MOLDINOファン必見! 「MOLDINO WEB EXPO」の魅力に迫る!
サイトの優位性「01~03」
結構な動画の数に若干腰が引けたのだが、このサイトの優位性は、見たいところが〝細切れ〟になっているところである。しかも、動画の時間が短いのもポイントだ。最近は溢れる動画の数々から、自分の〝見たいポイント〟を絞って情報を得るのが困難になっている。大きくカテゴリー分けがされ、さらにその中から見たいポイントを絞って見られるようになっており、これはありがたい。面倒くさい部分が見当たらないのは、なにより嬉しい。おそらくこのサイトを拝見したら、筆者が述べている意味が分かるだろう。非常に見やすいレイアウトなのだ。
「01」では同社は20年前(2000年)、世界初の高送りコンセプトを実現する『ASR』を提案した様子が拝見できる。この時は金型の深・直彫り荒加工に画期的で合理的な工具を市場提供し、大きな注目を浴びた。難削材が増加し、金型のデザインが複雑化する中、着々と商品群を進化させ、2020年に大荒加工で最大送りを実現する『TR4F』を新発売させている。
ここでは高送り工具の歴史である「TD4N」、「TD6N」とともに、新製品である『TR4F』の超高送りの世界へ導く様子が流れている。スムーズな切りくず排出性がGOOD! 動画は1分前後なので、見ている方も楽ちんだ。
「02」では、画期的な高精度ボールエンドミル『ABP』を発売して以来、コストメリットのある刃先交換式工具による仕上げ加工は世の中の常識となり、さらなる高精度・高能率・5軸化の流れなど、加工現場のニーズに応じて切削工具は多様化を遂げていく様子、そして本年、ソリッド並みの切れ味を持つ新商品『ASPV mini』が登場。
商品動画は5つあったが、動画では新商品である『ASPV mini』の立壁の倒れ量が少ない様子や、研ぎ付けブレーカ rε0.2から1.0ラインナップに加え、耐摩耗性に優れた被膜、〝TH3コート〟の強みを活かした底面底仕上げ加工を行っていた。刃先交換式工具で高品位加工を実現するメリットが短い動画の中でも理解できる。
「03」は、切削工具の性能を左右する最も重要な要素のひとつであるコーティングについての動画だ。2001年、MOLDINOが開発した業界初のSi含有ナノコーティング“TH”は圧倒的な耐熱性・耐摩耗性で高硬度鋼直彫り加工の領域を大きく引き上げた。
「最新の“TH3”を採用した超硬エンドミルは、高硬度領域でcBNの性能に匹敵します。MOLDINOはこれからもコーティング技術の最先端をリードし続けます! という決意を動画に込めています。」と三枝氏はコメントをしてくれた。ここでは4つの商品情報があり、新商品は、「EHHBE-TH3」と「EPDREH-TH3」。このふたつの新製品はカタログになっている。
サイトの優位性「04~06」
04~06になると、実践的な加工ノウハウが示されていた。特に金型業界に従事されている方にとってこれらの加工事例はありがたいだろう。おそらくギリギリのところまで開示しているのかもしれないが、さらなる特別な情報を仕入れるチャンスも期待できそうだ。
「04」では、「自動車アウタープレス型の高能率加工」について。荒加工、中仕上げ加工、仕上げ加工の動画が3つあった。自動車大物プレス型の加工では使用する工具タイプが限定されているケースが多いため、大幅な加工改善が期待できないが、高送り工具や仕上げ用多刃エンドミルを駆使した改善提案を行っている。商品情報は4つのうち新製品は『BR2P』。親子刃一体インサートがユニークで特長的だった。肉盛り溶接部加工を行っていた。
「05」は「順送型プレートにおける高硬度鋼への直彫り加工」がテーマ。順送型ダイプレートの加工では、熱処理前工程(電極線結線用下穴/タップ)と熱処理後工程(放電加工)の2回の段取りが一般的だが、この事例では、同社の高硬度鋼対応工具を使用した直彫り加工が繰り広げられていた。放電加工から切削加工への置き換えで、加工時間・加工費の削減と、段取り替えをなくす自動化・省人化を提案している。ここでは、加工時間が短縮できるのがよく理解できた。他にも「ストリッパガイドブッシュ」、「ガイドリフタ」、「ネジ加工」の3つが動画にあった。その下には商品情報があり、ここでは6つの商品があった。うち、新製品は2つ。『ASPV-mini』と『DN2HC』だった。
ラストの「06」は、「高硬度鋼5軸加工」がテーマだ。圧倒的な高硬度鋼加工特性を持つTH3コーティングエンドミルを中心に5軸直彫り加工を行っていた。高送り荒加工・高能率側面切削・異形工具による加工工程集約が見所。高硬度鋼の直彫りと新加工方法により、加工時間を大幅に短縮した事例があったが、この「MOLDINO WEB EXPO」のかゆいところに手が届くような点は、動画だけでなく、加工工程表データをPDFで見られるようになっているところだ。これはありがたい!
この「MOLDINO WEB EXPO」で見られる特長的なことは〝消耗品である工具費用にポイントを置くよりも、加工費全体を見直しましょう〟という点である。
これについては、すでに約20年前から同社ではトータルコストを削減し、経済効果を高める「PRODUCTION50」を推進している。ざっくりいうと、工具費のみを半分にしても加工現場における加工費にほとんど変わりはないと言及しているのだ。
三枝氏はこの件について、「加工費に対する工具費の比率は少ないため、加工現場の利益拡大に対するメリットには、最新工具の性能を活かして加工時間を半減することを提案します。工具は消耗品のため、たしかに悪目立ちしますが、加工全体からみると、最新工具の性能を存分に活用すれば、加工時間は大きく低減でき、加工現場の利益拡大につなげることができるという考え方です。」と説明してくれた。
また、加工は、切削工具のみで行うものではないため、現在、同社では、さらなる加工現場の利益拡大を目標に、工作機械メーカー、CADCAMメーカー、周辺機器メーカーとともに、加工ソリューションを提案し、ユーザーニーズに合致したノウハウを提供している。加工に貪欲な〝切削工具マニア〟も目から鱗的なセミナーも好評で、現在「第3回WEBセミナー MOLDINO的・難加工材攻略法」の受講者を受け付けている。