ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の重要パーツ〝主鏡〟を加工したのは三井精機工業の横型マシニングセンタだった!
ベリリウム製主鏡の加工結果はこれだ!
8台の『HS6A』(現HU100)の加工精度はどの機械も高精度だった!
8台の『HS6A』(現HU100)8台による大型テストピース加工の結果は以下の通り。
●穴ピッチの誤差は±5μm以内、φ100ボスの平面度は5μm以内。
●7カ所ボーリングは穴ごとにATCを行い加工。
●マシン8台間の相互誤差はほとんどなし。
「当初、主鏡の加工はすべて完了するまで3年を予定していましたが、『HS6A』(HU100)の能率が想定していたよりも高く、2年で全ての加工を完了しました。」と下村氏。これだけでも驚きだが、加工品質についても、期待以上の結果となった。
「鏡の平面度は5μm以内の要求に対し、最大で4μm。穴ピッチ精度、直角度の最大誤差も5μm以内を実現しました。この精度は機械1台のみの誤差ではなく、8台の機械全てにおいて最大誤差です。」(下村氏)
これが主鏡の高精度加工を行ったHS6A(HU100)の主なスペックだ!
大型のベリリウム製主鏡の高精度加工を行うための特別仕様の『HS6A』は―――。
(1) 各軸のストロークを延長した。
(2) テーブルサイズを拡大した(標準1000□→1250□)
(3) ベリリウムの切りくずに対応するためのクーラント処理装置
(4) センタースルークーラント
(5) 高精度仕様
主な仕様
太陽の光が地球に届くまでの時間は8分19秒。つまり私たちが見ている太陽は8分19秒前の姿なのだ。これからも分かるとおり、私たちが見ている夜空の星は地球との距離が遠いほど光が届くのに時間がかかる。JWSTが捉えた遙か彼方の宇宙の姿は全て過去のものなのだ。革新的な技術により、過去を鮮明に観測できるJWSTのテクノロジーに驚くばかりである。
最期に下村氏は、「宇宙は約138年前にビックバンから始まったとされています。最初の星が誕生したのがそれから約3億年後でJWSTはここを観測することを目指しています。銀河の形成過程や星の誕生、はたまた地球外生命体の存在の有無など、未知なる宇宙の壮大な謎を解き明かすJWSTはタイムマシンのようなものなのかもしれません。2004年に三井精機が蒔いた種が18年後の2022年、やっと花開くことができました。この大プロジェクトに弊社がかかわれたことをとても誇りに思っています。」と笑顔をみせた。