岡本工作機械製作所の「平歯車研削盤ASG-2形」 日本機械学会「機械遺産」に認定
日本工業大学・工業技術博物館(館長=清水伸二氏 同大学客員教授、 上智大学名誉教授、MAMTEC代表)所蔵の岡本専用機械製作所(現:岡本工作機械製作所、社長=石井常路氏)の「平歯車研削盤ASG-2形」が日本機械学会「機械遺産」に認定された。
このマシンは、同社の創業者である岡本覚三郎氏が呉海軍工廠からの注文で歯車研削盤の設計に着手し、度重なる試行錯誤を経て1930(昭和5)年に国産初の「平歯車研削盤ASG- 2形」を完成。終戦の1945(昭和20)年までに13台を製造したもののひとつ。
研削できる歯車の最大ピッチ円直径は500mm、歯幅は最大200mm、モジュールは最大 8。歯車を交換することにより、歯数などが異なる歯車の加工に対応できる独創的な機構を
有している。
また、このマシンの名板表記による製造年月日には「2601年1月」とあり、製造当時の時代背景をみることができる。
国産初の歯車研削盤はOKAMOTOの礎となるマシン
機械遺産登録について同社では、「このたび当社が製造した国産初の歯車研削盤ASG-2形が機械遺産選定されましたこと、大変光栄に思います。」と喜びを表している。
また、平歯車研削盤ASG-2形の位置付けを、「当社の創業者である岡本覚三郎氏が設計を行った国産初の歯車研削盤は精密工作機械メーカーとしての当社の礎となる製品でした。その後当社では、各種研削盤や半導体関連製造装置の製造を行っておりますが、基本となる砥粒加工技術はここから始まりました。現在では群馬県安中市の本社工場を起点とし、日本の精密モノづくりをグローバル展開するに至っております。」と示した。
広報担当者は、「日本の強みである工作機械の歴史を後世に語り継ぐためにも、当社製品の機械遺産登録を嬉しく思います。工作機械を作る事の楽しさを知って頂き、今後の工作機械業界を牽引していく若手が増えればと思います。」と未来の工作機械業界を担っていくであろう若者の活躍に期待を込める。
次のページでは、清水館長による日本機械学会機械遺産認定機「ASG-2形歯車研削盤」における機械の詳細や歴史背景の説明を掲載している。