第56回(令和3年度)機械振興賞受賞者を決定 機械振興協会
機械振興協会(会長=釡 和明氏)がこのほど、令和3年度の機械振興賞の受賞者を決定した。今年度は23件(大企業14件/中小企業5件/小規模事業者4件)の応募の中から、経済産業大臣賞1件、中小企業庁長官賞1件、機械振興協会会長賞6件、審査委員長特別賞1件、奨励賞1件、を表彰する。なお、中小企業基盤整備機構理事長賞は該当がなかった。
機械振興賞の表彰対象は、独創性、革新性及び経済性に優れた機械工業技術に係る研究開発及びその成果の実用化により新製品の製造、製品の品質・性能の改善又は生産の合理化に顕著な業績をあげたと認められる企業等及び研究開発担当者と中小企業の事業を支援してきた支援期間の担当者。
機械振興賞は、従来の機械振興協会賞(昭和41年度創設)と中堅・中小企業機械開発賞(昭和45年度創設)を統合し、平成15年度に発足した新機械振興賞を改名したもので、開催回数は機械振興協会賞(第1回~第37回)と新機械振興賞(第1回~15回)の回数を引き継いだ1昨年度から3年度目になった。
第56回機械振興賞は、機械振興賞審査委員会(委員長 中島 尚正 東京大学名誉教授)において厳正な審査の上、決定した。
令和3年度 第56回機械振興賞受賞者
■経済産業大臣賞
「3D歯車創成加工技術と高精度スカイビング加工機の開発」
(株)ジェイテクト 推薦団体名:日本工作機械工業会
【選定理由】
地球温暖化防止のため、自動車はエンジン車から、モーター車への転換が求められている。モーターは非常に騒音が小さく、効率を高めるために3 万回転/分以上という高速回転が求められることから、動力を伝える歯車にはなお一層の騒音対策が求められる。さらに、バッテリーの設置スペースを確保するため、歯車系のコンパクト化も重要になっている。本業績では、歯車を高密度に実装する段付き歯車の加工に適したスカイビング加工機で、同社の機械制御技術および加工シミュレーション技術、工具加工技術を駆使して、コンパクトで騒音の少ない歯車を精度良く加工できる3 次元創成歯車加工技術を、世界で初めて実用化し、今後のEV 生産に大いに貢献することが期待できる点を高く評価した。
■中小企業庁長官賞
「ホースの制約がない高粘度液移送システムの開発」
兵神装備(株)
【選定理由】
自動車用鋼板の接着には、高粘度接着剤が使用され、接着剤を送り出すポンプからロボット先端まで、粘度調整のためのヒーター付高圧ホースが用いられる。このホースは硬く取り回しが悪いため、狭い場所での接着作業や、シミュレーションによるロボットの事前プログラミングを難しくしていた。本業績では、高圧ホースを排除するために接着剤供給路を切り離し可能とし、インターバル間にロボット側のタンクに溜めておく方式を採用した。しかし、着脱時に接着剤に空気が混入したり、接着剤に含まれるガラスビーズが接続具を傷つけたりするなどの問題が発生した。これを、圧力調整機構を設けたり、接続具のクリアランスを調整したりするなど数多くの改良を行って実用化した点を高く評価した。