2022年12月分工作機械受注総額は1,405.4億円/2022年暦年工作機械受注実績まとまる日工会 

 

2022年(暦年)工作機械受注実績

〈受注額〉

■概要
 2022年の工作機械受注額は、2年連続の増加で、前年比+14.2%の1兆7,596億円となった。2021 年からの回復傾向が継続し、コロナ禍からのペントアップ需要や半導体関連需要、EV関連需要が多く発現した結果、4年ぶりに1兆7千億円を上回り、2018年(1兆8,158億円)に次ぐ過去2番目の受注額を記録した。このうち、NC工作機械は、1兆7,275 億円(同+14.0%)となった。受注額全体に占めるNC 工作機械の比率は98.2%(同△0.1pt)と、7年連続で98%を超えた。受注総額の内訳をみると、内需は6,032億円(同+18.2%)、外需は1兆1,564億円(同+12.1%)で、外需比率は同△1.2ptの65.7%となった。

■内需の動向
 2022年の内需は、2年連続で増加し、前年比+18.2%の6,032億円と4年ぶりの6千億円超えとなった。9月頃までは、人手不足の中での部品不足に伴う増産対応による自動化需要や半導体関連需要等を、補助金が後押しする形で堅調に推移し、3月には602億円を記録する等、500億円/月前後の水準が続いた。しかし、10月以降は、欧米での金利上昇とインフレによる先行き不安等から慎重姿勢が強まり、11月にJIMTOF が開催されたものの、力強さに欠ける展開となった。

 業種別にみると、全11 業種中9 業種で前年比増加となった。主要4 業種では半導体関連や部品不足に伴う増産対応などから、「一般機械(同+21.4%、2,435億円)」、「電気・精密(同+24.6%、865億円)」で前年比2割以上の増加と回復が続いた一方、EV化の流れ等を受けて設備投資が停滞した「自動車(同+17.0%、1,347億円)」、コロナ禍で航空産業が低迷した「航空機・造船・輸送用機械(同+17.7%、189億円)」などは2割に満たない伸び率となった。また、「電気機械(同+26.6%、570億円)」や「金属製品(同+25.6%、506億円)」、「その他需要部門(同+33.2%、141億円)」は、2000年以降の過去最高額を記録した。

■外需の動向
 2022年の外需は、2年連続で増加し、前年比+12.1%の1兆1,564億円と2年連続の1兆円超で初めて1兆1千億円を超え、過去最高額を更新した。年初から高水準が続き、年間を通して900億円を下回った月は2カ月(8月、11月)のみであった。前年に外需を支えた中国のテレワーク関連需要やEMSの大型受注はほぼ見られなかったものの、中国では半導体関連、EV関連、自動化投資が旺盛だったほか、欧州、北米でも半導体関連、自動化関連の投資が目立った。

 地域別にみると、アジアは2年連続で増加し、前年比+7.6%の5,567億円で、初めて5,500億円を超え、過去最高額を更新した。このうち、東アジアは同+4.7%(4,458億円)で、国・地域別にみると、韓国(同+0.7%、329億円)、台湾(同+3.5%、359億円)、中国(同+5.3%、3,770億円)が前年比増加を示し、台湾と中国は2年連続で過去最高額を記録した。その他アジアは2年連続で前年比増加し、同+21.2%の1,109億円と4年ぶりの1,000億円超えとなった。インド(同+6.4%、404億円)は、自動車関連を中心に堅調に推移したほか、域内の全ての国・地域で前年比増加を示し、マレーシア(同+42.1%、137億円)は過去最高額を更新した。

 欧州は、2月のロシアによるウクライナ侵略により、エネルギ問題などリスク要因が多く存在し、ロシア向けのキャンセルが多く発生した中でも、2年連続で前年比増加し、同+9.7%の2,311億円と、過去4番目の受注額となった。国別では、「ロシア・その他」を除く全ての国・地域で前年比増加し、イタリア(同+1.2%、422億円)は過去最高額を更新し、トルコ(+5.4%、164億円)、スイス(+46.8%、116億円)は、統計区分開始(2015年)以来の最高額を更新した。その他、ドイツ(同+17.6%、532億円)、フランス(同+22.2%、248億円)、EU「その他」(同+2.8%、374億円)、イギリス(同+22.3%、234億円)なども、それぞれ2年連続で前年比増加し、2018年の好況期に迫る受注額となった。

