トレンドを踏まえた製品開発と事業戦略でユーザーに貢献する岡本工作機械製作所 ~渡邊取締役営業本部長に聞く~

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 近年、コロナウイルス感染拡大予防の観点から非接触技術は進化し、企業ではリモート・オンライン化も進んだ。IoT時代の到来には半導体需要拡大にもつながっている。こうした時流を背景に多忙を極めているのは岡本工作機械製作所だ。本年3月期から2025年3月期における新中期経営計画『〝創〟lution 2025』では、〝研削で価値を創造するソリューションカンパニーへ〟のビジョンを掲げ、最終年度には売上高500億円、営業利益60億円、営業利益率12%を目指している。同社は工作機械・半導体製造装置・歯車・鋳物の4つの事業構成となっており、各分野の共通点は研削加工技術が基盤となっていることだ。

 今回は、加工時間の削減等によりCo2排出量削減に貢献しつつ顧客の生産性向上に寄与するマシンを提供している同社の営業責任者、取締役営業本部長の渡邊哲行氏に、現在の環境や市場についてお聞きした。

加速するスキルスレス化にワールドワイドに対応

230220top1 ―貴社では超精密研削のスキルスレス化やロボットによる自動化なども推進されています。JIMTOF2022でもホカホカの新製品、CNC精密平面研削盤『PCG127CA-iQ』やグラインディングセンタ『UGM64GC』に多くの来場者が釘付けになっていましたが、注目された点とターゲットを教えてください。
 渡邊
 PSG127CA-iQのターゲットとしては電気自動車向け大型金型や工作機械・半導体関連製造装置の部品加工を想定しています。同サイズで好調な門形タイプの平面研削盤とのラインナップによって更に大型化のニーズに応えていくつもりです。本製品で注目して頂きたい点は、外観だけでなく新規設計されたフレームや機上計測ユニットです。デザインも新しくなり、馬力も従来比2倍の高剛性・高能率仕様。機上計測ユニットやフルオートバランサーによる自動化にも貢献する事が可能となりました。使用油量も従来機種比50%以上を削減し油圧タンク分の省スペース化、サステナブルなものづくりを目指す製造現場の需要を目指しています。UGM64GCは近年需要が増加傾向にある脆性材加工をターゲットとしています。間口1500mmのコンパクト設計に3軸制御+回転テーブル1軸という仕様を標準としており、ドレッサー等の研削盤メーカーならではのオプション提案も可能な機種となっています。その他にもJIMTOFでは多くの新製品・新技術を展示することで、様々な市場ニーズに応える提案が出来ました。

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CNC精密平面研削盤「PCG127CA-iQ」は旬なマシンとして大注目!

 ―本年3月8日から10日まで、幕張メッセのホール8で、工具製造技術と研削加工技術の専門展示会『Grinding Technology Japan 2023』(略称:GTJ)が開催されますが、この新製品は展示されますか。
 渡邊
 展示する予定です。GTJは来場者の専門性も高いことが特長のひとつですし、来場者にはじっくりとご覧になって頂きたいと思います。他にも半導体製造装置向け部品加工の需要を見込んだ新製品・立軸ロータリー平面研削盤『VRG6DX』も展示します。JIMTOFで発表したこの機械の特長は、鉄系材料の加工はもちろんのこと、アルミナセラミックス・石英ガラス・炭化ケイ素など、脆性材料の高能率加工にも最適な構造となっているところです。従来の角型平面研削盤と比較して倍以上の能率を実現した事例もあります。
 ―GTJには何台展示する予定ですか。
 渡邊
 トータルで8台です。
 ―8台! JIMTOFより多いじゃないですか!
 渡邊
 JIMTOF会場でお客様から「丸物関係の複合研削盤をもっとみたい」の声にお応えして、JIMTOFより丸物(円筒・内面・複合)の研削盤の展示が増やしました。複合研削盤を活用した工程集約・自動化はヨーロッパでは主流となっており、日本国内においても需要が増加傾向にあります。

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グラインディングセンタ「UGM64GC」は増加する脆性材加工がターゲット

 ―貴社研削盤は市場でもスキルスレス化が進んでいると感じます。昨年から販売を開始した直感的に手動で寸法測定が行える機上計測装置『Quick Touch』についてご質問です。専用プログラムが不要という手軽さと、チャック上の被削材に計測器を当てるだけで画面上に寸法値が表示されるうえ、繰り返し精度1μm以内に測定ができる画期的な技術を有していますが、市場からの声はどうでしょうか。
 渡邊
 製造現場のオペレーターからは非常に使いやすいという声をいただいています。従来はワークを取り外して中間計測を行っているケースが多く、機上で計測できるというニーズはオペレーター目線からでしかわからない便利さです。また現場で計測ごとにプログラムを必要とせず、直感的にタッチプローブを当てるだけという動作も受け入れていただいている理由です。さらに、計測だけでなく、ワーク座標の計測結果を応用して、砥石をワークに当てる作業を自動化していくことも可能となりました。この作業は熟練者と経験が浅い方とは正確さが全く違います。誰が作業をしても同じ時間で砥石とワークの当たる位置を見つけ出すことができるうえ、信頼性の高い技術だと自負しています。

 

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