昨年2015 年(会員+非会員)の年間生産額(出荷額)は、輸出は円安を背景に海外需要が拡大し、国内は政策効果などとも相まって設備投資が増加したことで、対前年比で約6%増の6,300 億円となる見込み。また、今年2016 年(会員+非会員)の年間生産額(出荷額)は、引き続き国内での需要増に加え、米国での更なる景気拡大と製造業回帰による堅調な伸び、中国での減速経済の中にあっても高い自動化投資意欲、さらに欧米におけるインダストリー4.0 などIoTを通じた産業用ロボットへの関心の高まりなど、今年も海外需要の拡大が期待され、対前年比で約6%増の6,700 億円となる見通し。出荷 国内は昨年好調であった、主要ユーザーである自動車産業向けと電気機械産業向けは今年も好調を維持している。海外市場は、中国向けが少なくとも前年並みを維持する中で、欧米向けは堅調に推移していくと見込まれる。 総出荷台数は、対前年同期比、+9.1%の37,048 台と、11四半期連続のプラス成長となった。また、四半期ベースでは過去最高実績となった。 総出荷額では、同+6.1%の1,381 億円となり、10四半期連続のプラス成長となった。 国内出荷台数は、同+17.4%の10,328 台となり、10四半期連続のプラス成長となった。また、四半期ベースでは過去最高実績となった。 国内出荷額では、同+17.0%の481 億円となり、10四半期連続のプラス成長となった。 輸出台数は、同+6.3%の26,720 台となり、11四半期連続でプラス成長となった。 輸出額では、同+1.1%の901 億円となり、2四半期連続でプラス成長となった。国内出荷内訳 自動車産業向けは、対前年同期比で+34.8%の4,148 台となり、2四半期連続でプラス成長となった。出荷額は、同+27.0%の175 億円となり、3四半期連続でプラス成長となった。 電子・電気機械産業向けは、対前年同期比で、△10.6%の2,446 台と、2013年4~6 月期以来となる、11四半期ぶりのマイナス成長となった。 出荷額は、同△2.0%の126 億円となり、2四半期ぶりにマイナスに転じた。一般組立用は好調であったが、半導体用(ウェハ搬送)に伸び悩みが見られた。輸出内訳 溶接用は、対前年同期比で△2.7%の8,054 台となり、2四半期連続でマイナス成長となった。出荷額では、同△0.7%の209 億円となり、2013 年4~6 月期以来となる、11四半期ぶりのマイナス成長となった。欧米向けは堅調に推移するとともに、中国向けに回復感が見られた。 電子部品実装用は、同△5.8%の1,859 台、出荷額は同△6.1%の297 億円となり、各々4四半期連続でマイナス成長となった。電機向けの主要用途である電子部品実装用は、引き続き中国向けに伸び悩みが見られる。 輸出は、欧米向けが堅調であるのに対し、中国向けは用途によって好不調が見られるものの前年同期を上回っており、自動化投資への意欲は依然高いことから今後の需要回復が期待される。

【レポート】「INTERMOLD2016」でみた各社の製品&技術(前編)

 去る4月20日(水)から23日(土)までの4日間、インテックス大阪で開催されたINTERMOLD2016/金型展2016」「金属プレス加工技術展2016」は、日本のものづくりを根底から支える工作機械・工具・周辺機器がズラリと並んだ。注目した企業の製品&技術を前編・後編に分けてレポートする。
(あいうえお順で掲載:前編=アマダマシンツール、イワタツール、オーエスジー、オークマ、OKK、岡本工作機械製作所、キタムラ機械、黒田精工、ジーベックテクノロジー、ダイジェット工業)

驚愕のスピードで大量切断を見せつけた! メーカーならではの金型管理システムに要注目!
●アマダマシンツール

 注目したのは新型バンドソー「HPSAW-310」(参考出品)。驚愕のスピードで大量切断をする様子を来場者に見せつけた。高剛性フレームやブレードハウジングと耐チッピング、耐摩耗性を大幅に改善した超硬ブレードの組合せで安定した調速切断を可能にしたという。そのスピードたるやアッという間の出来事だったので、「えっ? もう終わったの?」という感じ。超硬丸鋸盤の2倍の切断スピードだというから、驚いた。これなら生産効率が飛躍的に向上するのは間違いない。来場者も釘付けだった。

