鋳造から加工まで一貫生産 田島軽金属の凄み ~砂型アルミ鋳造技術で未来を創造~
『TAC/トランスフォーメーション(TX)』の推進で能力を高めている社員がバカをみないようにする
昨今、製造現場では、日本政府が企業の国際競争力を高める戦略として提唱されている『デジタルトランスフォーメーション(DX)』がトレンドだ。簡単にいうと、〝企業がビジネス環境の激しい変化に対応するために、ITを活用してビジネスモデルを変革するとともに国内外で優位性を持ち事業を継続するようしましょう〟というものだが、田島社長流の『TAC/トランスフォーメーション(TX)』は、〝社員ひとり一人の能力を最大限に発揮できる組織体制を構築し、顧客満足の追求と、適正利益の確保によって社員の幸せを実現して事業を続けられるようにしよう〟というものである。
これを実施するため、組織のフラット化、スリム化、内容別責任制を実行した田島社長。まずは、肩書きをなくし、〝さん付け〟で呼び合うことからはじめ、スペシャリストは現場に戻り、指導と支援に注力するよう環境を整えた。
保有する技能と技術があるからこそ、顧客と売上が付いてくると考えている田島社長は、「一番のスペシャリストである人材を管理職にすると、その途端に技能がおちて不良品が増え、そのうえ問題解決が遅れてしまう場合がある。」と懸念を示している。こうした理由から多くの中小企業が生き残れずに消滅しているのを田島社長は見てきたのだ。
「目的のない業務は止めるか減らすしかありません。その分、スペシャリストが未熟な社員を支援するための時間をつくったほうが良いので会議全体を減らしました。私が内容別責任制を取り入れたのは、全社員が何らかの責任を受け持ち、スペシャリストを増やしたいという思いからです。指示命令ではなく自らの意思で動く〝技能人材〟の育成に重要なことは、社内で〝助け合い支え合うフォーメーション〟を実践することです。」と力を込める。
企業といえば、表に出づらいデリケートな話題のひとつに、〝公平で明確な評価基準〟が挙げられる。田島社長はこの点について、キッパリこういった。
「努力している社員や能力を高めている社員がバカを見ない会社にしなければなりません。技能の伝承も、品質の維持も、社員が育つからできることなのです。」
頑張っている社員が腐らないよう同社ではユニークな取り組みを実行している。社内の事務業務から現場までに至る全ての社員に、部署が違ってもお互いがお互いをサポートできるよう、責任、協力、支援の体制づくりを構築しているのだ。例えば、仲間である社員は業務協力責任者であり、その上司は業務支援責任者、組織を総括する責任者は、総合支援責任者、そして社長は最大支援責任者といった具合だ。ざっくりいうと、上司になればなるほど現場を〝支援〟しなければならない仕組みを構築している。
「ものづくりは人づくりといいますが、最低でも年3回、個人面談を実施しています。お互いの成長を認め合い、賞賛し合う関係を育んでいくことは、社員の成長と豊かさを実感できることでもあり、経営者としての最大の喜びでもあるのです。」(田島社長)