「全従業員を幸せに」 日新ダイヤモンド 神谷社長に聞く

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 2006年にオーエスジーグループの傘下となった日新ダイヤモンド(社長=神谷伸顕氏、本社:滋賀県高島市今津町)は、1968年創業の単結晶ダイヤモンド切削/耐摩耗工具、PCD/CBN焼結体切削工具・耐摩耗工具の製造および販売会社である。神谷社長は傘下となってから3代目だが、売上は2006年から2倍の伸びを示し、2022年は過去最高で推移している。その鍵を握るのは同社の最新システムにあった。

 昨年開催されたメカトロテックジャパンでは『単結晶ダイヤインサート』を披露して大きな注目を浴びた。最近では新たなキャラクター『ダイヤン』の登場で、SNSでも人気を集めている。神谷社長にお話しを伺うとともに、同社のスローガンでもある〝魅せる工場〟を取材した。

徹底したデジタル化で社内コミュニケーションの向上

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パートを含む全従業員のIT化を推進

 ―神谷社長は長い間、海外畑を歩まれました。日新ダイヤモンドでは4社目の社長業ですが、日本に帰ってきて感じたことは?
 神谷
 海外と比べて日本の人間関係はデリケートなのでその分、難しさを感じていますが、企業は人なりで、人材こそが最大の財産であることを改めて痛感しています。そのため、「全従業員を幸せにすること」を自分自身の目標にしています。
 ―神谷社長が社長に就任されてから3年目になりますが、貴社はオーエスジーグループの中でも著しい伸びをみせています。また、従業員全員のIT化とペーパーレス化を実行しています。
 神谷
 IT化、ペーパーレス化に加えて社内コミュニケーションの向上に注力しました。事務所と現場、現場内でも他工程への連絡不備などコミュニケーションが不足すると生産性が低下します。そこで、様々なものをデジタル化し、それを現場で従業員の皆さんが見られるようにして情報の共有化を図りました。パートを含め全従業員にPCを配り、生産性、生産管理、原価、他情報なども共有しています。12月からは図面や製造命令書もペーパーレスにします。
 ―パートを含む全社員にPCを渡すメリットを教えてください。
 神谷
 Teams、SharePointなどを活用するため、マイクロソフトのアカウントを全員に渡すことにより私を含め、全従業員はチャットができるようになります。住所変更や有休届けなどもペーパーレスが実現しました。ボードに貼り付けるような掲示板は廃止をし、ポータルサイトをつくりました。全従業員がポータルサイトから帳票類を出したり、掲示板を見たり、会社の状況、売上や受注、利益情報も全社員と共有しています。データの可視化により、毎日の受注状況や、営業担当者がどれだけ業績を伸ばしているのか、どういった製品を受注しているのかなどが見えるようにしています。PCも現場の環境を考慮し、防塵・防滴性能が備わっている機種を選定しました。
 ―非常に徹底していて驚きました。
 神谷
 データの保管もできるので、数年前の見積もりを瞬時に出して、Teamsを活用し、全社員で共有したうえで、お客様に提出していくといった流れも、全てデータで行っています。

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徹底したペーパーレスを実行

 ―全社員とおっしゃいましたがPCスキルは個人差があると思います。それはどのようにして解決をしましたか。
 神谷
 ITスキルは個人差が大きくあります。ITに疎い従業員のスキルを底上げするために教育をする場を設け、週1回程度の勉強会を行いました。また、各自のPCは自宅に持ち帰って遊びに使っても良いとしました。PCを使いこなせない従業員でも、Web会議システムやメールソフトなどを使いこなせるようにするのが目的です。

 ―ペーパーレスの実行で経済効果も高まります。
 神谷
 現場に回す印刷物だけでも月8,000枚を軽く超えてしまいます。タブレットで観覧・編集ができるようになれば最小限の印刷枚数で済ますことができ、試算すると効果金額は年に58万円ほど。完全ペーパーレスが実現できればさらなる効果が見込めるでしょう。
 ―企業の利益を全社員が見えるというところに貴社の風通しの良さを感じます。IT化によって見えないところ、例えば潜在的な社員のポテンシャルを向上させることも期待できます。
 神谷
 IT化によって見えないところにも気を遣うことができるのです。もちろん情報管理やセキュリティーを徹底しているので心配はありません。デジタルツールは社員同士がよりコミュニケーションを深めるためのツールでもあるのです。

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