IoTを睨んでメーカーならではの強みを発揮
IoTを睨んでメーカーならではの強みを発揮
 DSDD(デジタルサーボ・ダイレクトドライブ)で多彩なモーション設定ができるデジタル電動サーボプレス「SDE 8018」には、金型管理システム「MORMS」(参考出品)があった。IoTを睨んだシステムとのことなので、制御技術グループの渡邉氏に話しを聞いてみると、「別の端末に手で入力していくことなく機械から自動で吸い上げてどんどんデータを蓄積、保存する。金型をきっちり定量的に管理することで、金型の寿命を延ばしつつ、メンテナンスの回数を減らすことができる。お客様のコスト削減に貢献するシステムです」とのこと。プレスメーカーが出す金型管理システムの強みは、機械との連携機能だ。この機械でこの金型を生産します、という指示をシステムから機械のほうへ与えると予め設定しておいた金型をつくるためのプログラム番号が自動的に呼び出される仕組み。作業員が金型をセットしたとしても、万が一、プログラム番号を間違えた、となると、せっかくの金型が破損する事故に繋がることになりかねない。そこで、予め、組合せを登録しておくことで、事故を防ぐという人為的なミスを予防できるという。ポータブル機器にはほとんどCCDカメラが付いているので、金型のどこかにバーコードシールを貼り付け、それをポータブルカメラのCCDカメラで読み取る。すると、サーバーのほうに問合せをしてその結果が返ってくる。また、金型には寿命があるが、何ショット打ったかをカウントするので、個々の部品に対しての寿命値も予測できる。それぞれ係数をカウントアップし、寿命値に対して、現在、何%を使ったか、と色で分かりやすく表示する。今まで金型に対して目視で、触って、そろそろメンテナンスかな、という判断していたところを、奥の見えないところの部品まで、“金型の見える化”を実現した。これはメーカーならではのシステムであり、今後、要注目のシステムだ!

「トグロンハードドリル」になんと60Dが登場していた!
●イワタツール

 

なんと60Dが登場していた!
なんと60Dが登場していた!
 イワタツールといえば、トグロンシリーズが有名。同社ならではのユニークな工具がズラリと並ぶ。その中でも、高硬度材深穴加工用ドリル「トグロンハードドリル」に注目したい。この製品はHRC40~72の焼入れ鋼用ドリルで、「被削材の高度が高いほど他の製品に比べて圧倒的な性能を発揮する」をうたい文句に、ジワジワとファンを獲得している工具なのだ。しかも、真円度・円筒度・面祖度が非常に優れた工具で、下穴無しで一発加工ができるスグレモノ。同社では、トグロンハードシリーズに30D以上の深穴加工が行えるトグロンハードロングドリルを標準品としてラインナップしたが、これにより、樹脂金型のイジェクターピンや、冷却穴などの加工がマシニングセンタのみで集約して行え、ワイヤカットや、細穴放電の行程が必要なくなり、リードタイムを短縮することが可能になった。それを象徴するかのように、SKD11 HRC60の焼き入れ鋼の加工では、φ2mm 深さ41mmの貫通穴を、加工時間40秒、寿命80穴以上を達成。条件をさらに落とせば150穴以上の加工も可能という。穴精度は条件によりH7以上も可能。 
 そして、今回、トグロンハードドリルの中になんと60Dが登場していたのだから、驚いた。これは凄い!


