目標は不良品ゼロ! 工作機械業界に貢献するブルーム-ノボテスト Alexander Blum社長に聞く
ユニークで画期的な技術により、世界中の製造業に貢献しているブルーム-ノボテスト(社長=Alexander Blum氏)は、ドイツに本社を構え、革新的な測定・試験技術などを工作機械、自動車、航空機、エネルギー、医療機器などありとあらゆる産業分野を対象に提供し、信頼を得ている。2017年に登場した『LC50-DIGILOG』はレーザー測定技術に革新をもたらせたとして大きな注目を浴び、今では製造現場の自動化による高能率化と安定品質の確保に大きな安心感を与えている。
■製造業においてグローバルな観点からアフターコロナについてのお考えは。
中国をはじめ回復傾向が見えていますが、ヨーロッパではコロナ以前から市場が変化しています。この変化の要因として、従来の伝統的な製造業が盛んである中部ヨーロッパ圏、ドイツ、フランス、スカンジナビアなどの国で行われていた工作機械を使った加工業などが東の方に移動し、ルーマニア、ブルガリア、ポーランド、ウクライナに多くの部品産業が移っていることが挙げられます。従来の伝統的な製造業の盛んであった中央ヨーロッパ圏内では、現在、洗練された技術がコロナをきっかけにさらに加速しています。洗練された技術というのは、自動化のさらなる向上で、高精度かつ品質の良いものを作るということだけではなく、その精度を作る工程の安定化が進んでいることを示しています。これはヨーロッパだけではなく、アメリカやメキシコなども似たような傾向が見られています。
現在、他国の技術に頼らず、様々な技術を自国に取り込もうとしている動きがあります。先進技術を持ち、世界的に活動している企業は、この傾向にどうやって対応していくのかを一つ一つ見極めていく必要性が出てくるでしょう。
■トレンド予想としてどの産業に注目していますか。また、その理由を教えてください。
どの産業も大切なので、基本的にはどの産業も無視できないというのが前提にありますが、現在、われわれが重要視しているのは工作機械業界です。工作機械で使われる様々な主要部品はここ10年前ほどから、様々な意味で標準化され、共通利用された部品が増加しています。日本の工作機械メーカーにとって、とても特徴的なことは、他社との差別化をするために、スピンドルの特性を非常に重要視して開発されていることです。これらを開発するための試験機、R&D用のスピンドル試験機を弊社は提供しています。この試験機のユニークさは開発対象のものに、単に荷重やトルクをかけられるだけではなく、振動を与えたりして、そのデータを取りながら、研究開発に役立てることができる、という点にあります。さらにR&D用の試験機以外にも、出荷前用の試験機を使って、出荷するスピンドルの追跡調査もできます。スピンドルの予防を予知メンテに、そのデータを使用してモニタリングすることも可能です。一方、エンドユーザーにとっては、私どもの新製品「LC50-DIGILOG」装置を機上でご活用して頂ければ、ただ単に工具の長さや径を測定するだけではなく、スピンドルの状態から来る振動や振れの状況など、弊社のレーザーシステムを使って見ることができます。
また、私どもが新たに発売した、「ポータブルスピンドルコントロール(以下PSC)」装置を活用頂ければ、工作機械にレーザーが搭載されていなくても工作機械のスピンドルの状態のデータを取ることができます。
また、工作機械を活用した製造現場の少量生産の自動化にも注目しています。今まで少量生産されるものは投資の費用対効果の点で、自動化がなかなか進みづらかった面がありますが、今後は賃金の高いところ、要するに高コストの地域、少量生産ロットでも自動化は加速していくと見ています。昨今の時流を踏まえ、工作機械産業を重要視しているのはこうした理由からなのです。
われわれの技術は、あくまでもお客様が、われわれの製品をどう使うかによって、どのようなアウトプットができるか、お客様独自の決定ができます。われわれが提供するのは、基盤となる技術と、それを使うためのソフトウェアであり、製品を使ってどのように自分たちのマーケット、あるいはお客さんに自分たちのものを提供してくかということは、それぞれのお客様が自分たちの技術を使って提供していけるものです。
こうしたことから、世界中の工作機械メーカーに対しても、その国ごとで違ったもの、違った観点からのアプリケーションを提供できます。