三井精機工業 工場見学会をレポート! ~加藤社長に意気込みを聞く~
自動化に対する三井の本気
工場内に入ると、まず、微細加工に貢献するため開発されたプレシジョンセンタ『PJ303X』を拝見。
「狙いの業界はレンズ金型加工を含めた微細金型、医療機器などです。三井精機はボールねじ駆動の機械が多いのですが、『PJ303X』は微細加工に特化するためリニア駆動です。このメリットは細かくて素早い運動には精度が出るところ。主軸回転数も50,000回転まで準備し、小径工具でも対応できます。」と自信を見せる。
この『PJ303X』の加工サンプルが緻密な仕事っぷりを誇示するかのように展示されてあった。マイクロニードルの細かさや、球面加工のピカピカさに驚く筆者。「一番良いところだと3nmまで出せたことが自慢です!」とのことで、『PJ303X』の秘められた能力を見せつけられ、うっとり。
ジグ研削盤『J350G』が展示されていた。このマシンは加工の自動化を目的につくられたものである。研削盤の難しいところは、穴加工の場合、徐々に穴の径を広げていっても思ったような精度が一発で狙えないこと。
この自動化の難しさを「通常の加工だと下加工した穴に砥石で削り、作業者が途中で機械を止めて穴を測定します。あとどのくらい追い込んでいったら良いかを判断してさらに加工し、また機械を止めて測って・・・となると果たして自動化の恩恵を受けられているのか分かりません。この『J350G』は、こうした煩わしさがなく、削った穴を測定し、〝自動で追い込み〟を判断してくれます。自動計測は今までもありましたが、研削の難しいところは、例えば100分の1ミリ切り込んで、と指令を入れても、機械では動いても砥石の先端ではなかなかそこまで切り込ますことが難しいのです。切り込まない、あるいは切り込みすぎてしまうのです。」と、研削盤の難しさを説明してくれた。
自動化が進んでいくとはいえ、研削盤加工にはアナログ現象が起こることを想定しなければならず、このため自動化技術は難しいのである。
「ジグ研は1ミクロン、2ミクロンの世界なので、安定的に精度を出すのが難しいんです。このマシンに付いているプローブはマシニングセンタに付いているものではなく、測定器に使用されているプローブを付けています。プローブの精度も機械本体の精度も良くないと自動化の恩恵は受けられないのです。」とのこと。X,Y軸摺動面はきさげ仕上げを施された面上に精密ニードルローラーを入れ、高い真直度を実現、徹底したマシンの作り込みに加え、プローブは測定器に使用されているものを付けているとは、なかなかラグジュアリーなマシンである。
前に進んでいくと、カタログ商品(ツールプリセッタ・測定器)の開発設計・製造などを行っているサンテックが出展していた。今回は主にボールねじ関係、内径・外径の測定器のほか、自動化ニーズを受け開発したという〝焼きばめツール自動交換装置〟が展示してある。
「省力製品などお客様のニーズに合わせて作ります!」と、力強さを見せてくれた。