 ブース内には、ロングスタマシンの「チップクラッシャー」も展示されていた。これは切粉の容積を1/3~1/10にする製品で、切粉台車の好感回数を減らすことにより作業の効率化、生産性の向上に繋がるもの。切粉回収業者の手配回数が減ることによる経費削減、切粉置き場の省スペース化が実現される。



金型や部品加工の生き残り戦略の秘策が詰まった工具を展開!
●オーエスジー

PSTW
PSTW
 今回のオーエスジーの目玉となったのは、Phonix 6コーナ肩削りカッタシリーズ「PSTW」。剛性を高める厚みと低抵抗なポジすくい各により、びびり振動に強く、突き出しの長い加工に対応する工具だ。高能率加工を実現するボディ設計は、重切削加工に対応したチップポケットが鍵。同社がINTERMOLDの会期中に「金型や部品加工の生き残り戦略」についてセミナーを開催したが、ここでは低価格競争に負けないためのアイデアがあった。サブタイトルは、「PHXエンドミルと新加工技術で世界と戦おう」というもので、高速高送り加工の弱点を解決できる新しい加工技術を受講者に伝授。超深彫り加工に挑戦し、問題点を解決した金型加工のノウハウを紹介した。

超深彫加工も改革次第で従来110時間から20時間へ!
超深彫加工も改革次第で従来110時間から20時間へ!
 金型受注価格が年々低下、受注元からのコストダウン要請が厳しいという背景を元に、金型加工・部品加工の30%時間短縮を実現するための秘策として、超深彫加工を実現する新切削理論と専用工具についての説明があり、ここでは同社の「PHXディープフィーダーブルノーズシリーズ」が取り上げられた。このシリーズは、「直彫加工領域を拡大し、びびりを回避した高精度な粗加工でさらなる生産性向上に挑戦して欲しい」という加工現場を声援するような工具。“Thermolysis効果”がプラスされているという。このThermolysis効果とは、強スパイラルギャッシュにより切れ刃が長くなることにより、その分厚さが薄くなるので切削熱も伝わりやすく、工具刃先や被削材に熱が残りにくくなるというもの。3次元ネガ形状で切粉流動性を向上させているのもポイントだ。ワークに切り込む瞬間の切り込みが小さく、刃先をすべるように切粉が流れる仕組み。オーエスジーは、今回、工具を展示しているだけでなくノウハウをも提供していた。

全ての要求を1台で満たす! MULTUS U シリーズ
●オークマ

 オークマの魅力といったら、“インテリジェント複合加工機”と連想する方も多いのではないだろうか。使い勝手の良いデザイン性の高さもさることながら、高精度、高剛性、高機能、工程結合―――これらの欲張りな要求を全て1台で満たすという「MULTUS U シリーズ」に注目した。

 あらゆる方向からフレキシブルな加工を実現する――というキャッチフレーズから伺うことができるのは、Y軸全域での強靱な削り! 特にミーリングが多い複雑形状部品に最適な広い加工範囲も魅力。Y軸ストロークを十分に活かせる高剛性コラム移動式構造を採用しているので、Y軸全域で強力加工が可能となっている。「MULTUS U 4000」は、広いX軸ストロークでφ200mmワークの側面貫通穴をC軸回転なしで加工することも可能であり、最大□230mmの輪郭形状加工もこれまたC軸回転無しで加工することができる。330mmのロングドリル深穴加工もできるので、あれもこれも全部加工したいという欲張り加工にもってこいのマシンだといえる。トレンドとなっている変種変量生産において、優位性を出すには加工時間を最短にし、高い生産性を実現しなければならないが、同社の「MULTUS U シリーズ」は、2サドル構成を持つ。また、上下刃物台を有効活用した内外径同時加工で、4軸が生み出す高能率加工で加工時間を大きく短縮し、経済効果に期待ができる。また、仮受台を下刃物台に取付け、ワークの着脱が自動でできるので、オペレータの作業負担も軽減しているという使う人にも優しいマシンである。

加工の本格派マシン VM/Rシリーズがキラリと光る!
●OKK

 昨年100周年を迎えたOKK。
 今回、一般部品加工からチタン等の難削材部品の加工まで対応するベストセラー機「VM/Rシリーズ」を一新して展示。どこが変わったかというと、本体剛性と主軸剛性を高め、切削性能をさらにアップさせていた。ちなみに「VM43R」の納入実績は2500台というから人気の高さを知ることができる。

