経済産業大臣賞にトヨタ自動車 「超高塗着エアレス塗装技術の開発」 ~第55回(令和2年度)機械振興賞受賞者決まる~
機械振興協会(会長=釜 和明氏)が、このほど令和2年度の機械振興賞の受賞者を決定した。今年度は32件(大企業16件/中小企業8件/小規模事業者6件/支援機関2件)の応募の中から、経済産業大臣賞1件、中小企業庁干渉1件、機械振興協会会長賞6件、審査委員長特別賞3件、奨励賞2件、新たに新設された中小企業基盤整備機構理事長賞1件が決定した。
機械振興賞の表彰対象は、独自性、革新性および経済性に優れた機械工業技術に係わる研究開発およびその成果の実用化により新製品の製造、製品の品質・性能の改善または生産の合理化に顕著な業績をあげたと認められる企業等および研究開発担当者と中小企業の事業を支援してきた支援機関の担当者。機械振興賞は、従来の機械振興協会賞(唱和41年度創設)と中堅・中小企業機械開発賞(唱和45年度創設)を統合し、平成15年度に発足した新機械振興賞を解明したもので、開催回数は機械振興協会賞(第1回~37回)と新規改心交渉(第1回~15回)の回数を引き継いだ一昨年度から3度目となる。
経済産業大臣賞
●超高塗着エアレス塗装技術の開発 (トヨタ自動車、推薦:日本自動車工業会)
自動車の塗装には、高品位かつ広範囲への塗布が求められており、塗料を微細化するために大量のエアーを必要としてきた。しかし、その大量のエアーが塗装面ではね返されて、エアーに含まれる多くの塗料が無駄になっていた。本業績では、遠心微細化技術における塗料供給溝を立体化して、隣り合う溝から放出される塗料の液糸は互いに接触することなく、静電気の反発力によって微細な液滴となる装置を開発した。この静電気を帯びた液滴は、電気的に接地された塗装面に引き付けられるため、従来は 60%程度であった塗着効率を90%まで高めることに成功しており、この技術を同社グループだけでなく、他社にも技術供与することを検討している点などが高く評価された。
中⼩企業庁⻑官賞
●針葉樹圧密加工装置と圧密浸漬処理技術開発(天童木工、推薦:山形銀行 天童支店)
国内で多く植林されているスギやヒノキ、カラマツなどの針葉樹は、軟らかく傷がつきやすいことから木製家具の材料としては不向きとされ、林業の低迷などにより手つかずのまま放置されてきた。同社では木材を薄板にして1枚1枚プレスによる圧密加工を施して積層する方法により、家具などに使用可能な硬さと強度を持ちつつ意匠性を高めた製品を製作してきた。本業績では、さらなる改良として、プレス後で薬液が含浸しやすくなった単板を難燃剤や防腐・防蟻剤の液体に浸漬し、さらに再度プレスして、隅々まで薬液を染み渡らせる手法を開発した。これにより今まで製造が難しかった屋外用家具の製造を可能とし、国産木材の用途を広げることを可能とし、意匠性の高い施設や設備での利用などで林業地域の活性化に寄与している点が高く評価された。