「全従業員を幸せに」 日新ダイヤモンド 神谷社長に聞く
これが魅せる工場だ!
日新ダイヤモンドは本社工場のほか、車で5分以内に位置する第二工場(あいば工場)がある。この2拠点で製造と販売を手がけている。今回取材をしたのは本社工場だ。
同社のメインターゲットは自動車関連、半導体関連など。注目すべきは、製品カタログのようなものを製作してはいないことだ。これについて、同社営業部の清水さんは、「基本的にはお客様のお困り事やニーズなどを細かくヒヤリングをして工具をつくっていきますので、提案型営業が基本となります」と話す。
工場内には談笑ができるカフェスペースが設けられている。その向こう側にガラス張りになっている恒温室があり、DMG森精機2台とロロマティック1台のレーザー加工機並んでいた。よくみると床面には四角く掘られている。DMG森精機の3台目を11月に導入するための準備とのこと。ダイヤの表面を彫り込んでいくような3D形状のブレーカー工具をつくるための設備だ。
「設備の秘密をオープンにして良いのですか?」と神谷社長に尋ねたところ、「工具のつくり方は緻密で工具メーカーならではのノウハウを駆使してプログラムをつくっています。設備は見せても大丈夫ですが、プログラムは絶対に社外に出ないようにしています。」と返答があった。
「単結晶のダイヤモンド工具は鏡面加工の性能と、超硬工具と比較しても長寿命ですが、切りくずが被削材に傷をつけてしまう事が多々あります。 ブレーカー(切りくず分断)を作れば良いのですが、通常では単結晶にブレーカーの加工は大変困難であり、また再研磨が出来ないなどの課題があります。現在、われわれの蓄積してきた技術を単結晶のブレーカーにつぎ込んでいます。」(神谷社長)
工場内はフリーアドレスの形をとり、従業員は固定のデスクを持たず、好きな場所で仕事をするというスタイル。自然をイメージしたインテリアは工場というより、お洒落なカフェテリアのようだ。
ダイヤモンド工具の製造過程では、熟練の従業員が多く働いていた。特に目を惹いたのは、単結晶ダイヤモンドは結晶方位があるため、熟練作業者がイヤホンで研削音を聞きながら研磨をしていたことだ。このような製造工程は大手切削工具メーカーではなかなか社内に取り込むことが難しい。現在、レーザー加工機4台(11月に増設)でダイヤモンドを切り出し、真空ロウ接機で合金に接合、最期に仕上げ研磨を職人が行っており、その精度は数ミクロン単位! まさにジャパンメイドなのだ。
他にも、SNSで人気急上昇中のキャラクター「ダイヤン」が、この夏、LINEスタンプになって新登場した。可愛いダイヤングッズの数々にも目が離せない。
最先端技術を用いながら製品開発に注力し、デジタルツールを駆使してコミュニケーションを大切にしている日新ダイヤモンドは、大手企業に出来ないことを実現している。