第56回(令和3年度)機械振興賞受賞者を決定 機械振興協会
2022年01月17日
■審査委員長特別賞
「振動可視化レーダの開発」
アルウェットテクノロジー(株)
【選定理由】
国内インフラの老朽化が問題となっているが、橋梁やダムなどの巨大インフラの老朽化を効率良く測定する方法がなく、人手による危険な高所作業に頼ることが多かった。本業績では、マイクロ波の送受信アンテナを機械的に動かす代わりに、デジタルビームフォーミング技術を用いて走査することで、100m 以上離れたところにある構造物の500Hz 以下の振動を、20μmの精度で二次元画像化することを可能にした。可動部分が無いため持ち運び可能なコンパクトな筐体に納めており、回路設計や基板設計なども自社で行うなどの高い技術力も評価した。
■「奨励賞」
「重力を利用した水中酸素溶解技術と装置の開発」
安原環境テクノロジー(株) 推薦:やまぐち産業振興財団
【選定理由】
食品工場等の下水処理には、ばっ気方式が用いられ、大量の空気を水中に送り込んで、水中の微生物に酸素を供給している。しかし、この大量の空気が、下水を水底からかき回し、微生物の住みやすい環境である集合体(微生物叢)まで破壊してしまっていた。本業績では、下水を滝のように水面に落としたり、小さな穴の開いたパイプに発生する負圧を利用したりして、自然に空気が水中に溶け込む方式を採用している。これにより、微生物叢の破壊を防ぎ、下水処理槽の浄化性能を向上させている。また、下水処理にかかる消費電力も大幅に少なくでき、構造が簡単なためにメンテナンスもし易く、長寿命な点も評価した。