【レポート】予想以上の反響だった「3社合同WEBセミナー」 ~牧野フライス精機、アライドマテリアル、アクシスマテリア~

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聴講者にメッセージを送る牧野フライス精機 清水社長

 コロナ禍により、最近はオンラインセミナーが活況を呈している。その中でも、9月10日(木)に開催した牧野フライス精機、アライドマテリアル、アクシスマテリアの「3社合同WEBセミナー」は聴講者の募集をかけたところ、告知早々満員となり、予想以上の反響もあって多数の方が受講できない事態になってしまったほどだ。そこで今回、工具研削技術向上のチャンスを逃してしまった方のために、9月17日(木)にも急遽、追加開催(内容は9月10日の実施と同一)した。大人気セミナーをレポートする。

今こそ積極的に学び、次の時代への飛躍に備えて欲しい

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牧野フライス精機 横田さんのスムーズな司会

 〝工具研削技術〟といえば、加工の中でも、なんとなく華やかさに欠ける地味なイメージだが、この技術は切削工具の切れ味を左右する非常に重要なものであり、この技術がなければ、高精度かつ高能率に加工ができなくなってしまう。今回の3社合同WEBセミナーのタイトルは、「工具研削技術勉強会」。

 内容は、牧野フライス精機が、①工場内温度管理、②望ましい機械設置環境、③砥石管理について、アライドマテリアルが、①研削理論、②ツルーイング・ドレッシング、③工具研削盤による改善事例紹介、アクシスマテリアが、①超硬合金とは、②超硬合金の製造法、③超硬合金の特性、④超硬合金のラインナップ――といった、工具研削にかかわる技術を3社によって包括的にアプローチするという特別なものだ。

 牧野フライス精機の清水社長が聴講者に向け、「新型コロナウイルス感染拡大によって、皆様と集まって直接お話する機会がなくなりましたが、オンラインの開催によってより多くの皆様と同時につながるチャンスを得たとも言えます。世界全体に閉塞感の漂う困難な時代ですが、このような時にこそ、積極的に学びの機会を提供させていただき、次の時代への飛躍に備えていただきたいというのが3社共通の思いです。本日のセミナーが皆様の事業の今後の発展に貢献できることを願っています。」と、同社工場から、メッセージを送った。

 清水社長のあいさつのあと、同社技術部マネージャの大谷氏が説明に移った。

研削加工を極めるためのノウハウがぎっしり!

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牧野フライス精機 技術部マネージャ 大谷氏

 まず説明した内容は、(1)工場内温度管理、(2)望ましい機械設置環境、(3)砥石管理について。加工の敵である熱膨張について、1mの鉄は1度の温度変化で10μm伸縮するという。工作機械は強度や加工性、コスト面で優れている鉄系金属が材料として使用されているが、熱変位によって機械本体の姿勢が悪くなる。見た目は分からないが、非常に大げさにいえば、機械自体が猫背になるようなイメージであるから、工場内の温度管理や研削液の温度がいかに機械本体に影響を与えるか、ということを、グラフを用いて説明している。

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熱変位による機械本体姿勢変形イメージ

 どんな工作機械でも、必ず室温変化の影響を受ける―――。この事実に対応するため、同社では、工具研削盤は熱変位の影響を最小限に抑える対策をしていた。具体的には、熱変位の姿勢変形を抑制するため、〝左右対象構造〟にしている。非加工時も研削液を循環させて温度を均一に保つため、ヘッドクーラント機能を採用し、主軸も冷却油を循環させ、モータ部からの発熱、主軸頭への熱の伝達を抑制するという徹底ぶりだ。他にも、工作機械は長時間運転を行う機械なので、加工精度を維持するには場所や運転環境を整えなければならないが、どんな環境が望ましいのかなど具体的に図解を用いて示しており、非常に分かりやすい。

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設置場所が埋立地・近隣に田畑がある場合は土の硬さが不安定なため、地盤改良が必要だ。

 さらに、機械を設置するにあたり、望ましい地盤についてまでも言及していたのは、ありがたい。工作機械を設置するのに適した望ましい〝地耐力〟についてなど、なかなか聞くチャンスはないだろう。ちなみにこの説明では、関東ローム層(概ね粘性土)の地耐力は5t~8t/㎡、基礎を作るのに望ましい地耐力は20tから30t/㎡で、機械設置に適した地耐力を持つ場所がほとんど無いため、軟弱な土にセメントを同化させた改良材を用いて、土質を安定させる〝地盤改良工法〟を用いて地盤の地耐力を増大させることの必要性を述べていた。なお、さらに詳細に知りたい場合は専門業者に相談することを推奨している。

 他にも床厚についてや、気になる基礎施工時間(コンクリートが硬化し機械設置ができる強度が出るまでの時間)も解説しており、これによると物を載せられるまで1週間、機械を設置できるまで4週間、4週間以降に1カ月重量物を載せて基礎を安定させる、と大谷氏。ここまで丁寧に説明してくれると新規設備を導入するための知識が増えるだろう。

 セミナー画面をみていると、画面右に表示されてあるチャットが活発になってきた。参加者は匿名でセミナーの途中に質問ができる仕組みである。返答するまでの時間が早いのは驚いた。おそらく専門部隊が受講者に対応しているのだろう。セミナーと並行して質問ができるのはオンラインセミナーの利点であり、モタつきのないスマートな部分に企業努力がチラリと見える。また、研削加工についても、砥石の摩耗による連続加工時の形状変化について詳細に解説するなど、研削加工を極めるためのノウハウが豊富に詰まっていた。

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