ゼロから1を生み出す! これがオーエスジーのNEO(ネオ)新城工場だ!
オーエスジー(社長=大沢伸朗氏)が2020年に国内主要工場のひとつである新城工場を「NEO新城工場」としてリニューアルし、建物だけでなく、設備のレイアウトや従業員の働き方を含め、業務の進め方なども一新した。ここでつくられる超硬ドリル、超硬タップ、ハイスエドリル、ハイスエンドミルの生産能力は、月産70万本、生産品種は毎月平均6,000種、8,000ロット。デジタル技術を駆使してモンスター級の超多品種少量生産を実現している。
去る4月22日、コロナ禍で延期になっていた報道陣向けの工場見学会が開催された。生まれ変わったNEO新城工場を取材した。
地球を吊る ~最強の国際競争力を目指して~
工場見学に先立ち、石川則男会長はあいさつの中で、「私が入社したのは1978年。この時代はハイスエンドミルが絶好調の時代であり、生産することで大きな利益を得ることができ、世界展開への足がかりとなった。しかし成功体験が強すぎると変化を阻害する要因にもなる。生産方法やエンドミルの製造技術などはその後、技術の発展には必ずしもプラスにならない時代が続いた」と振り返った。「この危機感から、2015年、創立80周年を前に、生産・販売体制を強固にするため、『Beyond80(ビヨンド)80』プロジェクトを立ち上げた」と話した。
同プロジェクトは、時代に合致したものづくりを実現するため、デジタル化、生産方式、生産管理を刷新するのが狙い。オーエスジー流のIoTを構築するため、『OSG4.0』の名称でデジタル化を進め、ものづくりの実践工場として2020年5月にNEO新城工場が完成し、現在に至っている。
新城工場は様々な時代の変遷を乗り越えてきた思い入れの深い工場でもあることから、ふさわしいシンボルを製作するにあたり、彫刻家の三澤憲司氏に依頼をした。テーマは『地球を吊る』。「大地よりマグマを割って地球から伸びた鎖は地球を吊っているかのように見え、宇宙に向けて発展する企業理念を表したものだ」という。
石川会長は「新しいオーエスジーのものづくりをさらに発展していきたい」と締めくくった。
新中期経営計画「Beyond the Limit」
大沢社長から新中期経営計画「Beyond the Limit」の説明があった。「Beyond the Limit」に込められた意味は、①限界を超える、②限界を設けない、③自らの殻を破る、④今までの常識に捕らわれない――としている。同社の企業理念である〝地球会社〟のもと、「持続的な企業価値を向上に向けてESG経営を推進する」と意欲を見せた。中期経営計画は〝世界のものづくり産業に貢献するエッセンシャル・プレイヤーへ変身することを狙いとし、微細精密加工向け、エネルギー産業向けの売上を拡大し、デジタルを駆使した営業および生産体制の確立に加え、グローバル展開(最適地生産)を実現していく旨を説明した。
大沢社長は、「EV化が進むことで自動車産業は今後、小型部品等に対しての精密加工が求められ市場が拡大していくと捉えている。そこにオーエスジーの総合力を存分に投入していく。また、中国を中心としたアジアでは微細精密加工の集約が今後さらに進むと見込んでおり、NEO新城工場はこの微細精密の加工領域に対して鍵を握る生産拠点になると考えている」と意気込みを示した。