工作機械の「精度」「信頼性」「高効率」を実現するブルーム-ノボテスト 山田社長に聞く
考え方も違うそれぞれの国
―日本は自動化、IT化が遅れていると言われていますが、この件についていかがお考えですか。
山田 これはリーマンショック前のことですが、中国内で金型工場をいくつか運営していた香港系の企業がありました。日本製の機械を活用しているのですが、その方が「ドイツへ金型工場の視察へ行く。金型工場を見学して自動化をどうやって実行しているのか見に行きたい。」というので、「なぜ、日本ではなくヨーロッパまで行くのですか?」と理由を尋ねると、「日本は自動化が遅れているので見学をしてもしょうがない。」とキッパリ言い切ったのです。
―うわ~キツイですね。
山田 これが15~16年前の話です。その頃からすでに海外では自動化への取り組みを促進していたのです。
―日本は他国に比べ革新的な技術があっても一気に変わると不安になるというか、保守的な面が強いようにも感じます。
山田 シンガポールの方が、「東南アジアにおいて製造業の日系企業が進出し、存在価値を示しているけれど、日本人のやり方は、一歩ずつ前進するやり方で、東南アジアの人にはウケる。一方、ヨーロッパ系のメーカーは、上から目線でこうあるべきだ、と強く当たるので、現地の人たちがついていけなくて、何を言ってるか分からないからうまくいかない。」とおっしゃっていました。この話を聞いたとき、確かにそういう違いがあるかもしれないと感じました。
―タイはいかがですか?
山田 タイは日本の自動車関係会社が多く進出しています。そこで画期的な新技術を取り入れた製品を売ろうとしても「無理です!」と拒まれることが多い。この理由は、日本の成功体験があるので、それを変えるのは現地の責任者でも難しいことにあるようです。「日本で使っていないのなら採用できません。日本に聞いて日本で検証されてOKだったら受け入れます。」というのが日系の主流派の考えだと聞いたことがありました。ところが、このコロナ禍で、常識が変わりました。省人化や自動化、そして省エネ化、カーボンニュートラルにDX、GXなど、世界の製造業におけるトレンドが一気に変わりました。これはわれわれにとって追い風になるきっかけになると考えています。
―経済成長が著しいインドについても要注目ですが、本年1月19日からバンガロールで「IMTEX」が開催されました。感想をお聞かせください。
山田 インドのIMTEXも大変盛況でした。インド国内のほぼ全産業で高原状態が継続しておりリスク要因は世界の政治リスクによる経済状況の悪化だろうという感想が多いようでした。ただ、工作機械、FA産業という観点からみると安価でシンプルな機械の需要が大半だということです。また需要は、「中国の次はインドだともうずいぶん昔から言われ続けてきている割には進まないよね。」という声もあったことは付け加えなければならないと思います。