 展示されていたのは「VM53R」。重切削・高精度加工を可能にし、優れた操作性を追求した本体構造を持つ。広い加工エリアにも注目したい。X軸移動量:1050mm、Y軸移動量:530mm、Z軸移動量:510mmと幅広いストロークを確保している。また、オプションでロングテーブル使用(1260mm560mm)を準備しているので幅広のワークも万全だ。
接近性にも優れており、カバー前面から主軸までの距離を780mm、テーブルまでの高さを920mm。より操作性が向上しているのも嬉しい。
 向上したのはそれだけじゃない。本体剛性は、肉厚リブとダイヤゴナルリブ(三角リブ構造)の組合せにより、重切削での剛性を維持している。
他にも精度向上・維持のために、速度/位置で変化するバックラッシをすべり摺動面の特性に合わせた補正(特許4750496)で低減、送り、位置決めの繰り返しで生じる誤差ボールねじ伸び補正で低減、主軸回転による熱変位も補正するといった優れた機能も搭載している。もうひとつ、OKK独自のカム式高速同期工具交換装置(OKK特許)の採用で安定した工具交換と耐久性も実現している。まさに「OKKならではの削りを体感」できるシリーズだ。

「研削革命」の文字が来場者の心を捉えた! 
●岡本工作機械製作所

 従来比10倍の加工を提案した岡本工作機械製作所が掲げる「研削革命」。目指すのは、高能率研削・机上測定&自動補正・複合研削を柱とした高能率加工だ。
 平面・成型研削加工は、従来、熟練を要する作業だが、人間がやることなので、品質の安定性やスピードといった観点から困難なこともあったが、同社の推奨する「研削革命」は、高剛性マシン・切れる砥石、切れる研削液の3要素で従来の研削の常識を遙かに超える50~100µmに及ぶ粗取り切込み量を達成している。リニアモータ駆動採用でテーブル反転スピードも向上したのも見逃せない。
 しかも机上に加工ワークを乗せたまま測定ができることもありがたい。測定後はそのまま自動補正を行うことができる。これにより、加工ワークの着脱の工程を省くことができるので、作業スピードと機械稼働率の向上はもちろん、加工不良が出にくくその分、コスト削減にも貢献する。複合研削では、内面研削・円筒研削・溝面研削を1台のマシンで行う。工程集約による生産性向上に貢献する。

 今回注目したマシンは、CNC精密平面研削盤「PSG64CA-iQ」。このマシンは機械の持つ真直運動精度を正格に転写させる高剛性設計が特長。熟練技能者の加工条件を自動設定できる仕組みを持つ。同社独自開発の文字レス&スキルスレス「iQ(Intelligence Quotient)」世界標準ソフトを搭載している。斬新な発想でデータ入力を徹底的に簡素化し、その気になれば誰もが熟練技を持つ職人になれるマシンとなっている。

省スペースを実現した「Mytrunnion-4G」と独自開発のCNC制御装置「Arumatik-Mi」で大幅な加工時間短縮を実現!
●キタムラ機械

 世界で初めて位置決め精度1µmの精度保証を実施したのは同社の同時5軸制御マシニングセンタ「Mytrunnion-5」だった。今回展示されていたのは、そのコンセプトをそのまま継承して、設置スペースを7.7㎡の省スペース化を実現した「Mytrunnion-4G」。5 軸制御駆動部には、超高精度ローラーギアカムを採用することで、バックラッシュゼロが可能になった。 これにより、同時5 軸制御機では稀な全軸フルストロークにおいて位置決め精度±2 µm、繰り返し精度±1 µmを実現している。

