トレンドを踏まえた製品開発と事業戦略でユーザーに貢献する岡本工作機械製作所 ~渡邊取締役営業本部長に聞く~
市場を見据えて
―世界中でEVが注目されていますが、EVの性能を左右するのはバッテリやモータといっても過言ではありません。決算資料ではこの分野において大型研削盤の需要増加が見込まれていますが、営業的観点からどう攻めていこうとしていますか。
渡邊 EVバッテリやモータ向けの金型や部品はいくつかありますが、ターゲット形状やサイズはおおよそ決まっています。大型の金型を加工するため門形研削盤やコラムタイプの大型研削盤の需要が増加すると考えています。いまはまだ電池やモータを作っている企業が世界中で豊富にあるわけでもないので、我々の研削盤をご利用いただくユーザーニーズに合わせた最適な研削盤の提案を行っています。将来的には電池もモータを全世界で生産する時期が来ると思いますので、その時に当社の研削盤が加工スタンダードになるようにしたいです。
―ロボットを活用した自動化を促進する動きもますます加速しています。
渡邊 自動化は避けては通れません。ワークの交換は当たり前になってきました。研削盤の自動化は精度高い点と段取り作業が肝心という2点の非常に難しい面がありますが、未来のためにどんどん新技術に挑戦していかなければなりません。われわれはJIMTOF2022にてロボットを活用してワーク・砥石・ハンドの自動交換を展示しました。また製造現場ではあまり主流となっていない技術の提案でしたが、こういった自動化促進も拡大させていきます。
―世界規模で熾烈な開発競争が繰り広げられていますが、貴社が考えていることがあれば教えてください。
渡邊 自動化・生産性向上・サステナブル化など、事情には多種多様なニーズがあります。こういったニーズに対して工作機械メーカーだけでは提案の限界もあります。当社では2015年から掲げている研削革命をテーマに、研削盤だけでなく研削加工全体に視野を広くして計測器・ソフト・といしや研削液などの周辺機器メーカーとタイアップしながらユーザーへの付加価値を高めています。
―製造業は循環型社会への実現に向けて関連性も高く、環境問題へ対応した動きも避けられません。貴社が新たに販売開始した超精密ろ過装置『GRIND-FILTER』もエコで環境に優しい製品ですが、詳しい特長を教えてください。
渡邊 GRIND-FILTERはセラミックス、超硬、ガラスなどの非磁性体のろ過に最適なろ過装置ユニットで、台車式になっているため、後付け対応も可能です。脆性材のろ過は非常に細かい切りくずが発生するためノウハウが必要なのですが、本製品では1PASSで精密ろ過を行えます。また磁性体の精密ろ過にも活用する事が出来るため、研削加工のろ過にお困りのユーザーにも提案可能です。弊社ではろ過装置を準標準品で販売を開始しています。
―導入のメリットを教えてください。
渡邊 ろ過精度の向上でワークの面品位が向上することが挙げられます。さらに清掃頻度も少なくなるうえ、機械寿命も向上、作業環境負荷低減に貢献をします。フィルター交換は、ワンタッチ式で交換できるので、簡単です。またきちんとしたろ過は機械寿命、クーラント液の寿命向上やダウンタイムを削減する事に繋がり、生産性向上や消耗品の高寿命化になるため、サステナブルな提案に繋がっていきます。
―こうした技術も貴社とタイアップした周辺機器メーカーとの技術が活用されているのですね。
渡邊 研削加工を総合的にみると機械単体ではなく様々な技術が必要になります。研削に対する思いは海外よりも日本のほうがこだわりやノウハウは強く感じます。