 北米は、同+22.0%の3,445億円と2年連続の増加で、4年ぶりに3,000億円を超え、過去最高額を更新した。アメリカ(同+23.6%、3,119億円)は、自動車で日本と同様、やや回復が遅れているものの、ジョブショップ関連、インフラ、医療、半導体、建設機械、農業機械など幅広い業種で自動化などを背景に旺盛な需要が発現し、初めて3,000億円を超え、過去最高額を更新した。また、カナダ(同+10.1%、172億円)も初の170億円超で過去最高額を更新した一方、メキシコ(同+5.4%、153億円)は、EV化の流れの中で大型の自動車関連投資が見られず、4年連続の200億円割れとなった。

 各地域別の受注シェアは、アジアが48.1%(同△2.1pt)、欧州が20.0%(同△0.4pt)、北米が29.8%(同+2.4pt)となった。主要3極全てで前年比増加しているが、北米の伸びが大きかったことが分かる。国別シェアでは、1位が中国で32.6%(同△2.1pt、前年1位)、2位がアメリカの27.0%(同+2.5pt、前年2位)、3位はドイツで4.6%(同+0.2pt、前年3位)、4位がイタリアで3.6%(同△0.4pt、前年4位)、5位がインドで3.5%(同△0.2pt、前年5位)、6位が台湾で3.1%(同△0.3pt、前年6位)、7位が韓国で2.8%(同▲0.4pt、前年7位)と上位に変動は見られなかった。

■機種別の動向
 受注額を機種別(含むNC機)でみると、全11機種中9機種で前年比増加となった。主な機種別の受注額は、旋盤計が前年比+14.1%の5,817億円で、2年連続で増加し、4年ぶりの5,500億円超えとなった。旋盤の「うち横形(同+13.5%、5,505億円)」、「うち立て・倒立形(同+23.9%、312億円)」とも二桁の増加を示した。一方、旋盤計における「うち複合加工機(同+5.2%、2,203億円)」は旋盤計よりも伸びが弱く、旋盤計に占める複合加工機の割合も37.9%と前年から3.2pt低下し、2年ぶりに4割を下回った。

 マシニングセンタは、同+10.8%の7,256億円と、4年ぶりに7千億円を上回った。「うち立て形(同+7.3%、4,046億円)」、「うち横形(同+13.0%、2,599億円)」、「うちその他(同+28.6%、611億円)」と全ての区分で増加したが、EMS 特需の剥落等により、「うち立て形」の伸び率が最も小さかった。また、マシニングセンタ計における「うち5 軸以上」は同+22.9%(1,610 億円)で、4年ぶりに1,500億円を超え、マシニングセンタ計の増加幅より高い伸びを示した。その結果マシニングセンタに占める“うち5 軸”の割合は22.2%(同+2.2Pt)と3年ぶりに上昇し、5年連続で20%を超えた。その他の機種では、ボール盤(同▲0.5%、2億円)、専用機(同▲14.0%、178億円)の2機種のみ前年比減少となった。

〈販売額〉

 販売額は前年比+22.2%の1兆5,684億円で、2年連続で増加した。部品不足等による納期長期化が前年から懸念されていたものの、3年ぶりに1兆5千億円を超え、過去2番目の高水準となった。ただ、受注を上回る金額ではなく、受注残高は拡大した。うちNC機は、同+22.4%の1兆5,447億円となった。

 機種別(含むNC機)にみると、全11機種全てで前年比増加となった。主な機種別販売額は、旋盤計が同+24.3%の5,304億円、マシニングセンタ計が同+20.2%の6,690億円、研削盤計が同+17.9%の907億円、レーザ加工機などの「その他」計が同+28.9%の1,371 億円となった。

〈受注残高〉

 2022 年末の受注残高は、前年比+27.9%の8,968億円で、2年連続で増加し、4年ぶりに8千億円を超え、過去最高額を記録した。部品不足等により生産が抑制され、長納期化する中で顧客の先行発注なども加わり、2022年10月には9,201億円まで受注残高が膨らんだ。当該年末の受注残高を直近3カ月(22年10~12月期)の販売平均で除した「受注残持ち月数」は6.5カ月で前年末から0.3カ月上昇した。また、NC工作機械の受注残高は同+27.6%の8,696億円となった。

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