 他にも注目すべき点がある。制御装置だ。
 キタムラ機械オリジナルCNC 制御装置「Arumatik-Mi」を搭載し、従来の5倍の演算処理速度と最大で従来の25 万倍以上の512GB ハードディスクドライブによる大幅な加工時間短縮を可能にしている。さらに、加工時間が100 時間を越すような大容量のプログラムでも、分割せずに余裕を持って一括処理ができるうえ、USB メモリーからも同様の直接運転も可能となるという。ユニークなキタムラらしい技術が炸裂している世界に類がないマシニングセンタといっていいだろう。
同時5軸制御時での最大加工サイズは、φ500×400mmと大きく設定されており、主軸は最高回転速度までの加速が2.3 秒の高速加減速・ 毎分15,000 回転(40 番テーパ)を標準装備し、複雑形状や金型加工においても、「スマートデザイン」による免振設計された高品位加工が可能だ。

多様な時代に必要とされる製品&技術であらゆる産業に貢献
黒田精工

ビックリするほど音が静か! しかもキャスター付き!
ビックリするほど音が静か! しかもキャスター付き!
 このブースでは、幸運なことに同社の黒田社長にお会いすることができ、直接説明を聞くことができた。まずは、コンパクトなコンプレッサ「JUN-AIR」。この製品、コンプレッサ特有の音がほとんどせず、オイルレスタイプとしては驚くほど静かなのだ。コンプレッサの音がうるさいと作業者の作業ストレスもかかるというもの。アプリケーションのそばで使用しても気にならないスグレモノ。手のひらで圧を受けてみると、そのパワーに驚いた。これは、小さな部品などの切削加工後、切粉や洗浄後の水の吹き飛ばしに使用されるエアブローガンに特化したパルスブローを発振するユニット「エア連打」がなせる技。エア消費量が約35%削減するので、手軽に省エネができる製品だ。

 もうひとつ、クロダといえば、「FASTECシステム」(登録商標)が有名だ。これは、薄板積層部品の組立工程をプレス作業と同時に金型の中で行うもので、精密機器の総合メーカーならではの蓄積された技術の中で実現したもの。このシステムには、①ダボ積層の「FASTEC」(コストが安く様々な形状に対応)、②レーザー溶接積層「LASER FASTEC」(極小ワークに特化)、③接着積層「GLUE FASTEC」(新技術・極薄材積層可能)の3つの工法がある。写真にあるのはデジタルカメラやVTRカメラ、プリンタなどに内蔵されているマイクロモータコアで、「LASER FASTEC」の技術が使われている。この技術は高精度小型薄板積層品の量産のために開発されたとのこと。薄板の積層固着にYAGレーザーを採用したことにより製品形状の制約を受けにくく、困難とされていた小物薄板積層品(磁気ヘッドコアなど)を安定した強度と品質で量産化する技術なのだ。ちなみに同社は携帯電話振動用モータコアでは世界25%のシェアを誇っている。

さすがはセラミック砥石の世界シェアN0.1!  来場者を楽しませるアイデアも満載!
●ジーベックテクノロジー

ブース内はバリ取り自動化について来場者がすぐに理解できるようになっていた。
ブース内はバリ取り自動化について来場者がすぐに理解できるようになっていた。
 バリ取りの自動化を推進しているジーベックテクノロジー。現在、セラミック砥石の世界シェアはN0.1 。

 今回は、金型研磨、自動車・航空機部品のバリ取り・研磨の事例を多数紹介していた。研磨を自動化することで、熟練工手研磨で85分ほどかかっていた磨き作業がなんと1.5分に短縮されたという実績もある。加工前Ra1.4µmから加工後Ra0.03µmまで自動化し、熟練研磨技術を鏡面磨き仕上げなどの最終工程のみ集約することができるというから、同社の推奨するバリ取り自動化は、大幅に工程の短縮ができるといえるだろう。

 今回、目立ったのは、今年1月ラインナップを追加した「自動調整スリーブ」。バリ取りの自動化を推進している同社の「XEBECブラシ表面用」のオプションツール。特長はブラシ突出量補正が不要でチョコ停ゼロ、最適条件の維持と品質安定に役立つ製品である。これがあれば、工具管理負担を解消し、ポカミスの原因となる手動による突出し作業が不要になるので無人加工ができる。バリ取りの自動化が実現できれば、有益な時間の確保や、経済効果が期待できる――ということをこのブースでしっかり認識することができた。


