安田工業 新規事業開発課が熱い! ~クリエーターを刺激する『Labonos』が製造工程を変える~

Labonostop

 現在、製造業界で大注目の『Labonos(ラボノス)』は、安田工業(社長=安田拓人氏)の技術本部 開発部 新規事業開発課が開発したマシンだ。3Dプリンタと同等以上の使いやすさを実現しているにもかかわらず、精度の高い切削加工を行うという、3Dプリンタとマシニングセンタの良いとこ取りをした画期的なマシンである。したがって従来の切削加工機で必要だった専門知識は不要であり、たとえ意匠性の高い複雑形状であっても、誰もが簡単に美しい加工が行えるシステムを搭載しているのが特長だ。

 同社の新規事業開発課を訪ね、『Labonos』の開発に至った経緯や、マシンの技術的特性について徹底取材した。


高精度マシニングセンタの製造ノウハウで培った理念と信念が『Labonos』に継承

Labopnos 
専門知識不要の簡単操作で3Dデータを確実に変換する「Labonos LDR200」

 YASDAのスローガンは“最大ではなく最高を目指す”。この言葉にあるとおり、同社では高精度で高い耐久性を備えたマシニングセンタを生み出し続けており、金属加工を商いとする者たちの多くが同社のマシンに憧れを抱いているといっても過言ではない。

 筆者が『Labonos』を初めて拝見したのは、2017年10月に開催された展示会「メカトロテックジャパン(MECT)2017」だった。そのときはYASDAブースの奥にひっそりと参考出品として展示されていたのだが、冷蔵庫のようなマシンの佇まいを見て、(YASDAらしくないマシンだな)と感じたことを覚えている。だが、このマシンの説明を聞いたとき、衝撃があった。3Dプリンタとマシニングセンタの良い取りをしたマシンだということを理解し、YASDAが従来とは違う新しい取り組みを推進していることを強く感じた。

 あれから約4年――――。この『Labonos』は製造業のデジタル化が進んだこともあり、時流に乗った。強度や耐熱性など量産品と遜色ないレベルで製品を確認でき、製作した部品もそのまま製品として使用できる便利さが工業デザイナーをはじめ、クリエーターの心を捉えたのだ。

 開発に至った経緯について、同社の技術本部開発部 新規事業開発課 課長 田中喜浩さんは、「主力のマシニングセンタとは異なる市場でトップを目指したい、という安田社長の言葉から〝新規事業として何かを始めたい〟の思いで、2016年1月にプロジェクトが開始されました。」と話す。

Labonos 田中氏
プロジェクト発足時を振り返る田中課長​​​​​

 当時のプロジェクトメンバーは6人。『Labonos』に行き着くまでに様々な意見が飛び交った。発電装置、医療製品、モデリング受託など、多数の案が議論された中で、誰でも扱えるマシニングセンタを基軸にして着目したのは、試作(3Dプリンタ)市場だった。着目した理由は、こうだ。

 (1)YASDAの強みが生かせる
 (2)試作業界はマシニングセンタとは異なる市場である
 (3)試作業界で扱われている製品の主体は3Dプリンタ市場
 (4)調査の過程で3Dプリンタの困りごとが見えてくる

 ここで開発のキモを握ったのは、〝3Dプリンタの困りごと〟だ。試作を商いとしている顧客からは「3Dプリンタで成形した製品強度では本来の試作評価にならない」、「積層痕の質感では満足できない」、「後処理に多くの手間が必要」などの声があがった。多数の意見が交わされ、議論を重ねたのち、2016年6月頃には『Labonos』の企画が決まった。その翌年の2017年4月には新規事業開発部が4人体制でスタートした。

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