経済産業大臣賞にトヨタ自動車 「超高塗着エアレス塗装技術の開発」 ~第55回(令和2年度)機械振興賞受賞者決まる~
審査員長特別賞(企業名50音順)
●安価でコンパクトな少量多品種に適した飲料充填機の開発(アステックエンジニアリング、推薦:日本食品機械工業会)
ワインやウィスキー、日本酒などで希少価値の高い商品は、生産量が非常に少なく、大量生産用の充填機は、コスト面や設置スペースなどの問題があり使いづらい。また、専門店やイベント等で消費者の目の前で瓶詰めできれば、プランドイメージづくりなどにも役立てることができる。本業績では、洗浄・充填・キャッピングまでの機能を備えた充填機を家庭用の冷蔵庫程度の大きさにおさめることで、多品種少量生産に向いた充填機を開発した点が評価された。
●工具等管理対象物の持出・返却管理業務の効率化(セ-ルスワン)
工具は複数の作業者が使用することが多く、探す手間や管理コスト、棚卸しによる工数の発生等が問題となっていた。近年では、IoT の発展や、電子タグの普及により一つ一つを確認しなくても、電波によりまとめて管理することが可能となってきた。本業績では、一つの携帯端末で、いろいろな種類の電子タグに対応できるようにし、工具の形状や使用方法に応じた電子タグを使用できるようにしている。また、大手と同様の機能を持ちながら5分1程度の価格で提供することを可能としている点が評価された。
●テコの原理を使った迅速な抜歯を可能にした抜歯鉗子(ノイシュタットジャパン、鶴見大学歯学部、医療法人社団松伯会、推薦:鶴見大学)
歯の抜歯には、長年、ペンチ状の鉗子やノミ状の道具が使われてきた。これらの道具は歯の形状や口腔の状況などにより使い分ける必要があるため、往診の際には20種類以上持ち歩かなくてならず、使用後は滅菌処理が必要になるため、後処理にも時間がかかっていた。また、抜歯には90㎏近くの力が必要とされ、力の弱い医師の負担になっていたり、数多く処置をすることが難しかったりした。本業績では、抜歯する歯に穴をあけ、接着剤でネジを固定して、そのネジの頭にくぎ抜きのようにテコをかけて抜く方法を開発した。また、テコの形状をペンチ型として力加減を調整し易くしたことで、安全で出血も少なく、患者の負担も少ない抜歯を可能とした点が評価された。
奨励賞(企業名50音順)
●セラミックス基板の高効率切断装置(三星ダイヤモンド工業、推薦:日本ファインセラミックス協会)
通信機器向けの配線付セラミック基板等、セラミック基板の需要が高まっており、従来はレーザーや砥石で切断していたが、配線のショートや研削液汚染の問題があった。本業績では、CVDダイヤでコーティングしたガラス切りのそろばん玉状の工具で亀裂を入れて割断する方式を採用して、加工時間が短くトラブルのない切断方法を開発した。
●大型ドロ-ン性能評価装置の開発(ciRobotics、大分県産業科学技術センター、推薦:大分県産業創造機構)
世界的にドローンの開発が進んでいるが、安全性や性能に関する検査基準が確立していない。本業績では、大型のロボットアームに軸力計などの計測機器を搭載し、ドローンを傾けたり、上下に移動させたりすることによって、飛行時と同様の負荷をかけ、ドローンの性能や耐久性、安全性、バッテリーの性能等を検査できるシステムを開発した。
支援業績
●山口県航空宇宙クラスターの活動支援(やまぐち産業振興財団)
山口県航空宇宙クラスターは、山口県内のものづくり企業7社による航空・宇宙産業に、ものづくりで貢献するネットワークで、本支援活動は、このネットワーク活動を支援するための施策や業界調査、人材育成、新技術の紹介、国内外展示会の出展を支援している。支援方法としては、認証資格取得支援や海外の動向調査など業界特性を踏まえた支援活動を行っており、クラスター企業の自主的な活動を支援しつつ、クラスター外の企業や他プロジェクトにもその活動を波及させるなど、支援担当者が能動的に動くことで、波及効果の高い支援活動を行っている点が評価された。