サンプルをガチャガチャで、というアイデアに脱帽。ナニが出るかはお楽しみ。
サンプルをガチャガチャで、というアイデアに脱帽。ナニが出るかはお楽しみ。
 また、今回、注目したのは同社が来場者を楽しませつつ販促活動を行っていたこと。ブースにて名刺交換をした方に、ガチャガチャを用いてサンプルを提供していた。サンプルはなにが出るかはお楽しみとなっていた。





ステンレスが使えるのは「タイラードリル」だけ!
●ダイジェット工業

 高硬度と格闘している加工現場の中でファンも多いダイジェット工業。今回の展示品から、注目したのは先端角が180°フラットな座ぐり加工用ドリル「タイラードリル」だ。
 傾斜面でも交差穴でも下穴なしで安定加工ができる工具である。薄板の穴あけ加工において、一般のドリルよりバリの発声が少なく、広い溝形状で切粉処理性に優れている。
 他社品に比べ、切削動力を約2割減というから魅力的だ。炭素鋼からプリハードン鋼、ステンレス鋼、アルミ合金まで幅広い被削材に対応する。

 プリハードン鋼を2000穴加工したとしても連続使用が可能という驚きの強靱さを兼ね備えている。この工具の魅力はそれだけではない。担当者によると、「このタイプでステンレス鋼でも問題なく使えるのはウチだけなんですよ」とのこと。ステンレス鋼の穴開けでは、ワーク400個加工も、バリが小さく穴精度も良好、しかも連続使用可能だという。加工時間も1穴あたり15秒から2秒に短縮するというから、驚いた。

 同社の底堅い人気は、“ここしかない”工具がチラホラあることも理由のひとつ。工具サイズも微妙なサイズが揃っていたりすると聞いた。今後もどんな工具がでてくるか、楽しみなメーカーのひとつである。

▼後編はコチラ▼(大昭和精機、ナガセインテグレックス、日進工具、ブルームノボテスト、牧野フライス製作所、三井精機工業、三菱日立ツール、三菱マテリアル、安田工業、ユニオンツール)
http://seizougenba.com/node/7337

【レポート】ヤマザキマザックが国内最大級のサポート拠点「瀬戸内テクノロジーセンタ」オープン!

 ヤマザキマザック(社長=山崎智久氏)が、国内7カ所目のテクノロジーセンタとして「瀬戸内テクノロジーセンタ」を岡山県早島町に開設した。4月21日にオープニング式典を行い、4月22、23日の両日にはオープニングフェアを開催した。

 「瀬戸内テクノロジーセンタ」は敷地面積約2,800坪、延床面積約800坪の大規模施設で、国内最大級のショールームには、大型のマシニングセンタや複合加工機、三次元レーザ加工機など最新の工作機械11台を展示、中国・四国地区の主要産業である造船、航空機、産業機械などの重厚長大産業に向けた質の高いソリューションを提案する。

 また、瀬戸中央自動車道や岡山バイパスが通る岡山県早島町は、中国地区や四国地区からの交通アクセスに優れており、両地区のユーザーにとって利便性の高いサポート拠点となる。同社の「テクノロジーセンタ」は、単に機械を展示する従来型のショールームではなく、ユーザーの身近な場所で、最新の工作機械による加工実演や、加工技術支援や設備合理化の相談などのビフォアサービス、機械購入後のトレーニングなどのアフターサービスを提供する施設であり、同社は今回の「瀬戸内テクノロジーセンタ」を含めた全世界39カ所(国内7カ所)のテクノロジーセンタと、40カ所(国内26カ所)のテクニカルセンタで世界中の顧客に万全のサポートとソリューションを提供するとしている。

質の高いソリューションを提供する場

 開設セレモニーでは、山崎智久 ヤマザキマザック社長、山崎高嗣 ヤマザキマザック副社長、下田知也 シモダフランジ会長、奥山 環 タダノ常務、中島基善 ナカシマプロペラ社長がテープカットを行った。

