「第57回機械振興賞」経済産業大臣賞にマツダ、マツダE&T
奨励賞
「塗装ブース用高性能ドライフィルターの開発」
●ダイハツ工業、推薦:日本自動車工業会
自動車塗装は改良された静電塗装を用いることで塗着ロスを大幅に削減したが、最終的には空気中に浮遊する塗料紛をフィルターで捕集する必要がある。塗料の捕集には使い捨て可能な段ボールフィルターがコストや環境負荷の面で適しているが、捕集効率や交換周期に問題があった。本業績では、使用する塗料ごとに実験を繰り返し、フィルターを構成するパーツをモジュール化して、使用する塗料の性質に合わせて必要なモジュールを組み変えることで、安価で捕集効率が高く、長寿命を実現した点を評価した。
「プレス金型内雄ねじ転造一貫工法の開発」
●髙橋金属、推薦:アマダプレスシステム
ナックルリンクプレスを用いたトランスファー方式の冷間鍛造において、厚さ6mmのコイル板材から、潤滑皮膜の生成処理をすることなく、板材の切断から、雄ネジの転造を行う作業では、従来は雄ネジ転造はプレス機の外で行っていた。本業績では、プレス機内に雄ネジの転造装置を組み込み、プレスの1サイクル内という非常に短い時間(0.5~1秒)で、プレス機のプレス動作を用いて縦方向のネジ転造を行っている。また、ネジ部の表面粗さを1.6㎛以下とするなど、実用的なレベルでのプレス機内での一貫生産を実現した点を評価した。
「進化する高度運転支援システムの開発」
●トヨタ自動車、ウーブン・プラネット・ホールディングス、推薦:日本自動車工業会
AI技術の発達により自動車の自動運転が実用化の段階に近づいている。本業績では、走行難易度が高い首都高速環状線(C1)を走行できる能力を有するほか、ハンドルから手を離した状態での自動運転が可能であり、並走する他車が自車走行ラインに車線変更して来ても、一般的なレベルにおいては自動対応可能となっている。また、車線変更や追い越しについてはハンドルに手を添えた状態で対応するなど、安全性にも十分配慮した実装となっており、現在の自動運転の技術としては高いレベルにあることを評価した。
「省エネ機能を搭載した成型品取り出ロボット」
●ユーシン精機、推薦:日本ロボット工業会
プラスチックの射出成型において、ロボットが成型品を型から取り出す際に、工場エアを用いて取り出し用の吸着パッドで吸着している。しかし、確実な吸着を行うためには吸着パッドが成型品に接触する前からエアを使用する必要があり、エアを使用するタイミングが早すぎると工場エアを無駄に消費し、遅すぎると製品を取り損なって生産ライン全体を停止させる恐れがあった。本業績では、エア消費を抑制するために自動でタイミングを少しずつ遅らせて最適なタイミングで吸着を行うと共に、吸着が上手く行かなかった場合に、エアの圧力変動パターンなどから、その原因を提示できる点を評価した。
〈支援事業〉[中小企業基盤整備機構理事長賞]
「産学行政連携による共同研究開発の活動支援」
●科学技術交流財団
財団は、地元有力企業や大学が役員として携わるなど実業的な視点を備えた体制で、科学技術に関する県内の活動を支援している。また、シンクロトロン光研究施設など先進的な設備や研究テーマごとの個別の研究スペースが用意されるなど優れた支援環境を備えている。本業績では、これらの優れた支援体制に加え、研究テーマの事業化に必要な大学等のシーズ保有者や確立した技術を持つ企業を発掘・プロジェクトへの参加を促すなどして、87テーマのうち15テーマが実用化され、58テーマが技術を確立するなど優れた実績を数多く達成している点を評価した。