牧野フライス精機 清水社長に聞く 「継続して存続することが発展の鍵」
ダントツの生産能力を誇る美しい工場内
2020年に経済産業省認定の新グローバルニッチトップ企業100選に選定された牧野フライス精機。2019年の取材時に清水社長は「社員が誇りを持てる職場環境づくりを目指したい」と話していたことを思い出した。工場内は清潔で美しい。「優れた製品は良い職場環境から生まれる」という清水社長の信条が伝わる。
工場1階は機械の組み立てが重量に関係なくできるようになっている。天井が高く、MAXで30台の機械が設置可能だ。どの場所でも最重量級の工具研削盤をクレーンで吊るし、移動ができるようになっている。モノの整流化も実現しており、スピーディに組み立てが実現するという、徹底した生産能力の向上に向けた取り組みを構築している。
近年の製造現場は高度化しているが、同社では精度の高い温度管理ときめ細やかな品質管理も徹底しており、トラックの搬入の際でも〝ビッグドア〟の採用で、一気に外気が入ってこない仕組みがあった。
少し歩いて行くと、出荷台数は1000台を超えるロングセラーマシン「CNJ2」があった。再研削マシンとしても非常に使い勝手が良く、市場から根強い支持を博しているものだ。
さらに進むと、同社が販売するツールプリセッタを見つけた。砥石の測定データをインポートできるもので、簡単かつ正確な砥石の測定が可能になるとして、現在納入実績を上げているという。
同社では、機械の生産のみならず、テスト加工や加工ノウハウの蓄積も実施しているが、おびただしい数のテスト加工をされた丸材があった。「大小様々な大きさのものでたくさんテスト加工をして合致した加工条件をみつける」と清水社長。
ところで、円筒型というのは、加工の際にしっかりと固定するのが難しいものだが、同社では、固定するための〝V字ブロック〟を独自開発している。よく見るとチップ交換型になっているではないか!
これほど多くのテスト加工を実施していれば、面が当たる部位は擦れてしまう。そうなるとガタがきてV字ブロックごと交換しなければならない。そこで「勿体ない」と感じた同社は、当たる面だけをチップ交換式にしたというわけだ。最近、特許を取得したという。目立つ技術ではないが、〝こんなのがあったらいいな〟という発想のもと、この世にないものは自分たちでつくってしまう同社の開発魂を知った。
蓄積された技術力は小さな開発の積み重ね―――。牧野フライス精機の使い易くて高能率・高精度のマシンづくりは日々進化している。