 瀬戸内テクノロジーセンタは、事務所、ショールーム、3次元測定室、大会議室、トレーニングスクール、他、となっている。展示機は、複合加工機が「INTEGREX e-1250V/8S」、「INTEGREX e-670H」、「INTEGREX i-400S」、「VARIAXIS i-600」、NC旋盤が「MEGA TURN 900M」、「QT-COMPACT 300MY」、「QUICK TURN 200MA」、立形マシニングセンタが「FJV 5 Face-60/80」、「VCN-535C」、横形マシニングセンタが「HCN-6800」、レーザ加工機が「3D FABRI GEAR 220 II (4kw)。

 このように、最新鋭の工作機械を展示し、最先端の加工技術、充実したトレーニング施設を持つ瀬戸内テクノロジーセンタは、専門スタッフにより、質の高いソリューションを提供するとしている。加工サンプルも豊富で斬新な展示内容となっていた。

 中でも画期的だと感じたのは、「マシンオペレーショントレーニング」。この瀬戸内テクノロジーセンタで機械操作が学べるという。人材育成を支援することを目的とし、従来の「プログラムトレーニング」からステップアップした操作術を学べる。トレンドとなっているマルチタスキングマシンを利用しているユーザーを対象に、複合加工の高度な加工技術を習得し、マシンの潜在能力をユーザーが最大限に活用することを目的としたユーザー単位ごとの専任講師でのトレーニングを行う「マルチタスキングアカデミー」もある。

 他にもトレーニングスクールでは学べない“マザトロール”のテクニックを教えてくれる「マザトロールステップアップトレーニング」もあり、生産性を向上させるためのコツなどをアドバイスしてくれる。単に機械を展示するだけでなく、品質を保持しながら経済効果を高めるためのノウハウを包括的に示してくれるテクノロジーセンタだ。



高まる大型マシンのニーズ

あいさつする山崎社長
あいさつする山崎社長
 パーティの中であいさつに立った山崎社長は、熊本の震災に触れたあと、「多くのお客様や取引先様にも被害が出ているが、弊社としても現在、お客様の生産再開に向けて必要なお手伝いに最大限の取り組みをしているところである」と述べ、「中国・四国地区には、私どもの工作機械やシステムをご使用しているお客様がたくさんいらっしゃる。弊社は、お客様の近くで私どもの製品をはじめ、工作機械を使ったテストカットや様々なアプリケーション、プログラミングなどを実際にご覧頂いたり、技術的なソリューションを提供する目的で、通常の営業やサービスの拠点に加えて、世界中の主要なマーケットにテクノロジーセンタと呼ばれる施設を設置しており、日本国内にもこれまでに6カ所、テクノロジーセンタを開設している。オープンした瀬戸内テクノロジーセンタは、国内で7カ所目となるが、中国・四国地区のお客様に、より高度なテクノロジーソリューションと迅速なサービスを提供することを目的に開設の運びとなった」と、開設に至った経緯を説明した。

 また瀬戸内テクノロジーセンタのある早島町について、「瀬戸中央自動車道や国道2号バイパスが通っており、東西南北、各方面からの交通アクセスが大変便利な場所に位置している」と利便性を示した。「この利点を活かして、中国・四国地区のお客様の利便性を一層高めるものと確信している。瀬戸内テクノロジーセンタは、約2800坪の敷地面積の中、建物の延床面積が約800坪あり、これは美濃加茂にあるワールドテクノロジーセンタに次ぐ国内で2番目を誇るテクノロジーセンタとなる。この大きさを利用して他の地域では展示が難しい大型のマシニングセンタやマルチタスキングマシンの展示をはじめ、周辺機器を活用した様々なテクノロジーソリューションを提供したい」と意気込みを話した。また、引き合いの傾向について、「国内においてはより大型の工作機械のニーズが高まっている。特に中国・四国地区は、造船をはじめクレーンなどの大型重機やジェットエンジンなど加工物の大きな産業が盛んな地域である。この地域に大型の工作機械を展示するテクノロジーセンタを新たに設立することには大きな意味がある。また、他のテクノロジーセンタには展示できない大型機を展示することから、この地域だけでなく、他の地域のお客様にも瀬戸内テクノロジーセンタにお越し頂くことを視野に入れている。もちろん、大型機だけでなく、小型機や特定の産業に特化した機種も含めたワイドレンジな製品構成を持っていることがわれわれの特長であり強みでもある」とした。

