独立時計師 浅岡 肇氏に聞く ~碌々産業の「MEGA-SSS400」を新たに導入~
2021年11月21日
機械式腕時計の入門編として人気のクロノトウキョウ
―浅岡さんがデザイン・設計したクロノトウキョウシリーズは平均価格も20~30万円と機械式腕時計の入門編としても人気が高く、リリースと同時に売り切れてしまうほどです。国内・海外の比率などはいかがでしょうか。
浅岡 90%以上が輸出です。以前は国内向けと海外向けでデザインを変えていましたが、現在は事実上輸出のみとなっており、デザインも一本化されました。
―ほとんど輸出が占めているとは驚きました。海外へのPRはどうされていますか。
浅岡 時計は嗜好品です。共感されないと購入してもらえません。そこで共感していただく手法のひとつとしてSNSを活用し、ものづくりの真摯な現場を見せ、時計愛好家としての視線で保有しているお気に入りの時計のことなどを書き込んでいます。自分の時計しかアップしないようなことはしません(笑)SNSは時計愛好家同士が集まるコミュニティもたくさんあるのですが、マニアが集まっているところに時計の作家が自分の時計のみをアップし、ビジネスを持ち込むのはセンスがない行為だと思います(笑)
―クロノトウキョウの新作は考えていますか。
浅岡 来春に向けて新モデルを2つ企画しています。
―時計業界でどんな存在を目指していますか。
浅岡 日本は技術に立脚したものづくりをして、それを健全な価格で売るのが得意だったのですが、一方で、ラグジュアリーブランドのような高価な嗜好品は不得意としているように思います。時計は200~300万円の価格帯じゃなければ高級品というカテゴリーには入らない。200~300万円も出せば立派な車が買えます。車と手首に乗る時計の価格が同じでも、売れるのです。価値あるブランドにはそれだけの理由があります。