「製造現場の自動化・省人化に貢献」 ~ブルーム-ノボテスト 山田社長に聞く~
近年、製造現場において、急速に自動化・省人化が加速している。効率良く安定して高品質なモノを生み出すためには高度な技術が必要不可欠だ。そのため、工作機械もさらにパワーアップしているが、この工作機械用コンポーネント分野において画期的な製品を提供しているのがグローバル企業のブルーム-ノボテストである。熱変位などの物質的なパラメータと加工対象物の変数を識別し補正をする技術を用いて世界中の工作機械産業、自動車産業、航空機産業などに貢献している。
同社日本法人の山田 亨社長は、世界中を飛び回りながら、グローバルな視点で製造現場の時流を見つめており、国際性豊かな視点を持っている。山田社長に自動化・省人化をテーマにお話を伺い、また、同社の最新技術についても取材した。
無視できない中国
―新型コロナウイルス感染症の影響により、世界中が厳しい状況にある一方で現在、次世代自動車の技術開発や、デジタル化需要拡大に向けた動きも活発化する期待もあるようです。また、コロナ禍をきっかけに働き方が変わろうとしていますが、この流れについて感じることはありますか。
山田 現在、〝withコロナ〟という言葉が頻繁に使われているとおり、社会は変化しています。日本の製造業は、Withコロナも重要ですがWith China、中国とどう付き合っていくかが今後の鍵を握るとみています。世界の工場と呼ばれた中国ですが、今では生産拠点というよりも、拡大する消費市場として捉えられています。現実に、中国には日本製とドイツ製の機械がたくさん入っていますから、無視できない課題となるでしょう。コロナ禍により中国が止まってしまった時は、部品が来なくてモノが作れなくなり問題になりましたし、今後、この経験を踏まえ、われわれはどう変わっていかなければならないのか、中国だけでなく、他の地域で作るのか、日本で作るのか、様々なことを考えていかなければならないと感じています。
―最近は生産拠点を国内に戻す動きも出ているようです。
山田 昔は安価な人件費を求めて中国に生産拠点を設置する動きが活発化していましたが、今ではその状況にも変化が見られます。今の日本は、人件費が高いわけではなく、中国と比較しても土地や電気代などが高いのではないでしょうか。製造業にとって原材料費やエネルギー代、土地代などの見直しが始まるようにも思います。私はアジアをみていますが、中国における賃金は上昇しています。日本の賃金も決して高くない。ベトナム、タイでは今中国より安いのです。したがって中国に生産性コストの低減を求めることはできなくなってきたように思います。また、もともと日本の製造現場における生産効率は高かったとされていますが、一部の大企業には該当しても全企業を指しているわけではないので、職種のさらなる合理化が進むのではないかとみています。
サービスの重要性
―確かに、つい最近まで、安価な人件費を求めて海外に拠点を移す動きが盛んでしたが、現在、工場の自動化・省人化を実現することにより、国内で安定した生産をすることが可能になると思います。
山田 日本の製造業は潜在する能力をまだまだ秘めていると感じています。現在、働き方改革が進んでいますが、コロナ禍においてテレワークが推奨され、業務内容にもよりますが、どの地域にいても仕事ができるようになりました。日本は少子高齢化に加え、深刻な労働人材不足問題に直面していますから、これからの製造業はこの時流を踏まえて、自動化や省人化技術に磨きをかけた生産体制を構築できれば、人間が起こすポカミスも減少し、高能率かつ安定供給が可能になっていくと思います。
―そうなれば今後、メンテナンスやサービスも重要なポイントになると思いますが、山田社長はこの点についてどうお考えでしょうか。
山田 弊社の製品でいえば、使い方のノウハウが重要ですから、お客様がお困りの際に、すぐに提供できるようサービス面を充実させています。様々な機能があるスマートフォンを通話の機能でしか使わなかったら、その製品を使いこなしていないことになります。このスマートフォンだって、簡単に使いこなす方もいらっしゃいますが、操作を覚えるのが面倒な方もいます。ですから、弊社では、開発だけでなく、弊社製品のノウハウを提供していく人材育成に注力しています。お客様をしっかりフォローできるチームは要になってくるでしょう。それこそお客様が課題に直面したときに、簡単に電話一本だけでも、すぐに対応し、レスポンスの速さにも安心感を持って頂ければ嬉しいですね。弊社製品を取り付けて終わりです、ということではなく、常にお客様に寄り添うようなサービスの充実を目指すため、日本だけではなく、ワールドワイドで体制を構築していきます。
―貴社は工作機械の能力をさらに高める縁の下の力持ち的な製品の数々を提供しており、〝信頼できる生産〟に貢献しています。製造現場が経済効果を高めながら安定供給のために必要なこととは。
山田 加工は自動化でも安定した性能を発揮できることが大前提ですが、これからの加工は総合力が鍵を握ると思います。機械、ホルダー、工具、測定器、これらをトータルでどう使いこなすかによってコストパフォーマンスの良い生産性を実現できると考えています。