独立時計師 浅岡 肇氏に聞く ~碌々産業の「MEGA-SSS400」を新たに導入~

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 世界で29人しか存在しない独立時計師で構成された独立時計師アカデミーの会員でもある浅岡 肇氏(東京時計精密社長)。設計、加工、組み立てまでの全工程をほぼ1人で手がけ、希少性の高い時計の数々を生み出している。その作品の美しさに加え、精度の高さは世界中から高い評価を博しており、王族や世間に名を知られた時計コレクターが顧客として名を連ねている。
 
 浅岡氏は2019年、作業現場(アトリエ)を都内に増設し、ファナックの「ロボドリル」を導入、そして2021年8月、新たに碌々産業の超精密微細加工機「MEGA-SSS400」を設備した。世界中の時計ファンを魅了する浅岡氏に今回の設備導入に至った経緯などお話しを伺った。

補助金なしでも「碌々のマシンが買えるように頑張って稼ごう!」と決意

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MEGAは視認性も良い

 ―今回新しく碌々産業のMEGA-SSS400を導入されました。このマシンを選んだ理由を教えてください。
 浅岡
 高性能を出すための仕組みがきちんと構築されている点でしょうか。特に熱変位に対する対策がしっかりされている。加工精度の向上に熱変位問題は避けられません。M-Kitにより気になる温度がグラフで表示され、細かな挙動の見える化もしているので、現在マシンがどういう状態かが分かる点も良かった。
 ―浅岡さんはロボドリルも活用していますが、ロボドリルではご自身で温度計を付けモニターをしていました。
 浅岡
 ロボドリルはAIで時間と電流の量から変位量を予測し、変位量を制御で微調整をするという考え方であり、生産ラインに組み込まれていると有効です。例えば、ロボドリルはiPhoneの部品を作っていますが、この場合、大量生産で同じ部品を作り続けます。機械を起動し、どれくらいで何ミクロン動くか、というのは過去のデータから再現性もあるので条件を一度決めてしまえば、AIに従って効率良くものをつくることができます。

211122治具
微細加工機のための治具を製作

 ―少量品を加工する浅岡さんは、ロボドリルの場合、温度計をモニターしながら温度を下げない工夫をしていたのですね。
 浅岡
 ロボドリルはプログラムの組み方や部屋の温度調整などに神経を使いました。熱変位を避けるため一定温度を保ちながら運転するとなると、ロボドリルはマシンにつきっきりでいなければなりませんでしたが、ATCが速いなど、メリットも再確認しています。新しく導入した微細加工機のために治具を製作しましたが、荒加工・中仕上げはロボドリルで行いました。
 ―今回、新しく導入されたMEGAはいかがですか? 
 浅岡 MEGAは室温追従型温調システムが装備されていますから、室温を一定に保てば、熱変形の心配は不要なものになりました。また、工具の測定もレーザー測定器で精密に計測できるので非常に便利です。ロボドリルの30番主軸に比べると、きゃしゃな印象ですが、碌々産業のマシンは微細加工機に徹している分、高速回転も安定しています。MEGA用に大きな治具が必要で、当初は外注の予定でしたが、結局、ロボドリルで95%削ったあと、MEGA上でセルフカットにて仕上げました。このように、大きなものを削る場合には、ロボドリルで粗どりし、仕上げをMEGAでというように組み合わせると、加工のテリトリーが非常に広がります。

211122天井からマシン
開いた天井からマシンがやってきた

 ―外注も活用されているのですね。
 浅岡
 加工の核心を突くようなところ、つまり外注に出してもできないところは、自分のところで加工します。誰にでもできる加工は、特に自分のところで加工をする必要もないので外注にお願いしています。
 ―ここ数年で思い切った設備投資をされたと思います。
 浅岡
 もう何年も前になりますが、以前に補助金を申請したこともあったのですが、その当時、なかなか補助金が下りませんでした。おそらく高級時計作りに、〝もの補助〟的には共感が得られにくかったのかもしれません。補助金は却下されましたが、このとき感じたことがあります。僕のようにブランドで勝負しているところは、補助金のお世話になった、としたら、そんなにカッコイイことじゃないな、と(笑)このときに、補助金なしでも「碌々のマシンが買えるように頑張って稼ごう!」と思ったわけです。そのお陰で今、稼いだお金で欲しかったマシンを迎えることができました。

 

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