イワタツール 岩田社長に聞く 徹底的に工具を使いこなすユーザーのために

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 イワタツール(社長=岩田昌尚氏)は、1928年、岩田社長の祖父である名古屋市熱田区金山の地に岩田千代吉氏により創業された。この年すでにセンタードリルを国産化し、製造と販売を開始している老舗の工具メーカーだ。

 切削工具は種類も豊富で多岐にわたる製品だが、同社は近年、〝単機能工具〟に注力している。単機能工具とは、ある分野に特化した性能を持つ工具のことで、同社では特定分野に特化した工具で〝極限加工〟へのノウハウをユーザーに提供している。また、最近ではSNSや動画配信などにも力を入れ、拡販に努めている。

メカトロテックジャパンで注目された『ヘリカルエンドミル』

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性能や用途に特化した工具開発に注力

 ―お客様の要望も多岐にわたる中で、単機能工具の開発に注力されています。
 岩田 市場には汎用性のある切削工具が豊富にあります。しかしお客様が本気で工具を使いこなすとなると、加工スピードなのか、バリがでないものなのか、長寿命なのか、切削工具に求めるニーズにある程度、絞り込みが必要になると考えています。弊社は最近、単機能という言葉を使用していますが、性能や用途に特化した工具の開発に注力しています。
 ―機能を絞ったほうが良い理由は。
 岩田
 最近の工具は複合機能が多くなりました。エンドミルでも溝も掘れるし面も削れますが、本気で極限の加工をしようと思ったら、工具機能のどれかに絞った方がいい。実際に量産している加工現場や、ものすごい極限の加工を行っている現場では、〝そのためだけの工具〟を求めているのです。なぜなら、徹底的な性能を切削工具に出して欲しいからなのです。
 ―確かに備えられた機能の全てを必要としない場合もありそうです。
 岩田
 例えば、家庭で料理を作るのであれば包丁は2本ほどあれば十分、果物も野菜も肉も魚も切ることができます。ところが本格的に料理をする料理人は10種類ほど包丁を持ってそれぞれに使い分けます。何にでも使えるものではなく、用途別に使えるそれぞれに特化した10種類の包丁を求めるでしょう。切削工具も同じことだと考えています。

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メカトロテックジャパンで初公開したヘリカルエンドミル

 ―なるほど! ところで、本年10月に名古屋で開催された「メカトロテックジャパン」で初公開の穴あけに特化した『ヘリカルエンドミル』を出展しました。1本の太さで複数の径の穴をあけられるうえに、従来の3~7倍の加工スピードを可能にしたというから大注目でした。
 岩田
 1本の工具で様々な径に対応できる点に注目して欲しいのですが、その一方で、おそらく皆様は、ドリルのほうがスピードは速いと思ってらっしゃる(笑)
 ―わたしもそう思っていました(笑)加工スピードが速いというので驚いています。
 岩田
 ある条件下なら、ドリルよりもヘリカルエンドミルを活用したほうが速く加工ができます。パワーのあるマシンで鉄の塊のような材料に穴をあけるのならば、ドリルでドーンと穴をあけたほうが適していますが、薄板をドリルで突いたらフニャっとなってしまいます。お客様が保有している機械はそれぞれですし、パワーの少ない機械で穴あけをするとなると、径が大きくなればその分、スピードを落とさなければなりません。今回、初出展したヘリカルエンドミルは、切削抵抗が非常に低いのでササッとスピーディに穴をあけることができます。また、薄板物の加工では被加工物を変形させずに加工することが可能です。さらに、ドリルだと切りくずが繋がって巻き付く問題が発生しますが、この心配も無用で、素早く美しい穴加工が実現できます。

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