オーエスジー 「NEO新城工場」完成 ~デジタル駆使で超多品種少量生産! 合い言葉は「ゼロワンファクトリー」~
オーエスジーは、本年5月に、マザー工場のひとつである新城工場を「NEO(ネオ)新城工場」にリニューアルし、デジタル技術を駆使して、超多品種少量生産を実現させる取り組みを開始した。同社の国内マザー工場における大規模リニューアルは、約30年ぶりとなる。
2019年1月に、NEO新城工場の構想と併せて新プロジェクト「OSG4.0」を発表した同社。「OSG4.0」とは、小ロット、大ロットに関わらずQ(品質)・C(コスト)・D(納期)を満足させることのできる生産体制の実現を目標とし、今まで、パズルのピースとして進められていた「器としての新工場」、「自動化→省人化」、「無人稼動の設備」、「デジタルですべてを繋ぐ」というものを組み合わせたプロジェクト。また、同社では、「デジタル情報」でインフラを繋げることを目的に進められていたOPDM(OSG Product Data Management)の構築を進め、モノづくり情報の入出力をこのOPDMで一本化し、顧客、営業、設計、製造をこのOPDMで繋げて受注力を強化し、利益の最大化をはかることを進めている。
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https://www.osg.co.jp/special/neoshinshiro/index.html
超多品種少量生産とは
「OSG 4.0」を具体的に生産工場に取り入れ、そのひとつとして完成したのが、このNEO新城工場だが、この工場で生産するのは、超硬ドリル、超硬タップ、ハイスドリル、ハイスエンドミルで、月当たり5400種類、7700ロットの工具を生産する。工場に勤務する人員は、約600名で、能力的には月当たり6000種類、8000ロット、70万本以上の生産能力を持っている。超硬ドリルと超硬タップは1ロット当たり20本以下が大多数で、200本もあればかなり多い方になる。「この規模の工具工場で、これだけの多品種少量生産に取り組んでいるので世界中でも恐らくNEO新城工場だけであろうと推測します。」と同社。
具体的な取り組みとして、デジタル化の徹底で「工程の見える化」を図り、設備稼働率を上げるために、砥石(といし)、治工具、プログラムを一括管理する「外段取り」などを実施している。しかし、月あたり7000ロットも生産する工場ということもあり、「本質的に大切なことは、人の力を生かすことだ。」と捉えている。同社では、あくまでも人が中心であり、ツールとしてデジタル化を進めているのが特長だ。また、本年10月に生産管理システムの新バージョンを導入している。さらに次世代型の複合研削盤と自動検査装置も開発している。
超多品種少量生産へのこだわりと製造現場での取り組み
「多品種小ロット生産の場合、標準品と特殊品の混合生産であっても、世界最強の競争力を持つというのがNEO新城工場の目標だ。」という同社。顧客に選んでもらえるよう競争力、QCDを実現することが重要と考えている。NEO新城工場で重視した点は、工場内の新棟には、超硬タップと超硬ドリルの製造を集めた。
これらは全く生い立ちの違うもので、超硬タップは特殊品が多く、ロットも小さいという傾向がある一方、超硬ドリルは近年ニーズが高まり、新城工場と大池工場の2か所で生産していた。このように生い立ちが違うため、それぞれ異なるため加工機で生産していたが、同社ではここで、「なぜタップとドリルの前工程でこんなに加工機が違うのだろう」という疑問に突き当り、思い切って全てを一つの工場に集めて、作り方をできるだけ統一することを進めた。これにより、作業者にとっても多能工化を進めることができ、需要変動にも対応した人員配置が可能となった。「なるべく同じような作り方に寄せる」という考え方だ。
「製造現場での取り組みは生産コストで大きな割合を占めるのは設備費で、止まっている機械をいかに少なくするか、切りくずをいかに多く出せるようにするかが重要だ。」と同社。そのためにIoT化、見える化を徹底して推進している。新システムでは、生産管理、製造技術、製造のメンバーが生産管理画面の前に集まって、いかに〝設備稼働率を上げることができるか〟と知恵を出し合っている。