「良い機械が一流のお客様を運んでくれた」

村上 日本ホイスト社長
村上 日本ホイスト社長
 来賓を代表して、村上正士 日本ホイスト社長が、「本日、バスから降りるとマザックのオレンジのマークが目に入った。このロゴは、ケンタッキーでも大連でも世界中どこでもマザックのある場所に見ることができるが、私は、先進性、新規性、信頼性を表すマークとして認識している。今回の新テクノロジーセンタは白に統一され、機械の美しさに圧倒された。ところで、美濃加茂の工場は窓がありません。全て人工の照明です。人工の照明で手元の小さい配線、小さい作業をも照らす。照明の取り方ひとつとってもマザックのレベルの高さが分かる。温度管理についても、720時間も動く機械をつくっている工場なので、1年中温度管理をしている。工場の現場は埃もない。こうした現場で最新鋭の素晴らしい機械をつくっていることから、至る所に高度な配慮のなされた工場であると理解している。これだけの工場でつくる機械なので、世界一の高品質をキープされるのは当たり前。私はマザックの“V-140”という多面加工ができる機械を8年前に購入した。弊社の工場には年間250社ほど見学にいらっしゃるが、ある企業のオーナーが“最高なんぼまで吊れるホイストがつくれるか”と聞いたので“70トンです”と返すと、V-140を見たオーナーが、“これがあると100トンまでいけるでしょう。やってください”とお願いされ、肩を押された。100トンのホイストを6台つくりましたが、この時に私どもはグンと成長した。今から10年前、私どものホイスト業界におけるシェアはせいぜい20%だったが、その後、伸びを見せ、この2月には40%を超えた。もちろんマザックの機械がたくさん動いており、品質も上がっている。信頼の度合いが変わったと思っている。良い機械を買うということは良い製品をつくるというだけでなく、私は良い運を持ち込んでくれる、と切実に感じている。良い機械が一流のお客様を運んでくれた」とあいさつをした。

 乾杯の発声は三村俊博 三村鉄工社長が行った。

「責任を持って技術やサービスの提供をしていく」

志村 ヤマザキマザックシステムセールス常務
志村 ヤマザキマザックシステムセールス常務
 志村雅人 ヤマザキマザックシステムセールス常務は、新設した瀬戸内テクノロジーセンタについて、「この瀬戸内の地に大型のテクノロジーセンタができたことをわれわれは嬉しく思っている。今回、お客様に発表したことによって、お客様の笑顔を受け止めることができ、責任を持って技術やサービスの提供を積極的にやっていかなければならないと、さらなる責任感を感じた。この中国・四国の地は、重厚長大産業が多いので、われわれの機械を実際に見て、体験して頂いて、その上で設備を決めて頂くことには大変良い施設だと思っている。営業だけでなく、技術でしっかりお客様に提供していくということを今後も続けていこうと思っている。また、技術や製品だけでなく、まずは人間。お客様に評価してもらうように頑張っていく。これからも可愛がってください」と心意気をコメントしてくれた。

センタ内にはサロンも用意。来場者がくつろげる空間となっている。
センタ内にはサロンも用意。来場者がくつろげる空間となっている。
 なお、30カ所以上あるテクニカルセンタに在籍する所長の平均年齢は40.8歳と大変若い。営業職の平均も35.3歳だ。
 同社は、現在、中国・四国が絶好調。航空機や造船の勢いが後押ししているという。式典の参加者に話しを聞くと、「われわれの側にマザックが来てくれた。安心できる」、という声も多く、多忙な地域に心強いテクノロジーセンタの開設となったようだ。